※アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品
カンヌ国際映画祭2018コンペディション部門 審査員賞&エキュメニカル審査員賞受賞作品
『CAPHARNAU(・・)M』(原題:カペナウム)

僕は両親を告訴する。

まともに育てることも、愛を与えることもできないのになぜ自分を産んだのか―。 
12歳の少年ゼインの目線で、中東の貧困、移民などの社会問題を映し出す衝撃作。

初の長編映画で監督・脚本を担当し主演も果たしたデビュー作『キャラメル』(07)で、カンヌ国際映画祭監督週間にて初上映後、多くの映画賞を受賞したナディーン・ラバキー監督。本作品でもカンヌ国際映画祭のコンペティション部門審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞、先のゴールデン・グローブ賞でも外国語映画賞にノミネートされ世界中の映画祭などで高い評価を受けている。
主人公のゼインを始め、キャスティングの多くは同じような境遇の人々が集められ、映画と同じような状況下で暮らしている人々が演じている。フィクションではあるが監督が目撃し、3年間のリサーチ期間に経験した内容を盛り込んでおり、それゆえに目をそらしたくなるような生々しさが感じられ現実味を増している。困難で残虐な大人の世界に放り込まれてしまった子供たちの目を通して、貧困問題、育児放棄、移民問題などを映し出す。

【STORY】
中東の貧民窟で両親と多くの兄弟姉妹と暮らす12歳のゼインは、貧しい両親が出生届を提出していないため、IDを持っていない。ゼインには11歳の仲良しの妹がいるが、知り合いの年上の男性と強制結婚させられてしまう。それに反発したゼインは家出し、仕事を探そうとするが、IDがないので仕事に就けない。沿岸部のある町のレストランで働くエチオピア移民の女性と知り合う。彼女には赤ん坊がいたが、国外退去を免れるため、赤ん坊の存在を隠していた。ゼインは赤ん坊の世話をしながら、一緒に暮らし始める。しかしその後、家に戻ったゼインは強制的に結婚させられた妹が病院で亡くなったことを知り、ナイフを持って妹の夫の家に向かう。ゼインは妹の夫を刺した罪で逮捕される。その裁判でゼインは「最低限の暮らしと安全と愛情を与えることができないなら子供を産むな」と両親を訴える―。

監督:ナディーン・ラバキー 『キャラメル』
キャスト:ナディーン・ラバキー ゼン・アル・ラファ、ヨルダノス・シフェラウ、 ボルワティフ・トレジャー・バンコレ 他
(ドラマ/ 120min/ アラビア語/ レバノン、フランス)  配給:キノフィルムズ/木下グループ
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