この度、映画史にその名を刻む選りすぐりの怪作、珍作、迷作、凡作、奇作を集めた「奇想天外映画祭 Bizarre Film Festival~Freak and Geek アンダーグラウンドコレクション2019~」(6月8日(土)より新宿K’s cinema にて開催)の予告編を解禁致します。

本物の見世物芸人が多数登場した衝撃の問題作、トッド・ブラウニング監督『フリークス』。ドラッグとアルコール中毒でサナトリウムに入院し、狂乱と死すれすれの状態を彷徨っていた自らの体験を目眩く現れるシュールな映像で再現した奇作、コンラッド・ルークス監督『チャパクア』。見世物小屋に生きる人間模様を描いた群像ドラマ『見世物』。アメリカ映画史上、最低の映画監督と呼ばれたエド・ウッドの、処女作にして女装趣味映画『グレンとグレンダ』、放射線で人間の超人化に挑むSFホラー『怪物の花嫁』、宇宙人が死者を蘇らせて9回目の地球征服を企む最低映画の金字塔『プラン9・フロム・アウタースペース』の3本を一挙上映。
シネマ・ノーヴォの誕生を世界に告げたブラジルの“狂気の映像作家”グラウベル・ローシャの荒々しくも繊細でパワー溢れる映像解体シンフォニー『大地の時代』。『リアリティのダンス』、『エンドレス・ポエトリー』など今なお旺盛に映画制作を続けるアレハンドロ・ホドロフスキーが、1989年に撮った衝撃の神話的奇作『サンタ・サングレ/聖なる血』。アメリカ中に突然殺人トマトが現れ人間を襲い始める不朽のカルト映画『アタック・オブ・ザ・キラートマト』。強制的に身体を切り離されたシャム双生児たちの復讐譚『バスケット・ケース』。デブの中年女と結婚詐欺師が愛と嫉妬にまみれた冷血な殺人事件を繰り返す実話をリアルに描いた衝撃作『ハネムーン・キラーズ』。以上の11本となります。

いずれの作品もインターネット全盛の現在でも配信やソフト化も殆どされることのないヤバイ作品ばかりが集結しました。開催にあたり本映画祭の推薦人、映画評論家の柳下毅一郎さんよりお言葉も頂いております。何かと堅苦しい世の中ですが、是非本上映に足をお運び頂き、一服の清涼剤、あるいは人生を変える作品との出会い、そして一生のトラウマとなれば幸いです。

「奇想天外映画祭 Bizarre Film Festival~Freak and Geek アンダーグラウンドコレクション2019~」
場所:新宿K’s cinema
日時:6月8日(土)~6月21日(金)
配給:アダンソニア
宣伝:岩井秀世
デザイン:渡辺純

すぐれた演技、巧みなストーリーテリング、美しい映像、心地よい音楽、映画史的意義、完成度、感動……それら映画として求められることすべてに潔く背を向けてでも、追求せずにはいられないことがある。誰もやっていないこと、やりすぎてグロテスクになってしまうこと、誰も見たことがないものをスクリーンに映しだすために、ほかのすべてを犠牲にする。
ごくまれにそんな映画がある。ただ個人的妄執のみによって、観客など無視して、個人的名声さえも求めず、ただやりたいようにやった結果生まれてしまう映画。そんな映画だけが本当の意味で人を驚かすことができる。そんな映画との出会いこそが、あなたの一生を変えてくれるかもしれない。

柳下毅一郎(映画評論家)

作品紹介 『フリークス』
(1932/アメリカ映画/64分(オリジナル版90分)/35ミリ)
監督:トッド・ブラウニング
出演:ハリー・アールズ、ウォーレス・フォード、オルガ・バクラノヴァ
“心の醜い人間こそが怪物だ”。90年近くの時を経て今なお燦然と輝く“映画史上唯一無二の存在”ともいえる奇跡の怪作。
©1932MGM

『チャパクア』
(1966年/アメリカ映画/82分/DVCAM/ヴェネチア映画祭銀獅子賞)
監督:出演:コンラッド・ルークス
出演:ウイリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ、ジャン=ルイ・バロー
「チャパクア」とは”流れる水の源”の意。ドラッグとアルコールで入院したサナトリウムで体験した世界を目の眩むようなシュールな映像で再現したルークスの処女作にして唯一無二のビート・ムービー。

『見世物』
(1927/アメリカ映画/76分/サイレント映画/BD)
監督:トッド・ブラウニング
出演:ジョン・ギルバート、ルネ・アドレー、ライオネル・バリモア
サーカス小屋出身の監督ブラウニングが見世物小屋に生きる“過去を持つ”さまざな人間たちを描いた群像ドラマで、5年後の「フリークス」を予感させるシークエンスも登場する。
©1927MGM

