映画『ガレキとラジオ』上映会受付を再開 映画の上映会を通じた震災風化防止、東北復興支援活動を再稼働
株式会社ワンダーラボラトリー(本社:東京都渋谷区、代表取締役:山国 秀幸)は、2014年3月から中止していた自社製作の映画『ガレキとラジオ』の上映会受付を、本日より再開しました。上映会再開にあたり、プロデューサーの山国 秀幸がコメントを発表いたしました。
【『ガレキとラジオ』プロデューサーコメント】
映画『ガレキとラジオ』上映会受付再開のお知らせ
私たちは、この度、映画『ガレキとラジオ』の上映を再開することにしました。
3月5日、新聞より、本作にやらせがあり、そのことで出演者の被災者女性が大変苦しんでおり、映画の上映会が広がることで更なる苦しみを負われているとの報道がありました。報道内容が事実であれば、製作者として謝罪すべきだと判断し謝罪を行い、全国の上映会主催者の皆様には上映中止をお願いし、上映会受付は中止しました。
その後、出演女性が弁護士を通じて新聞社に対して、「やらせではなく、記事そのものが事実に基づかないねつ造」と質問状を送られました。出演女性ご本人に直接お会いし、確認させていただきましたところ、報道内容が真意とは違うこと、映画を大事に思ってくださり、再上映を何より望んでいることなどが分かりました。
また、この映画にご出演くださった「FMみなさん」の元スタッフの方々や、この映画を観ていただいた全国の皆様からは、「このまま上映中止にしてはならない」という声も続々と頂戴し、上映再開について関係者で議論を重ねてまいりました。(詳細は5月1日の発表コメントをご参照ください)
http://www.311movie.com/pdf/re_pdf.pdf
そしてこの度、3月6日以降中止にしていた『ガレキとラジオ』の上映会の受付を再開することにしました。上映再開にあたっては、以下の対応をさせていただきました。
(1) 映画の一部を再編集
出演女性からは、「やらせではないので、このまま上映してください」とのコメントをいただきました。また、「ご本人の意向を尊重して再編集すべきでない」というご意見もいただきました。様々なご意見を受け止め、監督や制作スタッフの意向も考慮しながら検討を続けましたが、「これから映画をご覧になられる方々に、先入観なく観ていただくためには再編集が最良の手段」という結論に至り、報道で「やらせ」とされた出演女性とラジオが関わっている場面を差替えました。なお、該当場面を差替えても映画の本筋には影響ありません。
(2) 現在の出演者のインタビューを追加
2014年3月時点の出演者のインタビューや近況報告をエンドロールの後に追加しました。震災から3年以上が経ち、被災地の環境は少しずつ復興に向けて進んでいますが、被災者の状況は変わっていません。出演者の中でも、失業している方、不安に思われている方、失った家族のことを想っている方などがおられます。彼らの直近の状況を伝えることで、継続した被災地支援が必要だということを私たち自身が認識し、これから映画をご覧になられる方々にも改めてお伝えしていきたいと考えました。
(3) インタビューシーンは毎年更新
『ガレキとラジオ』の上映会の全国拡大に伴い、被災地を振り返らず、外ばかり向いて走っていた気がしています。毎年、出演者のインタビューを撮影し更新することで、私たち自身が被災地や被災者を振り返りながら、東北の最新状況を映画の中で伝えていきたいと思っています。タイトルも『ガレキとラジオ 2014』と変更し、上映会の要望がある限り、「2015」「2016」と続けていきたいと考えています。
(4) 過去に上映会をお申し込みいただいた全ての主催者様の上映料は無償に
過去に上映会を開催されたり、中止されたりした主催者様や劇場様に関しましては、上映料は無償とさせていただくことにしました(初回のみとさせていただきます)。上映会を中止にされた主催者様には、会場費のキャンセル代や印刷代などを当社で負担させていただく旨をご案内しましたが、ほとんど請求がありませんでした。ご迷惑をおかけしたにも関わらず、「上映再開時にはまた開催します」と温かい言葉もかけていただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。上映再開にあたり、もし許されるのであれば、再度開催検討の機会をいただきたいと考え、上映料無償にて提供させていただくことにしました。
以上が上映再開に際して対応させていただいた部分です。
再開検討にあたっては、報道後の様々な方々からの厳しいご意見も受け止め、議論を続けました。ただ、あの記事で“出演女性を傷つけている”という前提があったが故に、「被災者を苦しめた酷い映画とのその制作者」と世間を騒がせたのではないか?という思いも正直ありました。『ガレキとラジオ』のスタッフは、あの大震災直後という異常な状況で1年近くも被災者の近くで生活し、共に話をして、共に泣いて、共に笑って、時には相談相手になり、手を差し伸べ、応援しながら制作してきています。出演女性はスタッフの一人を「息子のように思っている」とさえ言ってくださっています。「東北復興支援」という純粋な想いで制作した監督やスタッフたちは、「まるで自分たちは犯罪者のようだ」と深く傷つきました。それぞれの考えが噛み合わず、再開断念を見据えたことが何度もありました。
今回の上映再開がどのように世の中に受け止められるのだろうか?という不安もあります。再編集を行うことで、あの記事の全てを肯定することになるのではないか?という悔しさもあります。しかし、上映再開を望まれ、映画を愛してくださっている出演女性や元「FMみなさん」の方々、映画を応援してくださっている方々からの温かいお言葉に支えられ、「もう一度、皆で東北支援の原点に戻ろう」という結論に至りました。出演女性にも直接お会いし、上映再開のご報告をさせていただいたところ、「本当に良かった」と大変喜んでいただきました。
この映画のテーマは「再生」です。この映画にご参加くださった皆々様と共に、映画自体も「再生」の道を歩ませてください。もう一度、この映画で被災地を応援させてください。私たちは今後も「上映会を通じた東北支援」を地道に積み重ね、微力ながら東北、南三陸町に還元していきたいと考えております。南三陸町への寄附は継続し、上映に伴う寄附額についても引き続き公式ホームページ上にて公表していきます。
(2014年9月2日時点:235万7,979円)
再上映への決断をどうかご理解いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
最後になりますが、ご迷惑やご心配をおかけしてしまったにも関わらず、出演者の皆様、南三陸町の皆様、上映会主催者様や劇場の皆様、全国の「観る会」の皆様、他たくさんの方々が再上映に向けて応援してくださいました。皆様の温かいお言葉は忘れません。改めて深くお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
2014年9月29日
映画『ガレキとラジオ』
エグゼクティブプロデューサー
山国 秀幸
【概要】
<作品名>
「ガレキとラジオ 2014」
被災地のために、映画にできること。
<内容>
2011年3月11日、日本の東北地方を襲った東日本大震災。宮城県・南三陸町も津波で大きな被害を受けました。それから2ヵ月後 — 被災地となった町に、自らも被災者である地元の人々が、地元の人々のために防災や避難情報を届ける一年間限定の災害ラジオ局「FMみなさん」が誕生します。自分たちも被災者だからこそ、ラジオを通じて一人でも多くの人に笑顔を届けたい。その思いがスタッフたちを支え、やがてそれは大きな奇跡を生むことになります。
<上映会受付>
2014年9月29日〜
<上映会申込先>
MAIL: gareraji@w-lab.jp
TEL : 03-6277-1181
FAX : 03-6277-1183
URL : http://www.311movie.com/
※上映会開催を希望される方には、映画のサンプルDVDを無料で貸出ししています。上記、問い合わせ先よりお申し込み下さい。
関連作品
http://data.cinematopics.com/?p=50029
執筆者
Yasuhiro Togawa