マーシャル・ロー
ニューヨークに戒厳令! テロ壊滅にアメリカ軍隊が出動!
FBl,C1Aが絡み鮮烈のサスペンスとアクションが炸裂!!
『マーシャル・ロー/THE SIEGE』
1998年度作品/カラー作品/ドルビーSRD,DTS,SDDS
上映晴間:1時間57分/字幕スーパー/翻訳:戸田奈津子
<INTRODUCTION>
98年8月8日、アフリカ・ケニアの首都ナイロビのアメリカ大使館に隣接するビル
が、テロリストによって爆破され、80人の死者と、1000人以上の負傷者を出した惨
劇は、世界に衝撃を与えた。さらに17日、クリントン大統領は、アフガニスタンと
スーダンのテロ訓練基地と化学・兵器関連施設をミサイル攻撃するという報復に出
た。はたしてそれは正当な行為だったのだろうか?
完成を前にしていた『マーシャル・ロー』のスタッフのもとには、事件と、映画の
内容に類似点が多いことを察知したマスコミから取材が殺到。
全米では11月6日公開と共に必見の問題作と、騒然の話題を呼び、近年のハリウッ
ド映画のなかでも、最もアクチュアルな傑作と、批評でも絶賛されている。『戦火
の勇気』(96)は、ハリウッドが初めて湾岸戦争に真正面から取組み、ヒットした秀
作だが、この監督エドワード・ズウィックが、脚本も兼ねた『マーシャル・ロー』
は、アフリカのテロ事件とは直接関係ないフィクションながら、まさに世界が直面
しているテロリストとの対決という最も時局的な問題に注意深く、しかも核心を衝
く鋭いアフローチで迫った映画です。
ズウィック監督の『グローリー』(89)でアカデミー助演男優賞を受賞し、『戦火の
勇気』の主役で好演したデンゼル・ワシントンが、3度目のコンビを組み迫真の名
演技を見せる。彼の役はFBlとニューヨーク警察が共同で組織したテロリズム対策
本部長のアンソニー・ハバード。ニューヨークのブルックリンでバスが爆破され多
数の死者を出したのを発端に、テロリストによる連続爆破事件が発生する。脅迫と
恐怖のなかで、ハバードはニューヨーク市の安全を守る使命を受け、犯罪者の逮捕
と告訴に全力を上げる使命に燃えるが…。
ジャーナリスト出身で『めぐり違えたら』『コンタクト』のリンダ・オブストが、
ズウィックと共同でプロデュース。彼女がニューヨーク・タイムズに掲載された記
事からインスピレーションを得て映画化が実現。ノンフィクション作家ローレンス・
ライトがストーリーを書き、『カラー・パープル』でアカデミー脚色賞候補になっ
たメノウ・メイエスが加わって脚本が完成。『ショーシャンクの空に』などで3度
アカデミー賞にノミネートのロジャー・ディーキンズが撮し、『グローリー』『フ
レイブハート』で2度ノミネートのスティーブン・ローゼンブラムが編集。共に『
戦火の勇気』についでズウィック監督とコンビを組んでいる。
プロダクション・デザイナーのリリー・ギルバートは、ズウィック監督の秀作『レ
ジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』でアカデミー賞候補になり、衣裳デ
ザイナーのアン・ロスは『イングリッシュ・ぺージェント』でアカデミー賞受賞。
音楽のグレアム・レベルは『チャイニーズ・ボックス』でベニス映画祭最優秀音楽
賞受賞、「セイント」などサスペンス・スコアに才能を発揮している若手作曲家。
最高のスタッフが結集してベスト・ワ一クを見せる。
ロケーションはニューヨークで大々的に敢行された。ズウィック監督はリアリズム
で臨場感を出すため、SFXは爆発シーンなど最少限に押さえ、数千人のエキスト
ラを駆使してのロケ中心に撮影。その迫力は圧倒的だ。
1993年2月26日、世界貿易センターの地下駐車場が、テロリストによって爆破され
た衝撃の事件からアメリカ国会ではテロ対策が緊急動議され、新しい反テロリズム
法案が国会を通過。これにより緊急の場合には、かなり自由に盗聴や監視が許され
事実FBIによってテロリストのアジトが壊滅された例もある。憲法で保証された
