『踊る大捜査線』で大ブレイク! 水野美紀初主演映画=台湾版ニキータ。
台湾ノワール映画が誕生! アジアのアクション映画は香港・韓国そして次は台湾へ

『想死趁現在/A Chace to die』
2000年/台湾映画/カラー/ビスタサイズ/97分
(c)2000バーニングプロダクション日活株式会社

<INTRODUCTION>
ヒロインの凛々しくも哀しいメタモルフォーゼ<変身>。この一覧で殺し屋になる。

台湾マフィアの抗争に巻き込まれ命を奪われた恋人の死を確認するため、一人台北
に渡った日本人女性・加奈子。悲しい現実に幕を引くために彼女は拳銃を握った。
一発の銃声が暗黒社会に向けて放たれた時、加奈子は過去の自分に決別をした。彼
女にはもはや戻るところもない。喜びを分かちあえる人もいない。悲しみを受けと
めてくれる人もいない。それは一人の女の凛々しくも哀しみにあふれたメタモル
フォーゼ<変身>たった。

空前の大ヒットとなった踊る大捜査線での活躍も記憶に新しい水野美紀が、待望の
映画初主演。殺された恋人の復讐のため、自分の過去を捨て、たった一人で敵に立
ち向かう姿は「台湾版ニキータ」と評されるほどの凛々しさ。クライマックスは阿
三の額に一発で弾を打ち込む夜の銃撃戦と、ショッピング・モールでの阿泰との手
に汗握る知能戦。可憐でいながら、怜悧な拳銃さばきに、監督から「カット、OK!」
の声がかかるや現場の台湾人スタッフから思わず拍手か沸き起こったとか。水野
美紀のクールな魅力は、観客に新鮮な驚きをもたらすでしょう。

金城武主演の映画『不夜城』でも紹介された複雑な台湾のマフィア事情。新旧入り
乱れたマフィアのカは、時に政治の世界をも動かすと言われる。最近特に注目され
ているのか、表向きでは白黒どちらかわからない経済マフィアの存在と、そうした
大組織に囚われずに狂犬のように跳梁する若手グループの存在。本作では、最新の
台湾マフィア事情を取り込みリアルで骨太な雰囲気をつくり出すことに成功。ハリ
ウッドの巨匠となったジョン・ウーを生んだ香港映画、『シュリ』で一躍アクショ
ン映画の第一線に躍り出た韓国映画に続き、次は台湾ノワールが世界を熱狂させ
ます。

監督は『jam』で話題沸騰の陳以文(チェン・イーウェン)。いま台湾で最も注目さ
れる若手監督といえば、間違いなくこの人。俳優、脚本家としても幅広い才能を持
つチェン・イーウェンは言わずとしれたエドワード・ヤンの愛弟子。長編デビュー
作『jam』(98)は日本でも若者を中心にロングラン・ヒット。本作では初めて日本
人俳優と組み、アクション映画に挑戦。巨匠と言われる監督ですら製作困難と言わ
れる台湾の映画界で、現在すでに新作を撮影中という事実が、何よりも彼の監督と
しての実力と評価を物語っています。
主題歌は、あのTHE YELLOW MONKEYが担当。92年のメジャー・デビュー以来、高い
音楽性と独自のライヴ・パフォーマンスで知られる本格的ロックバンドTHE YELLOW
MONKEY。99年には主演映画『transmission』も公開され、ますます波に乗る彼らが
本作のためにわざわざ主題歌を書き下ろした17枚のシングルと7枚のアルバムを
次々とヒットチャートに送り込んだ実力派が強力に映画をサポートします。

<STORY>
台北郊外、台湾人マフィアと日本人マフィアの取引現場が、何者かに襲われた。日
本人側の一人が殺され、現金800万元が奪われた。奪ったのは、最近台頭してきた
若手の台湾人グループ。リーダーは命知らずの阿泰(アタイ)と阿三(アサン)。

取引現場を襲われた台湾人マフィアの組では、ナンバー2の座を巡って傑(ジエ)と
明(ミン)が対立していた。メンツを重んじる昔気質の傑(ジエ)は反撃を主張する。
だか、計算高いボスの龍(ロン)は言う、「奪われたのは日本人の金、殺されたのも
日本人。ブツはここにあるんた。反撃よりも日本人をどう納得させるかだ」。

その頃、台北に一人の日本人女性がやってきた。殺された日本人マフィア伊藤の恋
人、加奈子である。伊藤の遺影を前に泣きながら、彼女は心の中で復讐を誓った。
傷を負いながらも生き残った前田と共に、加奈子は龍の事務所に現れる。ブツを渡
して解決しようとする龍に対し、二人は伊藤を殺したグループの居所を教えろと迫
る。だが龍は「まかせておけ」と言うばかりではっきりしない。

