この度、映画部門において、平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣賞を塚本晋也監督が受賞することが決定した。古くは成瀬巳喜男、溝口健二、市川崑など名だたる監督たちが受賞した、今年で69回目を誇る由緒ある賞だ。贈賞の理由については「一貫して脚本、美術、撮影、編集、出演を兼ねた映画作りをしているが、制約の多い時代劇の『斬、』においてもそのスタイルを貫き、映画を志す者に刺激を与え続けている。一方で、日本映画史上の時代劇に敬意を払いつつ、「人を斬る」ことの意味を通じ、今までの時代劇には見られない「生と死」を巡る哲学的な考察に踏み込んでいる。それは正に現代社会を撃つことにほかならず、時代を超えた塚本映画の到達点となった」と挙げられた。
「常に高度な作家性を保ちながら独自の映画製作を続けて世界にもその名を知られ、今回は初の時代劇『斬、』に挑戦した映画監督の塚本晋也氏を選出した」との選考の経過も届いている。国内外を問わずに多くの受賞に輝いている本作は、ユーロスペースにて15週のロングランを続けている。授賞式は12日に行われる。

主な参加映画際と受賞歴
・第75回ヴェネチア国際映画祭 コンペティション部門
・第43回トロント国際映画祭 マスターズ部門
・第51回シッチェス・カタロニア国際映画祭 ★最優秀音楽賞受賞 石川忠
・第23回釜山国際映画祭 ガラ・プレゼンテーション部門
・第55回台北金馬映画祭
・第13回キノタヨ現代日本映画祭
・第19回ニッポン・コネクション ★ニッポン名誉賞受賞 塚本晋也
・第48回ロッテルダム国際映画祭
・第43回香港国際映画祭
・第13回アジア・フィルム・アワード 助演男優賞・編集賞ノミネート 塚本晋也、音響賞ノミネート 北田雅也 (発表2019年3月17日)
・第33回高崎映画祭 ★最優秀作品賞受賞 塚本晋也監督スタッフ・キャスト一同、 ★最優秀主演男優賞受賞 池松壮亮
・第73回毎日映画コンクール ★男優助演賞受賞 塚本晋也、スポニチグランプリ新人賞(男性) ノミネート 前田隆成、音楽賞ノミネート 石川忠、
録音賞ノミネート 北田雅也
・第28回東スポ映画大賞 助演男優賞ノミネート 塚本晋也

太平の世が揺らぎはじめた幕末。人を斬ることに苦悩する一人の侍。生と暴力の本質を問う。
250年にわたり平和が続いてきた国内が、開国するか否かで大きく揺れ動いていた江戸時代末期。貧窮して藩を離れ、農村で手伝いをしている浪人の杢之進(池松壮亮)は、隣人のゆう(蒼井優)やその弟・市助(前田隆成)たちと、迫り来る時代の変革を感じつつも穏やかに暮らしていた。ある日、剣の達人である澤村(塚本晋也)が現れ、杢之進の腕を見込んで京都の動乱に参戦しようと誘いをかける。旅立つ日が近づくなか、無頼者(中村達也)たちが村に流れてくる・・・・。時代の波に翻弄されながらも、人を斬ることに疑問をもつ侍と彼に関わる人々を通して、生と暴力の問題に迫る。観る者の心に刃(ヤイバ)を突きつける衝撃作。

監督、脚本、撮影、編集、製作:塚本晋也 出演:池松壮亮、蒼井優、中村達也、前田隆成、塚本晋也 【公式サイト】
zan-movie.com
2018年/日本/80分/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー 製作:海獣シアター/配給:新日本映画社 (C)SHINYA
TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

ユーロスペースほか全国にて大ヒット公開中!