この度ノーベル文学賞受賞作家アルベール・カミュ原作の映画『涙するまで、生きる』を初夏、イメージフォーラムほか全国順次にて公開する運びとなりました。

本作は、フランスからの独立運動が高まるアルジェリアを舞台に、殺人容疑で連行されてきたアラブ人と人里離れて暮らしていた教師が、争いに巻き込まれながら険しい旅路で心を通わせていくヒューマンストーリーです。第71回ベネチア国際映画祭にてコンペティション部門、トロント国際映画祭2014 SPECIAL PRESENTATIONS部門に出品され、世界で繰り返される戦争の本質をつく見事な物語、そしてかつてないほど人間味豊かな役を熱演した主演のヴィゴ・モーテンセンが称賛されました。解く術のない誤解、復讐の連鎖で加速する悲劇を前に、人間が分かりあうことの困難さと尊さを問いかけます。

世界に正義という答えはあるのか——、人生観を揺るがす感動の物語
1954年フランスからの独立運動が高まるアルジェリア。元軍人の教師・ダリュのもとに、殺人の容疑をかけられたアラブ人のモハメドが連行されてくる。裁判にかけるため、山を越えた町にモハメドを送り届けるよう憲兵に命じられ、ダリュはやむを得ずモハメドを連れて町へ向かう。復讐のためモハメドの命を狙う者たちの襲撃、反乱軍の争いに巻き込まれ、共に危険を乗り越える内に、二人の間には友情が芽生え始めるが……。
『アルジェの戦い』『異邦人』『最初の人間』、フランスとアルジェリアを巡る名作映画を超える傑作が、ついに誕生した。原作はノーベル文学賞作家、アルベール・カミュの短編集『転落・追放と王国』の一編。累計40万部を超えるベストセラー小説である。セザール賞やカンヌ国際映画祭を賑わす新進気鋭のフランス人監督、ダヴィッド・オールホッフェンが脚色。解く術のない誤解、復讐の連鎖、正義が孕む不条理…加速していく悲劇を前に、異なる人間がわかりあうことの困難さと尊さを問いかける。ふたつの祖国の板挟みとなったカミュが投影された主人公の葛藤を、語学の天才ヴィゴ・モーテンセンがフランス語とアラビア語を操り見事に体現した。

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執筆者

Yasuhiro Togawa