人権を越えた厳しい当局の対応に批判もあがり、FBI、軍人たちは法と、テロを
憎む狭間で多くの悩みに直面。ぎりぎりの選択を迫られることもしぱしばだった。
アンソニー・ハバード(デンゼル・ワシントン)は、FBIとニューヨーク警察が共
同で組織したテロリズム対策本部長として、テロ犯人の捜査、逮捕と告訴まで責任
ある重大な地位に就任。彼のパートナーでFBI捜査官として腕利きのフランク(
卜ニー・シャルボウブ)は、アラブ系アメリカ人で、中近東テロ・グループの不穏
な動音に心を痛めていた。倫理観が強くアメリカを愛しデモクラシーを守り通そう
とするフランクだったが、彼も多くの矛盾に直面することになる。
ブルックリンで・バスがテロリストによってハイジャックされる事件が起こる。ハ
バードはテロリストと交渉し子供と女性を降ろさせることに成功するが、大爆発と
ともに多くの犠牲者を出す。卑劣なテロへの増しみが彼の心のなかで燃え上がる。
現場でハバードは、エリース・クラフト(アネット・ベニング)というCIA所員に
出会う。CIAがどこまでテロ事件の調査に関わっているのかハバードにはエリー
スの存在が気掛かりで、彼女には謎が多かった。
テロリストの捜査に乗り出したFBIはアジトを急襲し、激しい銃撃戦を展開。ハ
パードとフランクも全力をつくし、アラブの若者サミール(サミ・ボージラ)が有力
容疑者として逮捕される。同行を求めアパートに乗り込んだハバードは、そこにエ
リースがいたことに驚く。謎はさらに深まる。エリースはアラブ系アメリカン社会
に重要な情報源を持ち、秘密諜報活動をしていることをハバードは察知。二人はお
互いの心の底を探り合いながらも、テロ組織の根源に迫る共同戦線を組むことにな
る。
爆破テロは連続で、ニューヨーク各地に起こりだし市民の不安は極度に達する。国
民の安全を求める世論に大統領も、ついに緊急事態を宣言し、軍隊の出動を要請す
る。ニューヨークにマーシャル・ローを発令し、軍隊を出動させることの是非につ
いては、軍内部でも激しい論議を呼んだ。ウィリアム・ダヴロー将軍(ブルース・
ウィリス)も危険性を十分に理解し、軍の介入に反対したが、大統領の決断に従い
軍人として引き受けた以上は、絶対的な服従と目的の遂行をすべての人々に求めた。
マーシャル・ローは発令され、空にはヘリコプターが飛び、戦車の大群が兵士たち
とともに町を行進して行く。アラブ系市民は弾圧だとデモ行進を始め、一触即発の
緊張がニューヨークを支配する。アラブ人の息子を愛するフランクは、自宅を閉鎖
され家族への愛情と、義務感の狭間で心を引き裂かれる。
エリースとサミールにも最後の決断の時が迫っていた。ハバードも、ダヴロー将軍
も課せられた責任と義務観の重圧に耐えながら、どのように対処するのか?。
<STAFF>
監督:エドワード・ズウィック
脚本:ローレンス・ライト、メノウ・メイエス、エドワード・ズウィック
ストーリー:ローレンス・ライト
製作:リンダ・オブスト、エドワード・ズウィック
製作総指揮:ピーター・シントラー
撮影:ロジャー・ディーキンズ、A.S.C.、B.S.C.
プロダクション・デザイナー:リリー・ギルバート
編集:スティーブン・ローゼンフラム
音楽:グレアム・レベル
衣裳:アン・ロス
スタンド・コーディネーター:ジョエル・J・クレーマー
<CAST>
アンソニー・ハパード:デンゼル・ワシントン
エリース・クラフト/シャロン・フリッカー:アネット・ベニング
ウィリアム・ダヴロー将軍:ブルース・ウィリス
フランク・ハダッド:卜ニー・シャルボウブ
サミール・ナジデ:サミ・ポージラ
シーク・アーメッド・ビン・タラル:アーメッド・ベン・ラービ
ムージン:モスレ・モハメッド
ティナ・オス:リアナ・パイ
マイク・ヨハンセン:マーク・バレー
フレッド・ダリウス:ジャック・グワルトニー
ダニー・サスマン:デイビッド・プローバル
フロイド・ローズ:ランス・レディック
アニタ:エレン・ベゼ