あの「失楽園」の原点となったベストセラー小説を完全映画化!
現代女性に問いかけられた“メトレス”_自立する愛人という生き方。

『メトレス/Maitresse』
1999年/日本映画/102分/配給:松竹株式会社
製作:松竹株式会社、株式会社東北新社、株式会社東北新社クリエイツ

・2月19日(土)より愛のロードショー

<INTRODUCTION>
常に“新しい女性像”を描き続ける渡辺淳一が、また一人センセーショナルな女性を
生み出しました! “メトレス”それは自立する愛人。「うたかた」「失楽園」など
数々のベストセラーが連なる渡辺作品からは、いつも時代の恋愛のキーワードが生ま
れてきたが、本作のタイトルとなる『メトレス』もまた、いままで日本では呼び名も
なかった現代女性の生き方に、印象的な名を与え、世間の注目を喚起するに違いあり
ません。

原作は1988年5月から翌年2月まで週刊文春に連載され、1991年に単行本になった同
名小説。その世の中の常識やモラルに波紋を投げかける恋愛観で、「失楽園」で頂点
に達する不倫ブームの先駆けとなった作品です。主役の川島なお美は、この物語のヒ
ロイン、片桐修子のイメージにぴったりで、渡辺淳一も彼女が抜擢されると知り映画
化を快諾した。小説で、TVで、映画で、多くの女性ファンに支持される渡辺作品の
待望の映画化は、また新しい恋愛文化を生み出そうとしています。

メトレス(maitresse)は本来“(女性の)主人”を表わすフランス語。転じて“愛人”
という意味も持ちます。しかし、日本語でイメージされるところの暗さや後ろめたさ
とはまったく無縁です。妻子ある男性と恋愛関係にありながらも、結婚にはこだわら
ず、自分の仕事を持ちしっかりと自立している…そんなポジティブな“愛人”を指し
ている言葉です。ボーボワールが、サルトルのメトレスであったように、あるいはフ
ランスのクレッソン首相がミッテラン大統領のメトレスであったように、女性の身で
一流の仕事をこなしつつ、一方で特定の男性と深く付き合っている女性、という意味
になる。本作『メトレス』の主人公・片桐修子もまた、大学教授との不倫関係にあっ
て人生に不安定さを感じていたが、この“メトレス”という言葉に出逢い自分の人生
を見つめ直していく…。

平均結婚年令が高く、女性の社会進出があたり前のいま、結婚に踏み切らず生涯の仕
事と自由な恋愛の両立に葛藤する“メトレス”な女性は意外に多いのかも知れません。
許されぬ恋愛に溺れながらも、一流のソムリエとしての仕事も守ろうとする主人公に
自分自身を見てしまう女性は決して少なくないはずです。

主人公の片桐修子には、TV版「失楽園」でも渡辺作品に出演した川島なお美。異例
の濃厚な濡れ場で話題をさらいましたが、本作はR指定の劇場公開作品ということも
あり、さらに激しい愛欲シーンを披露します。炎や夕日に艶めく姿態には、あらため
て息を飲む思いです。彼女がソムリエの役を演じるのも話題のひとつで、デカンタや
ナイフの巧みなさばき方や“利きワイン”のシーンには興味をそそられます。また、
環境学専攻の大学教授、遠野晶平に三田村邦彦、修子に想いを寄せる営業マンに石橋
保、友人に大島さと子、ソムリエの後輩に大河内奈々子を配役。遠野の妻、美智子に
ロック歌手のりりィ、大学学長役に現・法政大学教授でもある田嶋陽子等の異色キャ
ストも配しました。 監督は「静かなる首領(ドン)」シリーズなどで確かな演出力
が評価されている鹿島勤。共同脚本はジェームス三木、音楽は三枝成彰が担当。アン
ニュイなラテン調のメロディが印象的な主題歌「夕陽の中に」は森山良子が歌います。

<STORY>
ワインと料理の絶妙な取り合わせを、素晴らしい結婚にたとえて“マリアージュ”と
呼ぶ。銀座の高級フランス料理店でソムリエとして働く片桐修子にとって、お客様に
最高のマリアージュをご提案することは、生き甲斐であり、誇りでもあった。

しかし、妻子ある大学教授・遠野晶平と不倫関係にある彼女は、こと自分の結婚のこ
ととなると確かな未来が見えてこない。迷いがないと言えば嘘になる。そんな彼女が
出逢った言葉は“メトレス”—愛しあっていても愛に縛られない、仕事を持ち自立す
る“愛人”—彼女はこれこそ自分が求める生き方だと考えた。「結婚だけが最良の選
択じゃない。結婚したときから愛は惰性に変わる。ならば、逢えるときだけ熱く燃え
るメトレスでありたい」と。

だが、修子の誕生日の夜、遠野は100万円の預金通帳を差し出し、毎月20万円の
支払いを申し出る。男性に頼って生きる女にはなりたくない—通帳を突き返した修子
だったが、彼女が理想とする“メトレスの関係”は、すでに崩れはじめていた。そし
て数日後、2人の関係が家族に知れてしまったことで離婚を決意した遠野は、修子に
結婚を迫る。金を受け取らず、結婚も望まず、自立して仕事することにこだわる修子
に、遠野は次第に焦りを覚えはじめてもいた。彼女の愛と献身をますます要求しはじ
めた遠野を前に、仕事に生きるべきか、愛のみに生きるか、修子は重大な決断を迫ら
れていた_!?

<STAFF>
原作:渡辺淳一(文春文庫刊)
監督:鹿島勤
製作:植村伴次郎
脚本:ジェームス三木、鹿島勤
音楽:三枝成彰
主題歌「夕陽の中に」:森山良子(ポリドール)

<CAST>
片桐修子:川島なお美
遠藤晶平:三田村邦彦
岡部要介:石橋保
絵里:大島さと子
遠野美智子:りりィ
遠野聖子:小野麻亜矢
馬場:田山涼成
峯尾洋子:大河内奈々子
学長:田嶋陽子