ユーゴスラビアからの独立をめぐり、1991年に勃発した「クロアチア紛争」を背景に
敵同士となった男女の許されぬ愛を描く“クロアチア版ロミオとジュリエット”
“アドリア海の真珠”と称えられ、スタジオジブリ『魔女の宅急便』の舞台として有名な地中海の国クロアチア。この地でかつて起きた民族紛争を背景に、敵同士となった若き男女の許されぬ愛を描き、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞の栄冠に輝いた映画『灼熱』。昨年の東京国際映画祭にて上映され、話題となった本作が11月にシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開が決定、ポスターと予告編が完成した。(2015年、第28回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映時タイトル『灼熱の太陽』)

予告編::https://www.youtube.com/watch?v=A9KXfIjR5hg

1991年—2001年—2011年。【3つの時代の異なる物語】を【同じ俳優たちが演じる】
斬新で類のない試みをカンヌが絶賛、受賞の栄光に輝く!
1991年、クロアチアのユーゴスラビアからの分離独立をめぐり、国内に住むクロアチア人とセルビア人との間で民族対立が激化。昨日まで隣り同士だった住民が、民族の違いを理由に殺し合う戦いへと発展した。本作ではセルビア人の娘とクロアチア人青年を主人公に、紛争が勃発した1991年、終結後の2001年、平和が戻った2011年と、10年ごとに展開する3つのラブ・ストーリーが描かれる。一夜にして敵同士となり悲運をたどる1991年の《イェレナとイヴァン》、紛争終結後の2001年、互いの民族を憎みながらも激しく惹かれあう《ナタシャとアンテ》、そして2011年の現代、過去の憎しみを乗り越えようとする《マリヤとルカ》。これら3つの時代の異なる物語を、同じ俳優たちが演じることで、時代を超えてひとつの愛が紡がれる様を鮮やかに表現。斬新な演出と俳優たちの演技が絶賛を浴び、みごとカンヌ国際映画祭受賞の快挙を成し遂げた!主演のティハナ・ラゾヴィッチは、過去にダニエル・クレイグやメラニー・ロラン、キャリー・マリガンらを輩出した「ヨーロピアン・シューティングスター2016」に選出され、将来を嘱望される若手スターの一人として熱い注目を浴びている。

ヨーロッパ映画界の若き旗手が描く、民族対立を超えた希望の物語
「暴力や差別、憎しみの歴史に打ち勝てるのは、人間に備わる【愛】の力だけなのです」
監督は 『アンダーグラウンド』エミール・クストリッツァ、『ノー・マンズ・ランド』ダニス・タノヴィッチの系譜を継ぐ次世代の旗手として注目される、クロアチア出身のダリボル・マタニッチ。10代で紛争を経験し、今なお悲劇の傷あとが残る故郷を見つめるマタニッチ監督は「私たちはいま、SNSを通じて世界中で毎日のように憎しみの感情を目にします。誰かに対して憎しみの感情を抱くのは、本当に幸せな事なのでしょうか」と警鐘を鳴らす。本作が描くのは、紛争の悲劇を乗り越え、時代を越えて紡がれる希望の力。憎しみの連鎖を断ち切る、若き恋人たちの揺るぎない愛に、心震わす感動作が誕生した。

【受賞歴】
第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞
第88回アカデミー賞外国語映画賞クロアチア代表
第29回ヨーロッパ映画賞 観客賞ノミネート
第63回プーラ映画祭 監督賞 主演女優賞 助演女優賞 助演男優賞 
衣装デザイン賞 クロアチア映画批評家協会賞
第9回ラックス賞 オフィシャルセレクション
第3回War on Screen国際映画祭 グランプリ
第38回カイロ国際映画祭 最優秀芸術貢献賞
第21回サラエボ映画祭 CICAE賞
第18回スロベニア映画祭 最優秀撮影賞、スロベニア芸術映画ネットワーク賞
第33回バスティア映画祭グランプリ
第25回コトブス映画祭最優秀作品賞、最優秀主演女優賞、FIPRESCI賞
第22回ミンスク映画祭最優秀監督賞、最優秀撮影賞
第28回ベーコモー国際映画祭アルコア賞
第14回ジェノバ国際人権映画祭グランプリ受賞
第11回ルーアン映画祭審査員賞
第22回テトゥアン地中海映画祭最優秀主演男優賞
第9回プリシュティナ国際映画祭最優秀主演女優賞
第7回リマ映画祭審査員賞
ヨーロピアン・シューティングスター2016選出(ティハナ・ラゾヴィッチ)

© Kinorama, Gustav film, SEE Film Pro http://www.magichour.co.jp/syakunetsu
『灼熱』11月、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

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執筆者

Yasuhiro Togawa