前田と加奈子を車で送るように命じられた小豪(シャオハウ)、しかし、彼を監視役
と勘違いした二人は、途中で車を逃げ出す。やがて、二人は自力で阿三の居所を突
き止めるが、反撃に遭って前田は死んでしまう。傷を負い孤立無援となった加奈子
は小豪(シャオハウ)の車に逃げ込むが、追い払われる。しかし、彼女の苦境を見か
ねた小豪は自宅で傷の手当てをしてやる。そこへ現れたのか、小豪のガールフレン
ド小佩(シャオペイ)、二人の仲を誤解した小佩が怒りにまかせて飛び出そうとした
時、加奈子を追って阿三たちがやってくる。
加奈子は無事に逃げ延び、伊藤の留守伝にメッセージを残した高橋という男を訪れ
る。表向きはバーを経営しながら、裏では拳銃売買なども手掛ける高橋は、加奈子
の話を聞こうともしないが、「伊藤の金は龍のところにある」とだけ告げるいっぽ
う加奈子と小豪の間を誤解した小佩は、小豪の兄貴分である傑ではなく、傑と対立
する明に恋愛相談を持ちかけていた。それを見て怒る小豪。声を聞きつけてやって
きた傑に対し、明は日本人女に問われば阿泰と対立することになると警告。傑は傑
で、そんな明の弱腰に苛立ちをぶちまける。

龍から金を手に入れた加奈子は、高橋から拳銃の手ほどきを受ける、そして、彼女
が立ち向かおうとする阿泰と阿三は、大きな組でも抑えきれない凶暴なグループで
あることを知るが、復讐の決意は揺らぐことはなかった、阿三が出入りするバクチ
場を突き止め、彼らに直接対決を告げる加奈子。彼女を待ち構える阿泰たち。しか
し、約束の場所と時刻に加奈子は現れなかった。
モーテルの部屋でぐっすり寝込む阿泰たち。暗闇の中に、拳銃を構える加奈子。銃
声が鳴り響き、夜の銃撃戦が始まった。一発の銃弾が阿三の額に命中。阿泰たちは
後を追うが加奈子はすでに闇に消えていた。

兄弟分の阿三を失った阿泰は、龍か背後で加奈子に協力していると誤解。龍の組に
猛攻撃を仕掛けた。次々と襲撃される龍の工場、皆殺しにされる組員。ついに龍は
和解を申し込む。大ボス、蕭(シャオ)の下で手打ち式が行われ、阿泰は加奈子を引
き渡すことを要求する。龍の組で徹底抗戦を主張するのは傑のみ。組の経済を第一
に考える明との距離は益々広がっていた。そんな時、阿泰とは敵対関係でいるより
商売で協力関係を結んだほうが得だと考える明に、阿泰が出した条件とは、阿泰を
敵対視する傑を消すことだった。女とホテルに入った傑を訪ねる明。傑が後ろを向
いた瞬間、明は何の躊躇もなく、傑の身体に何度もナイフを突き刺した。

明による傑殺害の現場を目撃してしまった小豪は、口封じの為に明に殺されかける。
傷ついてホテルを逃げ出した小豪を救ったのは、加奈子だった。小佩の家で小豪に
応急処置を施す加奈子。帰宅した小佩は動転のあまり二人の行為を誤解、明のもと
へ駆け込む。小豪を忘れるため明に抱かれる小佩。泣きながら二人か目分の部屋に
居たことを話すと、明はすぐさま小豪を倉庫に呼び出す。小豪がまさに殺されよう
としたその時、阿泰から電話が入る、「俺の女か人質に取られた」加奈子の居場所
を吐かせるため、ひとまず犬小屋に入れられた小豪。翌日、こっそりと彼を助けた
のは小佩だった。

阿泰の女を人質にとり、金を要求した加奈子。しかし、目的はむろん阿泰の命だっ
た。しかし、それを見越した阿泰は防弾チョッキで加奈子の目を欺く。間一髪とい
うところで警察が乱入。阿泰は逃げ、加奈子は逮捕される。刑事に連れられて高橋
の店に戻ってくる加奈子。強制出国である。一日も早く台北を脱出するよう進める
高橋に、加奈子は言う、「まだやることが残っている」。

疲れ切った小豪を訪ねる組の仲間。だか、彼は小豪を殺す使命を帯びていた。小豪
に銃口が向く。しかし火を吹いたのは小豪を助けにきた加奈子の拳銃だった。小豪
を連れて街を逃げる加奈子、二人を追う阿泰たち。激しい銃撃戦か展開される。そ
して、ついに加奈子と阿泰の対決の時が来た…。
いっぽう小豪を助けた小佩は明によって殺されてしまう。加奈子と共に台北を脱出
する約束をした小豪たったが、ガールフレンドを殺された彼にもまた明への復讐か
残されていた…。

<STAFF>
企画:奥山和由
製作:周防郁雄
製作総指揮:中村雅哉
監督:陣以文(チェン・イーウェン)
プロデューサー:張華坤
脚本:陣以文、蘇照形(スー・チャオピン)
撮影:蔡正泰
照明:宗發基
美術:蔡照盆
録音:杜篤之
主題歌:THE YELLOW MONKEY「聖なる海とサンシャイン」(BMGファンハウス)
製作協力:TEAM OKUYAMA、城市電影公司
製作:バーニングプロダクション、日活株式会社
配給:日活株式会社

<CAST>
加奈子:水野美紀
龍:リー・リー・チュン
傑:ガオ・ジェ
明:ガオ・ミンジュン
阿泰:ツァイ・ユエシュン
阿三:ダイ・リーレン
小佩:ハー・ユーウェン
小豪:ドァン・ジュンハウ
高橋:相原