2011年7月22日。実際に起こったノルウェー連続テロ事件。ウトヤ島での無差別銃乱射事件の発生から終息に至るまでの72分間をワンカットで撮影した『ウトヤ島、7月22日』が、3月8日(金)より全国公開いたします。監督は『ヒトラーに屈しなかった国王』で、アカデミー賞外国語映画賞ノルウェー代表作品に選出されたエリック・ポッペ。本作は2018年度、第68回ベルリン国際映画祭エキュメニカル審査員賞スペシャルメンションを受賞、第31回ヨーロッパ映画賞撮影監督賞を受賞しております。
本作は、ほぼ全編ワンカット撮影という性質や、エリック・ポッペ監督の意向により、作品のスチールは非常に限られた枚数に絞られております。日本での劇場公開にあたり、特別に追加のスチール3点を本作のプロデューサーおよび監督より許可がおり、合計4点の場面写真を解禁する運びとなりました。
本作で全編にわたってカメラが追いかけるのは、突然降りかかった銃撃パニックに激しく取り乱しながらも、愛する妹を必死に捜し続けるカヤという少女。カヤが極限の恐怖の中でいかに行動していったかを、実際の事件の生存者の証言に基づいて描き出しています。 

突然の銃声が一瞬にして打ち砕いた夢と希望。
テロに襲われた若者たちは、いかに生き抜こうとしたか―
政治に関心ある数百人の若者が集い、キャンプファイヤーやサッカーに興じながら政治を学び、国の未来について語り合っているウトヤ島。そんなこの世の楽園のような場所を突如として銃声が切り裂き、キャンプ参加者の夢と希望を一瞬にして打ち砕く。何が起こっているのかわからないまま仲間たちと森へ逃げ込んだ少女カヤは、その恐怖のまっただ中でありったけの勇気を奮い起こし、離ればなれになった妹エミリアを捜し始めるのだが……。
<ウトヤ島での無差別銃乱射事件とは>

2011年7月22日。治安が安定した北欧の福祉国家ノルウェーが、悪夢のような惨劇に襲われた。午後3時17分、首都オスロ政府庁舎爆破事件により8人が死亡。さらに午後5時過ぎ、オスロから40キロ離れたウトヤ島で銃乱射事件が発生。ノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加していた十代の若者たちなど69人が殺害された。犯人はたった一人。当時32歳のノルウェー人、アンネシュ・ベーリング・ブレイビク。
ノルウェーでは各政党ごとに青年部があり、夏になると若者たちを集めてサマーキャンプを開催する習慣がある。犯人のブレイビクはウトヤ島で労働党青年部のキャンプが行われる7月22日に狙いを定め、オスロで爆破を実行したのちに車で移動し、警官に成りすましてボートで島へ上陸。何の罪もない少年少女を、ライフルと小銃で手当たり次第に撃ちまくった。現地からの度重なる救助要請の通報にもかかわらず、警察の初動ミスに通信トラブルが重なったため、ブレイビクの冷酷な凶行は実に72分間にも及んだ。
本作は、ウトヤ島でのテロに焦点を絞り、事件発生から終息に要した時間と同じ尺、つまりリアルタイムの72分間ワンカットで無差別銃乱射事件を映像化する手法に挑戦した。センチメンタルなドラマや音楽などの装飾を一切排除し、登場人物の心の葛藤と身体的な反応を生々しいほどダイレクトに伝えてくる。映画と観客の間の垣根をすべて取り払い、想像を絶する緊迫感と臨場感でこのテロ事件を体感させる衝撃作である。
   

監督:エリック・ポッペ 『ヒトラーに屈しなかった国王』 撮影:マーティン・オターベック
出演:アンドレア・バーンツェン、エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン
2018年/ノルウェー/ノルウェー語・英語/カラー/ビスタ/97分/字幕翻訳:北村広子/字幕監修:大久保義信/原題:Utøya 22. juli 
提供:カルチュア・パブリッシャーズ、東京テアトル 配給:東京テアトル 後援:ノルウェー大使館  http://utoya-0722.com/
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