≪カナザワ映画祭2018「期待の新人監督」部門のオープニングを飾った“問題作”がついに公開!≫

あたかも信仰のように社会のデジタル化が進む中で、時代に抗う1本の映画が制作された。始まりと終わりを意味する言葉「阿吽(あうん)」をタイトルに冠したこの映画は、全編8mmモノクロフィルムで撮影。ザラついた映像が破壊と再生を繰り返す現在の東京と人間の不確かさを浮き彫りにする。

監督は、『胸騒ぎを鎮めろ』(06)『SayGoodbye』(09)などの作品が高い評価を得た楫野裕。本作が初の長編となる。

20XX年。都内大手電力会社に勤める男はある晩会社にかかってきた電話をとる。電話口からは「ひとごろし」という声がした。幻聴か、現実か。神経衰弱に陥った男の日常が徐々に揺らぎ始める。救いを求めて彷徨い歩く男は、やがて得体の知れない巨大な影を見る。その正体は何なのか。男の不安が頂点に達した時、ついに“魔”が都市を覆い始める――

映画『阿吽』は、4月13日(土)よりアップリンク吉祥寺にて公開。


<イントロダクション>

あたかも信仰のように社会のデジタル化が進む中で、時代に抗う1本の映画が制作された。
「阿吽(あうん)」をタイトルに冠したこの映画は、懐古趣味ではなく、最先端の手段として8mmモノクロフィルムを選択している。ザラつきながらも深度のある闇。一瞬差し込む光線の煌めき。
いずれもが破壊と再生を繰り返す現在の東京と人間の不安を浮き彫りにする。
監督は、『胸騒ぎを鎮めろ』(06)『SayGoodbye』(09)などの作品が高い評価を得た楫野裕。
初の長編となる本作は、カナザワ映画祭2018「期待の新人監督」部門のオープニングを飾った。

<ストーリー>
  
20XX年。都内大手電力会社に勤める男はある晩会社にかかってきた電話をとる。
電話口からは「ひとごろし」という声がした。幻聴か、現実か。
神経衰弱に陥った男の日常が徐々に揺らぎ始める。救いを求めて彷徨い歩く男は、
やがて得体の知れない巨大な影を見る。その正体は何なのか。
男の不安が頂点に達した時、ついに“魔”が都市を覆い始める――

<コメント>
■平山夢明
作家

あうんというのは梵語で意味するところの万物の始めから終わりとのことであるが、本作では世界に個人が飲み込まれる時の音のように思える。

■伊藤洋司
中央大学教授

ここには、まぎれもなく映画が息づいている。物語に恐怖するのではない。映画に恐怖するのだ。

■田村千穂
映画批評・研究

古典的なショットの連なりの中心を、現代を生きる人間のエモーションが貫いている。
驚くべきラスト。この映画の大胆不敵さに茫然とする。

■武田崇元
八幡書店社主

原発と地震によって播種された〈死〉に浸食され憑依された男の悪夢と狂気を奇才・楫野裕監督は
8ミリでしか絶対に表現できない異様な質感で迫り見る者を震撼させるのである。

■七里圭
映画監督

これは、本当に21世紀の現代日本で作られた映画だろうか?
何ともアナクロな、古式ゆかしい自主映画テイストでつづられた戦慄のポエジー。
全編8mm白黒フィルムで撮られたからそうなのだ、というだけでは決してあるまい。
前世紀から続く、まさに怨念というべき何かが映っている。ヤバい!

<キャストプロフィール>

岩田寛治 役:渡邊邦彦 (わたなべ・くにひこ)
1981年東京都出身。『多重人格探偵サイコ』(2000)より、映像演技をはじめる。
主な出演作品に、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010)、『HEAVENHELL』(マレーシア映画・2010)、『へんげ』(2011)
『ABC・オブ・デス2』(アメリカ映画・2014)、『road to the sky」Qing bi shan gao』(中国映画・2015)、『EVIL IDOL SONG』
(2016)、『エキストランド』(2017)。今作『阿吽』(2019)にて、初主演。公開待機作に、Liao Jiekai 監督作『夏の脱ぎ方』、
Andy Amadi Okoroafor 監督作『20£ Dream』(フランス・ナイジェリア映画)がある。

志帆 役:堀井綾香 (ほりい・あやか)
1985年生まれ、大阪府出身。8歳でジャズダンスを始め、表現や創作の楽しさを学ぶ。
渋谷のミニシアターで働きながら映画や舞台、アート作品に出演。初監督した主演作『dear TOKYO』はSTARDUST DIRECTORS film fes. 2018賞を受賞し、第19回TAMA NEW WAVEなど他映画祭でも多数入選・上映される。

<監督プロフィール>

楫野裕 (かじの・ゆう)
1978年生、神奈川県平塚出身。
高校卒業後、安価なビデオカメラとiMacで地元の仲間たちと映像制作を始める。大学卒業後、NCWの16mmフィルム実習に参加。その時に出会った数名の同志と“キャタピラフィルム”を結成し自主映画制作に邁進する。
2006年『胸騒ぎを鎮めろ』がPFF入選。他に『SayGoodbye』(2009)『世界に一つだけの花』(2013)などの短編中編を監督し、高い評価を得る。創作グループ“第七詩社”との出会いから8mmフィルムの撮影現場を経験し、初の長編作品『阿吽』を完成させる。

フィルモグラフィー
・『呆け磁針』 (2003)/DV/35分
・『胸騒ぎを鎮めろ』 (2006)/DV/48分 PFF入選・2007ニッポンコネクション上映
・『SayGoodbye』 (2009)/DV/51分 2009年CO2=シネアストオーガニゼーション入選
・『同僚の女』 (2009)/DV/10分
・『世界に一つだけの花』 (2013)/HD/36分 イメージフォーラム主催ヤングパースペクティブ2014入選
・『阿吽』 (2018)/8mm→HD/74分 カナザワ映画祭2018「期待の新人監督」部門オープニング作品

<クレジット>

脚本・編集・監督・プロデューサー:楫野裕 出演:渡邊邦彦 堀井綾香 佐伯美波 篠原寛作 宮内杏子 松竹史桜 上埜すみれ
板倉武志 安竜うらら 井神沙恵 岡奈穂子 佐藤晃 國岡伊織 鈴木睦海 瑞貴 中信麻衣子 長谷陽一郎 山下輝彦 いとうたかし
ターHELL穴トミヤ 新谷寛行 野崎芳史撮影:宮下浩平 照明:伊東知剛 監督補:植田拓史 記録:仙元浩平 俗音:近藤崇生
音楽:河野英 特殊メイク:土肥良成 鈴木雪香 宣伝美術・劇中画:Ullah 宣伝:contrail 製作・配給:第七詩社
2018/日本/74分/8mm→DCP/モノクロ/1:1.33/ステレオ  ©2018yukajino