汚名:アルフレッド・ヒッチコックと現代美術展
プレスリリース

1.趣旨概要

 サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック(1899 – 1980)。「レベッ
カ」、「汚名」、「ダイヤルMを廻せ!」、「裏窓」、「知りすぎていた男」、「め
まい」、「北北西に進路を取れ」、「鳥」そして「サイコ」など、本人のユニークな
風貌もさることながら、映画史上彼ほど多くの人々に知られ、愛され、そして彼らを
恐怖に陥れた映画を数多く世に送り出した映画監督は他にいないでしょう。ヒッチ
コック生誕100周年となる1999年にイギリスのオックスフォード近代美術館で開催さ
れ、その後オーストラリアやデンマーク、カナダなど世界中を巡回している本展は、
ヒッチコック映画からインスピレーションを得て制作されたビデオやフィルム、写
真、サウンド、インスタレーションなどの現代美術作品を集め、彼の映画が今日の現
代美術アーティストたちに与える影響を検証すると同時に、私たちの集合的な記憶と
して受け継がれるヒッチコック映画の有名なシーンやそのシークエンスが現代美術作
品として再解釈され変容されいく課程を見せる試みでもあります。東京オペラシティ
アートギャラリーで4月から開催される本展は、この国際巡回展の東京展にあたるも
ので、その後7月29日から9月2日まで広島県立現代美術館に巡回します(その
後、再び日本を離れてスペインに巡回する予定です)。
  また本展は、一人の映画監督と現代美術との関係にスポットを当てる展覧会であ
るばかりでなく、参加しているアーティストたちの顔ぶれがすばらしく充実している
点も見逃せません。参加している14人の作家の中には、現代美術界で最も権威のあ
る賞の一つであるターナー賞を1996年に受賞したダグラス・ゴードンを始め、若手の
映像系の作家として人気急上昇中のピエール・ユイグ、自らを物語りの主人公に仕立
てて写真を撮るシンディー・シャーマン、映画「ザ・スィート・ヒア・アフター」で
97年のカンヌ映画祭グランプリを受賞したアトム・エゴヤン、コンセプチュアルアー
ティストとして大きな影響力を持つジョン・バルデッサリやヴィクター・バーキンな
どが含まれており、いずれも現代美術および映画界の最前線で活躍する作家ばかりで
す。ヴィデオ、フィルム、写真、サウンド、インスタレーション等の作品によって構
成される本展は、一つの現代美術のグループ展としても大変見応えのある展覧会であ
ると言えるでしょう。

タイトル: 汚名: アルフレッド・ヒッチコックと現代美術(東京展)
     Notorious: Alfred Hitchcock and Contemporary Art
会期: 2001年4月4日(水)ー6月17日(日) 
 
開館時間: 12:00 – 20:00 (土・金のみ21:00まで/最終入場は閉館30分前まで)
休館日: 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
料金: 一般1000(800)円、大高生800(600)円、中小生600(500)円   
     ( )内は団体料金/そのほか各種割引制度あり。詳細はお問い合わせく ださい。

主催: 財団法人東京オペラシティ文化財団、朝日新聞社
会場: 東京オペラシティアートギャラリー
特別協賛: 日本生命
協賛: 小田急電鉄、第一生命、松下電器
協力: 山大鉄商、相互物産、日本航空
後援: ブリティッシュ・カウンシル
企画協力: アプトインターナショナル
国際巡回展組織: オックスフォード近代美術館
Exhibition organized and toured by the Museum of Modern Art Oxford. Japan
tour realized by APT International, Tokyo.
The MOMA Oxford exhibition received financial support from: Universal
Studios, The Arts Council of England, Southern Arts, the Embassy of the
United States of America, the Canadian High Commission, and the Goethe
Institute.

国内巡回: 広島市現代美術館 2001年7月29日 ー 9月2日

2.展覧会の見所

●現代美術にみられるヒッチコック映画からの影響
 ヒッチコックと現代美術。一見あまり接点があるようには思えないこの2つは、実
は大きく関わりあっているのです。まずヒッチコック自身、たとえば映画「白い恐
怖」の美術をサルバドール・ダリに依頼するなど、初期のサイレント時代より自作の
中で前衛的な映像作りに積極的に関わってきました。またその一方、ヒッチコックの
映画にみられる、いわゆる「ヒッチコック・タッチ」と呼ばれる独特の映画手法−−
−例えば映画のスムーズな流れを最大限維持しながら観客を画面に惹きつけるための
サスペンス効果や、観客や役者を自由に操る心理劇的な演出−−−は、近年、特にビ
デオなどの映像の分野に著しく進出し始めている現代美術に大きな影響を与えていま
す。実際、この展覧会に出品されている作品の多くがヒッチコックをテーマとして展
覧会以前にすでに制作されている作品であり、展覧会に集められた作品を通して見て
みると、現代美術におけるヒッチコック映画からの影響が私たちの想像をはるかに越
えていかに大きいものであるかががわかります。
 また参加している14名のアーティストたちが、いずれも現代美術や映画界の第一
線で活躍しているアーティストばかりであることも注目されます。こうした多彩な顔
ぶれが一堂に顔を合わせるのも展覧会のメインテーマが彼らの敬愛するアルフレッド
・ヒッチコックであればこそと言えるでしょう。
 出品作品を大きく分けるとヒッチコックの映画「めまい」や「北北西に進路を取
れ」、「サイコ」などから映像や音楽、セットなどをダイレクトに引用してきた作品
と、ヒッチコック映画に共通して見られるのぞき見趣味、強迫観念、独特の女性観と
いった特徴的なシチュエーションやテーマを意識して制作された間接的に影響を受け
た作品からなります。前者にはダグラス・ゴードン、ピエール・ユイグ、スタン・ダ
グラス、ヴィクター・バーキン、ジラルデ&ミューラー、クリスチャン・マーク
レー、シンディ・ベルナルドの作品が含まれ、後者にはアトム・エゴヤン、シン
ディー・シャーマン、クリス・マーカー、ジュディス・バリー等の作品が含まれま
す。

●世界初の試みとなる「i モード」による作品解説の発信サービス:
会場内でも作品コンセプトや作家のプロフィールにダイレクト・アクセス!

  会期中NTTドコモi モードのアート専門の公式サイト《ART TRAX》を使って展覧
会の作品解説サービスを行います。これは会場内で作品を見ながら手元のi モード対
応携帯電話を操作して作品解説を引き出すことができるもので、まさに世界初の画期
的なサービスです。映画館内部のような薄暗い会場の中でも、バックライト機能を
使って作品のコンセプトや作家の略歴など作品をより深く理解するためのインフォ
メーションにアクセスすることで、展覧会を見る楽しみが2倍、3倍と膨らみます。
まさにIT新時代に対応した、展覧会と観客との新しい関係を探る実験的な試みと言え
るでしょう。

連絡先
●アプトインターナショナル
http://www.apt.co.jp
e-mail: taguchi@apt.co.jp