■大石内蔵助:萬屋錦之介「赤穂浪士」(時代劇専門チャンネル)
(1979年)−テレビシリーズ・全36話−
原作:大佛次郎  
監督: 沢島正継(現:沢島忠)/田中徳三/村山三男/大洲齋/松島稔/池広一夫 ほか
脚本: 新藤兼人/下飯坂菊馬/田坂啓/芦沢俊郎/岡本育子/芦原俊郎 ほか
出演: 萬屋錦之介/岸田今日子/湯沢紀保/松平健/小沢栄太郎/田村正和/松坂慶子/西村晃/
天知茂/香川良介/小坂一也/目黒祐樹/伊吹吾郎 ほか

テレビ朝日が開局20周年を記念して制作した超大作テレビシリーズ。
大石内蔵助演じる萬屋錦之介は、本作で舞台・映画・テレビのすべてにおいて内蔵助を演じたことになる。
さらに、今回放送の映画「忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻」(東映)で迫力ある内匠頭を演じているので見比べるのも一興だろう。沢島監督と錦之介とは「ぼくが45歳になったら必ず内蔵助をやる。その時は必ず監督をしてください。」と約束していたそうで二十数年かかって約束は果たされたわけである。
浅野内匠頭を演じた松平健は当時、時代劇専門チャンネルではお馴染みの『吉宗評判記 暴れん坊将軍』で脚光を浴びていた頃である。
この作品の原作である『赤穂浪士』の魅力は、オーソドックスな「忠臣蔵」の物語のなかに展開する、大石内蔵助と千坂兵部の知恵比べにある。四十七士と堀田隼人(田村正和)・蜘蛛の陣十郎(長門勇)との明確な対決の構図。これは、死して生きる浪士たちと、堀田や陣十郎のように己を信じることがでないために生きながら死んでゆく者という、対照的なものによって際立つ人間のドラマである。大佛次郎の不朽の名作をもとに、ベテラン脚本家・新藤兼人が全脚本構成をした壮大な元禄ロマン。時間の制約のある映画と違い、テレビシリーズでは、あまたある外伝的なエピソードにスポットを当て、さらにじっくり描くことができる点で、映画とはまた違った楽しみ方ができる作品である。

□時代劇専門チャンネル
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