携帯の通話が“命綱”となる極限状況!
香港の変化に富んだ地形をフル活用した究極のノンストップ・アクション
気になる元ネタは、ハリウッドのアイデアマンとして名高い鬼才ラリー・コーエンの原案をデヴィッド・R・エリス監督が映画化した2004年作品『セルラー』。ある日突然、謎の一味に監禁された女性が、壊れた電話を修復して密室から外部への連絡を試みる。そのSOSコールを携帯電話で受信した青年が、事件解決のために奔走するという物語だ。現代人の日常生活に欠かせないコミュニケーション・ツールを“命綱”に見立てた発想がきらりと光るこの映画は、最も効果的に携帯を活用した巻き込まれ型サスペンスとして、今なお多くのファンに愛されている。
製作&脚本を兼任したベニー・チャン監督は、抜群の面白さを誇る『セルラー』のベーシックな設定を受け継ぎつつも、ただの焼き直しでは満足せず、新鮮なインパクトをもたらすリメイク作りに挑戦した。まずオリジナル版の広大で真っ平らな地形のアメリカ西海岸から、猥雑で起伏の激しい香港に舞台を移し、大がかりな屋外ロケを実施して臨場感あふれる映像世界を創造。『香港国際警察/NEW POLICE STORY』『インビジブル・ターゲット』などで培ってきたシャープな演出力を遺憾なく発揮し、アクション面を目覚ましく強化させた。とりわけ誘拐犯一味を追跡する主人公の小型車が、狭い用水路を猛スピードで激走し、あれよあれよと反対車線に突っ込んで大混乱のクラッシュを引き起こすカー・チェイスには、VFXでは代用不可能な本物のスタントの醍醐味が凝縮されている。さらに市街地を一望する山からの急降下転落アクション、断崖絶壁での危機一髪サバイバルなどの見せ場を惜しみなく連打し、まさしくノンストップ・サスペンス・アクションの究極形を完成させた。

8月1日(土)より、新宿武蔵野館他 全国順次ロードショー

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執筆者

Yasuhiro Togawa