上映作品は、北京をこよなく愛した文豪・老舎の原作を映画化した《私の一生》《北京のドブ》、抗日戦争前に制作された《嵐の中の若者たち》《漁光曲》《大いなる路》です。いずれの作品にも日本語字幕を付けてDVD上映します。

●上映作品:劇映画《私の一生》
       1950年 文華影片公司 出品
       白黒/スタンダード/DVD/108分/日本語字幕
       原題◎我這一輩子          原作◎老舎『我這一輩子』
       監督◎石揮(シー・フィ)
       脚本◎楊柳青(ヤン・リゥチン)
       撮影◎葛偉卿(グー・ウェイチン)、林發(リン・ファー)
       主演◎石揮(シー・フィ)、魏鶴齢(ウェイ・フーリン)
          沈揚(シェン・ヤン)、李緯(リー・ウェイ)
          程之(チェン・ヂー)
      劇映画《北京のドブ》
       1952年 北京電影制片厂 出品
       白黒/スタンダード/DVD/112分/日本語字幕
       原題◎龍須溝            原作◎老舎『龍須溝』
       監督◎洗群(シュェン・チュィン)
       脚本◎洗群(シュェン・チュィン)
       撮影◎高洪涛(ガオ・ホンタオ)
       主演◎于是之(ユィ・シーヂー)、叶子(イェヅ)
          張伐(ヂャン・ファー)、于藍(ユィ・ラン)
          鄭榕(ヂェン・ロン)、劉節(リゥ・ヂエ)、牛犇(ニウ・ベン)
          黄素影(ホァン・スーイン)
      劇映画《嵐の中の若者たち》
       1935年 電通影片公司 出品
       白黒/スタンダード/DVD/94分/日本語字幕
       原題◎風雲児女
       主題歌◎『義勇軍進行曲』(田漢作詞、聶耳作曲)
       監督◎許幸之(シュィ・シンヂー)
       脚本◎夏衍(シァ・イェン)
       撮影◎呉印咸(ウー・インシェン)
       音楽◎聶耳(ニエ・アル)
       主演◎袁牧之(ユェン・ムーヂー)、王人美(ワン・レンメイ)
          談瑛(タン・イン)、顧梦鶴(グー・モンフー)
          陸露明(ルー・ルーミン)、王桂林(ワン・グイリン)
      劇映画《漁光曲》
       1934年 聯華影業公司 出品
       白黒/スタンダード/DVD/56分/サウンド版/日本語字幕
       原題◎漁光曲    主題歌◎『漁光曲』(安娥作詞、聶耳作曲)
       監督◎蔡楚生(ツァイ・チューシェン)
       脚本◎蔡楚生(ツァイ・チューシェン)
       撮影◎周克(ヂョウ・クー)
       音楽◎聶耳(ニエ・アル)、任光(レン・グァン)
       主演◎王人美(ワン・レンメイ)、羅朋(ルオ・ポン)
          袁叢美(ユェン・ツォンメイ)、韓蘭根(ハン・ランゲン)
          湯天綉(タン・ティェンシゥ)
      劇映画《大いなる路》
       1934年 聯華影業公司 出品
       白黒/スタンダード/DVD/103分/サウンド版/日本語字幕
       原題◎大路
       監督◎孫瑜(スン・ユィ)
       脚本◎孫瑜(スン・ユィ)
       撮影◎裘逸葦(チゥ・イールー)
       音楽◎聶耳(ニエ・アル)
       主演◎金焔(ヂン・イェン)、陳燕燕(チェン・イェンイェン)
          黎莉莉(リー・リーリー)、羅朋(ルォ・ポン)
          鄭君里(ヂェン・ヂュィンリー)、劉瓊(リゥ・チオン)
          尚冠武(シャン・グァンウー)、韓蘭根(ハン・ランゲン)
●上映日時:8月8日(日) (開場は上映開始のそれぞれ10分前)
       10:20 《北京のドブ》
       12:50 《私の一生》
       15:10 《嵐の中の若者たち》
       17:10 《漁光曲》
       18:40 《大いなる路》
●上映会場:シビックホール会議室
          (文京区役所がある文京シビックセンター3F)
       東京メトロ丸ノ内線・南北線 後楽園駅 直結
       都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅 直結
       地図: http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/civic.htm
●会 場 費:700円(会員、1作品あたり)
●入 会 金:600円(一般会員、同時入会可、有効期間1年)
      8100円(フリーパス会員、同時入会可、有効期間1年)

※DVD上映会は諸般の事情により非会員の方は要入会となります。
※8月8日の会場窓口に限りフリーパス会員の新規入会を受け付けます。

《私の一生》
 清朝末期から古都・北京で警官として働いた“私”は理不尽なことを多く経験し
てきた。時代を経ても役人の腐敗はひどくなるばかり。実直に生きてきたはずなの
に…。
 北京をこよなく愛した老舎の原作を石揮が映画化した名作。

《北京のドブ》
 新中国誕生直後の北京の龍須溝は、雨が降れば汚染された水に浸かるという劣悪
な住環境であった。そんな状況に人民政府は号令をかけ、衛生環境を改善すべく汚
染されたドブを清掃した。それにより人々の住環境は大きく改善したのだった。
 本作は、この話に感動した老舎が一気に作りあげた話劇『龍須溝』を完全映画化
した作品である。

《嵐の中の若者たち》
 本作の主題歌『義勇軍進行曲』は、作曲の聶耳がソ連留学に向かう直前に書かれ、
途中立ち寄った日本で完成された。日本の中国侵略に抵抗する象徴として歌われた
『義勇軍進行曲』は映画の主題歌でありながらのちに中華人民共和国の国歌として
採用されたことは余りにも有名である。

《漁光曲》
 極貧で生きる沿岸漁民は発展から取り残され、資本家が導入した近代漁法の「と
りこぼし」で生きるしかない。
 貧しい漁民兄妹は生きる道を求めて上海に出るが、そこは無学な田舎者が生きて
いけるところではなかった…。
 挿入歌『漁光曲』はもの悲しいメロディと共に今に伝えられる名曲である。
 本作は、中国映画として初めて国際映画祭(モスクワ国際映画祭)で賞を獲得し
た記念すべきものである。残念ながらフィルムの一部分が失われてしまっているが
鑑賞するのに大きな問題はない。

《大いなる路》
 東北の戦火を逃れ、流れ着いたところで育った男。道路工夫として男は友人たち
と力を合わせ道なきところに道をつくる。完成間近になって敵機が来襲し、男たち
は倒れるが…。
 日本による東北地方侵略とそれに立ち向かう人々を念頭に置いた作品である。

執筆者

Yasuhiro Togawa