リンクレイター監督が語る名優たちの演技

『6才のボクが、大人になるまで。』で世界の賞レースを席巻したリチャード・リンクレイター監督最新作『30年後の同窓会』が、6月8日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて公開となります(配給:ショウゲート)。
妻に先立たれ、更にイラクの戦地で最愛の息子を失い悲しみに暮れるドク(スティーヴ・カレル)。彼は亡くなった息子を故郷に連れて帰る旅に、30年間音信不通だった戦友・サル(ブライアン・クランストン)とミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)を誘うところから始まる。過去の事件でトラウマを抱え、その後の人生が大きく変わってしまった三人の再会がもたらしたものとは…?
リンクレイター監督が12年もの年月温めてきた本作の元に集ったのは全員アカデミー賞ノミニーという豪華俳優陣。スティーヴ・カレルは『フォックスキャッチャー』(14)、ブライアン・クランストンは『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(15)、ローレンス・フィッシュバーンは『TINA ティナ』(93)でと、それぞれアカデミー賞主演男優賞ノミネート経験を持つ名優達。これまでも演技力に定評のある俳優たちと多くの作品を生み出してきたリンクレイター監督は今回、同年代の名優3人が揃ったことについて「スティーヴ、ブライアン、ローレンスはとても愉快な人で、それぞれが独特なユーモアのセンスと感情表現をもっている。彼らが演じるキャラクターは、30年前は兄弟のようだった男たちが中年になり、昔のように向き合った時にどんな気持ちになるのか、掘り下げてみたかった」と、このキャスティングだからこそできるテーマにとても意欲的だったことが分かるコメントを寄せている。
押さえた感情表現がドクの悲しみの深さを想像させる演技をしたスティーヴ・カレルについて「スティーヴの出演作品はすべて観てきた。素晴らしい俳優であると同時に、とても繊細で、思慮深く、内面がカメラを通してよく伝わる。ドクはとても難しいキャラクターだが、彼のとても繊細で思慮深い演技によってドクの内面がカメラを通してよく伝わる。だから私たちは彼の旅に入り込むことができる。複雑なキャラクターを見事に演じきってくれた」と大絶賛。
 常に飲むか食べるか喋るか、じっとしていられない男・サルを演じたブライアン・クランストンについては「普通はスティーヴが陽気で、ブライアンはシリアスな役を演じると思うが、ブライアンに愉快でクレイジーなサル役をオファーした。彼は役柄に埋没し、まったく違う人間に成り切ることができるカメレオン俳優。ブライアンはサルという人物に素晴らしいエネルギーをもたらしてくれました」と、あえて意外なキャスティングに挑戦したことを明かしている。
 キャスティングの際に監督が「彼しかいない」とオファーしたのは、“殴り屋”というあだ名がつくほど気性が荒かった過去を反省し、今は地元住民に慕われる牧師となったミューラー役にローレンス・フィッシュバーン。二面性のある人物を演じたフィッシュバーンについて「物語の前半、サルの悪ふざけにキレてからの彼には“殴り屋ミューラー”が一方の肩に、もう一方には“牧師ミューラー”が載っている。フィッシュバーンはこういった葛藤を演じきる素晴らしい仕事をしてくれた」と語った。
 全員が初共演ながら、本当に30年来の友人のような掛け合いを見せるスティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーン。回想シーンは一切なし、30年前に体験した戦争と事件、過ごした年月を会話のみで表現するという、名優が揃ったからこそ実現した映画『30年後の同窓会』は、6月8日(金)公開となります。

共感&絶賛の声、続々!応援コメント
※50音順、敬称略

■落合有紀(編集者/ライター)
2回泣いちゃいました。ブライアン・クランストンは目尻のシワまでヤンチャで素晴らしい。

■小堺一機
友はそんなに沢山は要らない。お互いの根っ子を知っている奴が本当の友だろう。
こんな友が自分にはいるかな?と一寸ばかり心配になった。そ
んなことを考えさせてくれる、そしてアメリカの光と闇まで感じさせてくれる深くて静かな感動をもらえた。感謝!

■後藤岳史(映画ライター)
渋い役者たちが皆良くて、面白かった。
『さらば冬のかもめ』と原作者が同じというだけでなく、映画として気脈を通じ合っています。
ともに、やるせなさの底流に反骨精神が秘められていて、リンクレイターのオマージュを感じます。

■相馬学(映画ライター)
事実を語り、それを知る。
作り事を語り、それを信じる。かたちは違えど、俗者も聖者も語る愛は同じ。
過去を共有する男たちの関係性に浮かび上がる絆。その深い、深い温かさに心が震える。

■高橋諭治(映画ライター)
ユーモアと苦味が入り混じる、寄り道だらけの人生模様。
親密でありながら決してべたつかない主人公3人の絶妙な距離感、そして旅の終着点の厳かさがじわりと胸に染みる一作だ。

■森本毅郎(キャスター)
ベトナム戦争、湾岸戦争が残した痛みを、三人の主人公の旅を通して時には物悲しく、時にはユーモラスに描いている。
30年後に再会した退役軍人の3人の掛け合いが演技を感じさせずとても自然で見事!

■門間雄介(編集者/ライター)
後戻りできない過去と、行く手の定かでない未来の狭間で、
時の流れに翻弄されるミドルエイジの男たちの姿が、しみじみと胸にせまる。