イタリア映画大回顧上映作品解説1
映画の神に嘉された天才監督達の足跡を、
ニュープリントや最新復元版で辿る、イタリア映画史百年の総決算
絢爛たる無声時代——パストローネ、ダンブラ
知られざる1930〜40年代——カメリーニ、ブラゼッティ
ネオレアリズモ神話/偉大なる戦後
——ロッセリーニ、デ・シーカ、アントニオーニ、ジェルミ、ヴィスコンティ
百花繚乱の1960年代
——ロージ、オルミ、ベルトルッチ、フェッレーリ、ベロッキォ、レオーネ
タヴィアーニ兄弟、バーヴァ
●日本公開された作品は、当時の題名を使用しています。
●番組の1〜6までは無声映画で、ピアノ伴奏が付きます。これはフィルムセンター
の恒例企画「シネマの冒険 闇と音楽」が、「イタリア映画大回顧」の一部とし
て組み込まれたものです。この無声映画上映にかぎり、定員は300名となります。
ピアニストは、イタリアからアントニオ・コッポラ、ステファーノ・マッカ一ニ
ョの両氏を招聘する予定です。
●上映作品のうちフィルムセンター所蔵の『ベリッシマ』、『シシリーの黒い霧』
以外は、イタリアから来るプリントを上映予定です。特記した作品以外はチネテ
ーカ・ナチオナーレのプリントです。イタリア側の都合で記載された作品が上映
できない可能性があります。
●記載した上映分数は、当日のものと異なる場合があります。
●フィルムの状態や色彩、音声が不完全な場合があります。
<上映作品解説>
1.『されどわが愛は死なず』 Ma l’Amor mio non muore!
1913年・日本未公開・サイレント・84分
監督:マリオ・カゼリ一二
出演:リダ・ボレッリ、マリオ・ボナール
自殺した軍人の娘で今は人気女優となった娘と大公国の皇太子の悲恋。イタリ
ア映画の最初の“ディーヴァ”、リダ・ボレッリ主演のメロドラマ。ミラノの
チネテーカ・イタリアーナ所蔵プリントを上映。
2.『カビリア』 Cabiria
1914年・サイレント・162分)
監督:ジョヴァンニ・パストローネ
出演:レティツィア・クァランタ、バルトロメオ・パーガノ
ウンベルト・モッツァート、イタリア・アルミランテ・マンツィ一ニ
紀元前3世紀のローマとカルタゴの戦いを背景としたスペクタクル史劇の超大作。
グリフィスの『イントレランス』にも影響を与えた。1995年トリノ映画博物館
による復元版。
3a.『アッスンタ・スピーナ』 Assunta Spina
1915年・サイレント・73分
監督:グスタヴォ・セレーナ
出演:フランチェスカ・ベルティーニ、グスタヴォ・セレーナ
カルロ・ベネッティ
ナポリの若く美しい娘が、罪を犯した恋人のために自らを犠牲にする。悲劇を
得意とするサイレント時代最高の人気女優、ベルティーニの代表作。1993年に
ボローニャ市立チネテーカが復元した彩色版。
3b.『灰』 Cener
1916年・サイレント・46min
監督:フェボ・マリ
出演:エレオノーラ・ドゥーゼ、フェボ・マリ
当時の舞台女優として最も評価の高かったエレオノーラ・ドゥーゼが出演した
唯一の映画作品で、サルデーニャの貧しい村を背景に母の愛情を描いた傑作。
4.『王家の虎』 Tigre reale
1916年・サイレント・77分
監督:ジョヴァンニ・パストローネ/原作・脚本:ジョヴァンニ・ヴェルガ
出演:ビーナ・メニケッリ、アルベルト・ネポーティ、フェボ・マリ
パリ。あるパーティで大使のジョルジョは、美しいボルコンスキ伯爵夫人に恋
をするが、彼女には悲しい過去があった。1993年にトリノ映画博物館が復元し
た彩色版。
5a.『妻たちとオレンジ』 Le mogli e le arance
1917年・日本未公開・サイレント・60分
監督:ルイジ・セルヴェンティ/監修・脚本:ルーチョ・ダンブラ
出演:ルイジ・セルヴェンティ、ミーラ・テッリビリ
田舎に静養に出かけたマルチェロが、理想の妻に出会うまでを描いたルビッチ
ばりの喜劇。2001年オーストリア・フィルム・アーカイヴの協力で復元。
5b.『大女優チカラ・フォルミカ』 L’illustre attrice cicala Formica
1920年・日本未公開・サイレント・32分
監督:ルーチョ・ダンブラ
出演:リア・フォルミア、ウンベルト・ザンノコリ
映画女優をめざす若い女性が映画に出演するまでを描く喜劇。映画初期の雰囲
気が伝わる貴重な一本。イタリア映画史研究協会の協力を得て、チネテーカ・
ナチオナーレが彩色を行った版。
6.『聖なる夜に』 ’A santanotte
1922年・日本未公開・サイレント・61分
監督:エルヴィラ・ノターリ
出演:ロゼ・アンジオーネ、アルベルト・ダンツァ
当時の同名の流行歌をもとに作られたサイレント期“ナポリ映画”の典型的な
作品。二人の男に愛されたメイド、ナンニネッラの悲劇が描かれる。女性監督
ノターリの情緒あふれる一篇。