2017 年、第70 回カンヌ国際映画祭においてのカメラドール(新人監督賞)受賞を皮切りに、さまざまな映画祭でも賞を獲得、フランスで最も権威ある映画賞・セザール賞へのノミネートも果たしたレオノール・セライユ監督のデビュー作『若い女』がついに日本公開を迎える。
フランス国際映画学校の卒業制作の脚本を元に制作された本作が描くのは、大都市パリで自分の居場所を探す女性ポーラのひと冬の物語。
31 歳のポーラは、10 年付き合った写真家の恋人に突然別れを告げられる。家も仕事もお金もなくし、パリの街に放り出されてしまったポーラ。気ままな性格が災いして友人宅も安宿も追い出され、実家では母親からも拒絶されてしまう。住み込みのベビーシッター、ショッピングモールの下着屋の仕事を見つけ、どうにか居場所を見つけたと思ったのだが……。
恋人の飼い猫を片手に、ニンジン色のコートを着た彼女は今日もパリの街を歩く。自分の居場所を見つけようと奮闘するポーラの等身大の物語
『若い女』が、8 月25日(土)日本公開となる。

フランス国際映画学校で取り組んだ卒業制作の脚本を自ら映画化し監督デビューしたレオノール・セライユ監督。
文学を学んだ後に映画監督の道へ! 期待の女性監督が学生時代と映画に込めた想いを語るコメントが到着!

『若い女』は、フランス発の若きフィルムメーカー、レオノール・セライユ監督の長編デビュー作。フランス国際映画学校の卒業制作の脚本を基に、10年来の恋人に振られ、家もお金も仕事もない状態でパリの街に放り出されてしまった女性、ポーラが奮闘する姿を等身大で描いた。

レオノール・セライユ監督は、パリジェンヌの大きな共感を集めたこの作品でカンヌ国際映画祭《カメラドール》を受賞。カメラドールとは、カンヌの「コンペティション部門」「監督週間」「国際批評家週間」の 3部門で上映された全作品の中から、最も優れた処女作に贈られる、いわば新人監督賞だ。これまでに、ジム・ジャームッシュやトラン・アン・ユンなど名だたる監督が受賞している賞だけに、今後の活躍にも期待が寄せられる。
今回、レオノール・セライユ監督が、『若い女』の基となる脚本を執筆した学生時代、そして大きな共感を集めた初監督作品について語ったコメントが到着した。
「もともと文学を勉強していて、最初は脚本家になろうと思っていたの。映画を観に行くために授業をサボっていました」と、語るセライユ監督は、リヨン、パリ、バルセロナで文学を学んだ後、フランス国立映画学校の脚本制作コースへ。授業をサボって映画を見に行くほどの映画愛が、ユニークでエネルギッシュな監督デビュー作を生み出したのだ。
学生時代に観た映画で影響を受けたのは、なんと日本の監督たち。「特に、河瀬直美監督の『沙羅双樹』(03)と石井克人監督の『茶の味』(04)を観ていました。そして、映画には文学以外の何かがあると気付いたのです」と述懐する。言葉で表現する文学と、脚本と俳優たちの演技に音楽を重ね合わせて映像で表現する映画との違いを見つけた。お気に入りの女性監督の作品を問われ、カメラドール受賞の先輩である河瀬直美監督の『殯の森』(07)を上げている。

一方で、『若い女』を監督するに当たって影響を受けた作品はほんのひと握りだった。「撮影監督エミリー・ノブレに影響を与えた『Sue』(97)に加え
て、マイク・リー監督の『ネイキッド』(92)のようなキャラクターありきの映画です。この映画で素晴らしい演技を披露している俳優デヴィッド・シューリスに匹敵する女優を見つけたかった」と、個性的で強烈なヒロインを求めた。「例えば、バーバラ・ローデンが監督、脚本、主演をつとめた『ワンダ』(70)、ジョン・カサヴェテス監督作品『こわれゆく女』(75)のジーナ・ローランズ、ロッジ・ケリガン監督作品『Claire Dolan』(98)のカトリン・カートリッジなど、女性たちは孤独ですが、とても威厳があり、私にとって演出や演技のための基準点となったのです」と、名女優たちの演技を基準に演出したことを明かしている。

男に振られてもただ打ちひしがれるわけではなく、泣いたり暴れたりしながら自分の思いのたけをぶつけるポーラは今の時代を映すかのような新たなヒロインだ。追い出された後も、他人のコートをこっそりくすねたり、知らないパーティーに紛れ込んでお酒を飲んだりとまさに自由奔放でやりたい放題。さまざまな人と出会い、まっすぐに相手と向き合い、ときにはしたたかに世界を切り開いていくポーラの姿は、多くの女性に勇気を与えること間違いなし。
カンヌが認めた新たな才能、レオノール・セライユ監督作品『若い女』は、8月25 日(土)より、ユーロスペース他で公開される。