『テイラー・オブ・パナマ』の公開が6月に迫ってきた。

ジェームス・ボンド同様の英国スパイでありながら良心や忠誠心を欠いた人物。ボンドに
比べるとルーズでたるんでいる。女好きでシニカルで、巧みに人を操る男。それが今回、
現ボンド俳優ピアース・ブロスナン演じる主人公なのだ。
実に面白いキャスティングのこの映画、監督のジョン・ブアマンは、『ワールド・イズ・
ノット・イナフ』を見たことがきっかけでピアース・ブロスナンをキャスティングしよう
と思い立ったという。映画を見ていると、007シリーズを観ているようなデジャビュに陥る
かもしれない。

原作はあの「寒い国から帰ってきたスパイ」で一躍有名になり、スパイ小説を読む方ならば
誰でも知っている巨匠ジョン・ル・カレ。その彼の、1996年に発表され「ポスト冷戦スパイ
小説の最高傑作」と絶賛されたベストセラー小説「パナマの仕立屋」(集英社刊)である。
「寒い国から帰ってきたスパイ」「ロシア・ハウス」「リトル・ドラマー・ガール」など、
過去の映画化作も多いル・カレだが、今回は初めて自ら脚本を執筆。原作以上に緊迫した
クライマックスを用意してドラマをダイナミックに盛り上げつつ、スパイ行為からもたら
される官能、官僚主義に対する風刺、偽りの人生を送る者が果たす贖罪といったおなじみの
テーマをプロットに織り込み、ファンの期待を120%満足させてくれるそうだ。

公開は、2001年6月ニュー東宝シネマ他全国東宝洋画系にてロードショー。

■作品紹介
http://cinema.fan.to/works/output2.php?oid=1336