<この30年…… 外套のことだけ考えてきた>

ユーリー・ノルシュテインが挑む、ゴーゴリの名作―小説「外套」

ロシアを代表するアニメーション作家ユーリー・ノルシュテイン。『話の話』『霧の中のハリネズミ』など数々の名作を生み出し、手塚治虫、宮崎駿、高畑勲監督ら日本の巨匠をはじめ世界中のアニメーション作家たちから敬愛されている。彼は30年以上の歳月をかけて、ロシアの文豪ゴーゴリの名作「外套」のアニメーション作品を制作しているが、未だ完成に至っていない。それどころか、近年は撮影が止まっているという。2016年6月、カメラはモスクワにあるノルシュテイン・スタジオ“アルテ”に向かう。そこにはおびただしい数のスケッチ、キャラクターパーツ、埃をかぶった撮影台が……。

ゴーゴリの小説「外套」は帝政ロシア時代のサンクト・ペテルブルグが舞台の物語。真面目で貧しい下級役人アカーキー・アカーキエヴィッチは、生活を切り詰めて貯めたお金で念願の新しい《外套》を手に入れた。しかしある夜、追剝ぎに新しい《外套》を盗まれてしまう。失意のうちに死んだ彼は幽霊となり、夜な夜な盗まれた《外套》を捜しに現れる――。

世界が待望する『外套』はいつ完成するのか、なぜ『外套』なのか。未完の映像を織り交ぜながら、ノルシュテインが自身の心の内を語る。監督はノルシュテインと古くから交流を持つ才谷遼(『セシウムと少女』(14))。編集に『おくりびと』で日本アカデミー賞を受賞した川島章正、撮影に加藤雄大を迎え、アニメーションの“神様”に対峙する。

なお本作の公開にあわせて、「ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映~アニメーションの神様、その美しき世界~」の同時再上映も決定している。

監督・出演:才谷 遼

出演:ユーリー・ノルシュテイン、ラリーサ・ゼネーヴィチ、マクシム・グラニク、 ターニャ・ウスヴァイスカヤ

構成・編集:川島 章正 撮影:加藤 雄大 楽曲演奏:ボリス・ベレゾフスキー 通訳・字幕翻訳:児島 宏子

助成:文化庁文化芸術振興費補助金

配給:ラピュタ 配給協力:ノーム

公式サイト:http://making-overcoat.com/ 

3月下旬、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー