天国につながる唯一の電話をモチーフに、
ついに「風の電話」映画化決定!

この度、今は亡き大切な人と想いをつなぐ電話として、朝日新聞やNHKスペシャルをはじめ、数多くの媒体で取り上げられてきた「風の電話」の映画化が決定し、4月中旬にクランクインすることになりました。劇場公開は、ブロードメディア・スタジオの配給により、2020年の初春を予定しています。

「風の電話」は、岩手県大槌町の小高い丘の上にあります。2011年、佐々木格(いたる)氏は死別した従兄弟ともう一度話したいという思いから、自宅の庭に白い電話ボックスを設置し、ラインの繋がっていない黒電話を置きました。東日本大震災以降、今は会えない家族や友人に心で話すこの「風の電話」には、3万人にものぼる人々が訪れています。

今や災害大国ともいえる日本。この映画は一人の少女が広島から故郷の岩手に帰り、「風の電話」にたどり着くまでの道程を通して、“傷ついた心の救”と、“私たちが忘れかけている大切なもの”を映像に刻み付けていきたいと考えています。
主人公のハル役には、2015年よりモデルで活躍し、近年は『少女邂逅』『21世紀の女の子』などスクリーンでも強烈な存在感で注目されているモトーラ世理奈、ハルと行動を共にする森尾役に西島秀俊、旅の途中で出会い、ハルに影響を与える重要な人物として、三浦友和、西田敏行らの出演が決定いたしました。監督は、独特の映画演出とその完成度の高さで、フランスを始め国内外で絶賛されている諏訪敦彦(のぶひろ)(『M/OHTER』『ライオンは今夜死ぬ』)が、日本映画としては『H story』以来、18年ぶりにメガホンをとります。

クランクインにあたり、諏訪監督、佐々木格氏よりコメントが届いております。

<諏訪敦彦監督>
スマホを片時も手放すことができない私たちは、まるで片手の操作だけであらゆる世界に繋がっているという錯覚に陥ります。しかし、そう簡単には繋がらない人や世界というのがあることを、私たちは忘れてしまっているのかもしれません。「風の電話」は岩手県大槌町の丘にひっそりと置かれています。わかりやすい標識や、案内図はなく、「さあ、自分の力でここまでやっておいで」と私たちに旅を誘っているかのようです。熊野詣での時代から、旅は生まれ変わるための再生の行為です。私たちも傷ついた主人公ハルの魂とともに、「風の電話」を目指して旅をしてみようと思います。私としては、日本を舞台にした久しぶりの撮影となりますが、その道しるべのように、素晴らしい出演者たちが参加してくれることになりました。映画は何かを見せるものであると同時に、見えない何かを想像させるものでもあると思います。この映画がその想像の力を快復できる旅になることを願っています。

<佐々木格氏(「風の電話」設置者)>
会えなくなった人に想いを伝える電話「風の電話」。亡き人とつながれるという思いが、人に生きる希望を与えることができます。人は人生において、自分の物語を創出し、それを生きていると考えることができます。最愛の人を失った時、遺された人の悲しみを癒すのは、その人の持つ感性と想像力です。人間には、失ったものを取り戻したいと切望する想いがあります。癒しには、亡き人に再会できる、再びつながれるという想像を通して新しい物語が必要となります。

この度、「風の電話」の映画化が決まりましたが、主人公ハルは、旅の途中で様々な人たちの優しさに触れ、少しづつ心を開いていきます。故郷の岩手県大槌町で「風の電話」を訪ね、自問自答する中で、どんな時にも人生には意味があることに気付きます。
自分は今「人生から問いかけられている」だから、たとえ今がどんなに苦しくても、全てを投げ出す必要はないのだと。