「凍蝶圖艦」(2014)「徘徊ーママリン87歳の夏」(2015)「神様たちの街」(2016)と関西のドキュメンタリー作家で常に画期的な題材を追い求めてる<現代のヤコペッテイ>鬼才・田中幸夫監督が神戸の女子大生が性別適合出術を受けて本物の女性になるまでを追い掛けた爽やかなLGBTSドキュメンタリーです。

子供のころから女性になる事を夢見ていた未悠(みゆ)。家族へのカミングアウトは高校のとき、大学に入って女装も始めた。大学3回生の春休み、念願の性別適合手術を受ける事になった。女性として社会に出るために。映画は半年間に亘り未悠に寄り添った

子供のころから女性になる事を夢見ていた未悠(みゆ)。家族へのカミングアウトは高校のとき、大学に入って女装も始めた。大学3回生の春休み、念願の性別適合手術を受ける事になった。女性として社会に出るために。映画は半年間に亘り未悠に寄り添った。家族ととの真摯な話し合い友人たちとの本音爆笑女子トーク、教員たちの学内意識改革、臨床心理士の思い、医師の覚悟、LGBT関係者のパートナーズ婚のすすめ・・・。そこから摩訶不思議で愛おしい人間の姿だった。

***(ストーリー)***
新幹線の窓外を流れる雪景色。未悠は長年の夢だった性別適合手術を受けるために名古屋に向かっていた。未悠はファッションデザイン学科3回生。卒業時には心身とも女として社会に出ることを熱望してきた。その夢がまもなく叶う。
半年前の神戸のカフェバー。今日も友人たちとのおしゃべり。後輩ナオ、別の大学に通うみむ、いずれもトランスジェンダーだ。「恋愛って結局、最後はセックスでしょ?
でも私たち、セックスできないし・・・」3人集まると、いつも本音爆裂女子会トークだ。
未悠の母は言う「男の子と女の子、二人生んだと思うようにした」
未悠は自らの覚悟を全面に押し出し味方を増やしていった。大学の担当教員たちは、学内のトイレ問題など具体的に対応した。バイト先の蕎麦屋の主人は女装を認めた。
ホルモン注射の副作用、就活活動、LGBT研修会への参加。そして手術の一週間前、高校の友人たちが壮行会を開き温かいエールを贈った。前日には幼稚園から一緒の女友達が訪ねてきた「子ども生めるようになるの?」「綺麗に作り過ぎたらリアルちゃうしなあ」「これからは普通の恋愛をして欲しい」「ようやく一緒に温泉に入れるね」
・・・6時間に及ぶ手術。未悠は戸籍も女性となった。新学期が始まり、恋人もできた。前を見て歩き続けること、それが変わらぬ未悠の覚悟だ。

(監督コメント)
数年前、LGBTという言葉がようやく新聞紙上で見受けられ始めた頃だったと記憶する。
過激なセクシャルマイノリティたちの生き方を描いたドキュメンタリー映画「凍蝶圖鑑」を発表した。映画の惹句は、「普通に生きようとすれば それだけで十分狂っている」。
人の生き方は多様であり普通なんてどこにもありはしない、という意味を込めたものだった。今や、LGBTs、LGBTQなど様々な言葉が踊るようになった。LGBTバブルと言われる。しかし、内実はどうなのだろう。そんなとき、「凍蝶圖鑑」を観たという大学生が私に映画製作の話を持ち込んで来た。「半年後に性別適合手術をする予定です。是非、私を撮ってほしい」と言った。今回の映画の主人公となった未悠だ。未悠は幼稚園の頃から、心と体の違和に苦しんできた。男の体をもちながら女の心をもつ自分・・・。
「私のような子を、これから私は応援していきたい」その覚悟に押されるように撮影を始めた。母親、祖母、幼馴染み、トランスジェンダーの友人たち、LGBTに関わる人たち、大学の教員、臨床心理士・・・。無理解、忌避、蔑み、差別・・・、そんなマイナスのベクトルをものともせず、全てプラスのベクトルに変えていく未悠。その生き方に共感する人たちも声をあげ始めている。この映画は、明るく楽しくバカバカしく、ちょっと真面目に生きる未悠たちの姿を描いた。多様性を認め合う社会の萌芽を少しだけ刻印できたのではと思っている。

10月28日~運命を変えるロードショー新宿ケーズシネマ

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