『グレンとグレンダ』
(1953年/アメリカ映画/67分/35ミリ)
監督・原案・出演:エド・ウッド
出演:ベラ・ルゴシ、ドロレス・フラー
“とにかく映画大好き”な監督エド・ウッド、29歳の長編デビュー作。 筋金入りの女装マニア、エド・ウッドが手がけた処女作は女装趣味映画。
デヴィッド・リンチ最愛のエド映画として知られる!?
©1953 Poly Film

『怪物の花嫁』
(1955年/アメリカ映画/66分/35ミリ)
監督:エド・ウッド
出演:ベラ・ルゴシ、トー・ジョンソン、トニー・マッコイ
放射線で人間の超人化に挑むSFホラーだが、途中製作資金がなくなり完成に1年かかった。クライマックスのベラ・ルゴシとぬいぐるみ巨大タコとの大格闘シーンには絶句させられる、こと請け合い。
©1955 Poly Film

『プラン9・フロム・アウタースペース』
(1956年/アメリカ映画/76分/35ミリ)
監督:エド・ウッド
出演:トー・ジョンソン、バンパイラ、ベラ・ルゴシ
監督エド・ウッドは映画を撮る才能が全くなかった。そして彼の作品は中途半端な駄作ではなかった!宇宙人が死者を蘇らせて9回目の地球征服を企むというこのSF映画は“最低映画の金字塔”の名を刻んだ。
©1959 Poly Film

『大地の時代』
(1980年/ブラジル映画/151分/BD)
監督:グラウベル・ローシャ
出演:マウリシオ・ド・バッレ、ジェス・バラダン
シネマ・ノーヴォの誕生を世界に告げたブラジルの“狂気の映像作家”グラウベル・ローシャの荒々しくも繊細でパワー溢れる映像解体シンフォニー。“ブラジルの肖像の脇に置かれた私の肖像画”という言葉を残したローシャ43歳の遺作。
© 1980 GRUPO NOVO DE CINENA E TV

『サンタ・サングレ/聖なる血』
(1989年/イタリア=メキシコ合作/123分/BD)
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アクセル・ホドロフスキー、B・ゲラ、アダン・ホドロフスキー
“邪悪な悪魔の血でさえも天使の存在を思い浮かべる美しい瞬間がある” 伝説のヘッド・シネマの高僧ホドロフスキーが前作から8年ぶりに作り上げた衝撃の神話的奇作。ホロロフスキーは“この映画は神の技だ。神が私に作らせた”と語っている。
© 1982 Medallion Media

『アタック・オブ・ザ・キラートマト』
(1978年/アメリカ映画/87分/BD 提供:キングレコード)
監督、製作、脚本、編集、音楽:ジョン・デベロ
出演:デヴィッド・ミラー、ジョージ・ウイルソン
アメリカ中に突然殺人トマトが現れ人間を襲い始める。政府が極秘に開発していた巨大トマトが突然変異を起こして人間襲撃を始めたのだ…。 あまりに馬鹿馬鹿しいストーリー展開は公開当時“不朽のZ級映画”と揶揄されたが、今や伝説を超えたカルト珍作。
© 1978 KILLER TOMATO ENTERTAINMENT

『バスケット・ケース』
(1982年/アメリカ映画/91分/BD 提供:キングレコード)
監督:フランク・ヘネンロッター
出演:ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック、テリー・スーザン・スミス
強制的に身体を切り離されたシャム双生児の兄ベリアルをカゴに入れて持ち運ぶ弟ドウェイン。彼らは術後ベリエルを生きたままゴミ箱に捨てた医師たちへの復讐を始めるのだが…。16ミリで撮られた映像が不気味なリアリティを生み出している。後世に語り継がれるホラー迷作である。
© 1981 The Basket Case Co. All rights reserved.

『ハネムーン・キラーズ』
(1970年/アメリカ映画/103分/DCP 提供:キングレコード)
監督・脚本:レナード・キャッスル
出演:シャーリー・ストラー、トニー・ロー・ビアンコ
デブの中年女ベックと結婚詐欺師フェルナンデスが愛と嫉妬にまみれた冷血な殺人事件を繰り返し3年間で20人以上の女性を殺したとされる実在の事件をリアルに描出した衝撃作。F・トリュフォーが“最も好きなアメリカ映画”だと語ったこの作品はオペラ作曲家レナード・キャッスルが手がけた唯一の映画であり、半世紀を経て、今や“真の怪作”に昇華した。
© 1969 ROXANNE CO. ALL RIGHTS RESERVED.

■予告編
https://youtu.be/cSIcULW28ZQ