『Go! Go! L.A./L.A.WlTHOUT A MAP』
1998年/イギリス+ランス+フィンランド合作/1時間47分/カラー
シネマスコープ/ドルビーSRD/
提供:パイオニアLDC+パルコ半ザナドゥー/配給:パルコ+ザナドゥ

<INTRODUCTION>
映画監督、俳優、ファッションモデル、フォトグラファー、ミュージシャンとイカ
した肩書きをいくっももち、世紀末アメリカのサブ・カルチャー・シーンを疾走す
る男、ヴィンセント・ギャロの最新作が遂に登場。監督も兼任した前作『バッファ
ロー166』とは打って代わり役者業に専念した本作『Go! Go! L.A.』は、ギャロが
正真正銘21世紀のストリート・シーンを代表する俳優として、かつてのマーロン・
ブランド、デニス・ホッパー等と肩を並べる男であることを証明した作品です。

”噂の彼”の相手役を務めるのはジュリー・デルビー。ジャン=リュック・コター
ルの『リア王』でデビュー以来・カラックス・シュレンドルフ、キェロフスキ、ピ
ラル等、ヨーロッパのクセ者監督の作品に出演し、”美貌のフランス人形”として
確固たる地位を築き上げた彼女が今までとはガラリと違うヤンキー嬢を演じ”陽気
なバービー・ドール”へと変身を遂げているのが見物です。

天使の住む街L.A.の最新風俗を織り込みながら、バリウッドの裏側を描いた本作は
1作ごとにユニークなロケ場所を設定し、クールな文明批評と乾いたユーモアで独
特の世界観をスクリーンに投影してきた北欧のシネナスト、ミカ・カウリスマキ監
督のアメリカ映画に捧げたオマージュ。大ベストセラーとなったリチャード・レイ
ナーの自伝小説「Los Angeles without a Map」を原作に、2組のカップルが巻き起
こす恋のてんやわんやを描いたオフビート・ラブ・コメディの決定版です。

また、本作でヴインセント+ジュリーとは対照的な脚本家志望の青年と女優志願の
カップルを演じる舞台出身のデイヴィッド・テナントとキューブリックの新作『ア
イズ・ワイド・シャット』が待機中のヴァネッサ・ショウを取り囲むように、エン
ド・ロールに献辞を捧げられたサミュエル・フラーを始め、ジョニー・デップ(『
デッドマン』)、アヌーク・エーメ(『男と女』)、ロバート・ダヴィ(『ダイ・ハー
ド』)、アマンダ・プラマー(『パルプ・フィクション』)、ショー・ダレッサンド
ロ(『アンディー・ウォーホルのドラキュラ』)等、ハリウッドを舞台にした作品ら
しく、数多くの俳優がカメオ出演を果たし、劇中に弟アキ・カウリスマキの『ラヴ
ィ・ド・ボェーム』やジャック・ドゥミの『ローラ』が引用されるのもシネフィル監

らしい趣向である。尚、カウリスマキ兄弟作品の常連、レニングラード・カウボー
イズがヴィンセント・ギャロと初の音楽セッションを披露する楽しいオマケもつい
ています。

<STORY>
イギリスの片田舎(ブラッドフォード)で葬儀屋を営むリチャードは、22歳の若さで
父の稼業を受け継ぎ、地元の金持ちの娘と婚約中。一見平凡で何の取り柄もなさそ
うな彼にも、実は脚本家になるという夢があり、地元の地方紙に死亡記事を書いた
り、『Oozy Suicide(じめじめした自殺)と題する小説を密かに執筆したりもしてい
た。そんなある日、リチャードの平凡な人生に一大転機が訪れる。ロサンゼルスか
ら旅行に来ていたキュートな女優の卵バーバラと出会い、一目で恋に落ちたのだ。
「もっとエキサイティングで口マンティックな生き方がしたい!」そんな熱い思い
を胸に、ついにリチャードは、フィアンセや仕事を投げ捨ててバーバラのいるアメ
リカヘと旅立つ。

しかし、根っからのイギリス人のリチャードにとってL.A.での新生活は驚くことぱ
かり。そして念願のバーバラと再会できたのもつかの間、田舎っぽさの抜けない彼
は、すっかり彼女に呆れられてしまう。そんな途方にくれた彼を助けてくれたのは
クールなギタリストのモス。彼はリチャードにプール掃除の仕事と住まいの世話を
してくれ、友人としていろいろと面倒をみてくれた。

ささやかながらもロスでの生活の基盤を作ったリチャード。だが脳裏に浮かんでく
るのはバーバラのことばかり…。やがて、バーバラもリチャードの熱烈なアタック
にほだされはじめるが、ハリウッドの若手監督パターソンとの腐れ縁も解消できず
にいた。
しかし、ついにリチャードの一途な思いが彼女に通じ2人はラスベガスで結婚! 
モスも、美人でエキセントリックなバーバラの親友ジュリーと恋に落ち、ハッピー
な毎日を送る。その後、バーバラを通じて思いがけず脚本家としてのチャンスも浮
上し、L.A.での生活を満喫するリチャードだったが、その一方で、結婚後も女優と
してパターソンとの関係を続けるバーバラが心配でならない。そして、いつしか嫉
妬の塊と化した彼は、映画業界人の集うバーテイで、取り返しのつかない大失態を
しでかしてしまうのだった。

<STAFF>
監督:ミカ・カウリスマキ
脚本:ミカ・カウリスマキ、リチャード・レイナー
製作総指揮:ティーバック・ネイヤー
プロデューサー:ジュリー・ベインズ、サラ・ダニエル
撮影:ミシェル・アマチュー
プロダクション・デザイナー:キャロライン・ハナニア
コスチューム・デザイナー:ヤスミン・エイブラハム
編集:エワ・J・リンド
原作:リチャード’・レイナー”Los Angeles without a Map”
音楽:セバスチャン・コルテラ

<CAST>
モス:ヴィンセント・ギャロ
ジュリー:ジュリー・デルビー
リチャード:デイヴィッド・テナント
バーバラ:ヴァネッサ・ショウ
タコースキー:ジェームス・レ・グロス
パターソン:キャメロン・バンクロフト
ジョイ:サスキア・リーブズ
マイケル:ジョー・ダレッサンドロ

特別出演
ジョニー・デップ
レニングラード・カウボーイス
アヌーク・エーメ
イエジー・スコリモフスキー
モンテ・ヘルマン