2014年、アカデミー賞®外国語映画賞⽇本出品作品に選ばれた『そこのみにて光輝く』に主演した綾野剛。
同作で第69回毎⽇映画コンクール、第88回キネマ旬報ベスト・テンなど、その年の主演男優賞を多数受賞し、名実ともに⽇本映画界を代表する役者となった後もその活躍はとどまるところを知らず、2016年にはニューヨーク・アジア映画祭でライジングスター賞を受賞。そんな綾野が、新作で挑むのは“決闘”。

監督は『私の男』で第36回モスクワ国際映画祭最優秀作品賞を受賞し、国内外で⾼い評価を受ける⻤才・熊切和嘉。
2013年の『夏の終り』で出会った⼆⼈が、古都・鎌倉を舞台に、“師匠と弟⼦”“⽗と⼦”の物語をスクリーンに焼き付ける。

脚本は、『そこのみにて光輝く』で第88回キネマ旬報ベスト・テン脚本賞を受賞した⾼⽥亮。撮影は熊切作品を多数⼿がけ、『海炭市叙景』で第65回毎⽇映画コンクール撮影賞を受賞した近藤⿓⼈。⼈気・実⼒を兼ね備えた⽇本を代表するキャスト・スタッフで、これまでにない斬新な“決闘映画”で映画史に新たな歴史を刻む。原作は芥川賞作家・藤沢周の「武曲」(⽂藝春秋刊)。

綾野剛が演じるのは、主⼈公・⽮⽥部研吾(やたべ・けんご)。剣道五段の腕前を持ちながら、ある出来事がきっかけでアルコール漬けの⾃堕落な⽣活を送っている。そんな彼の前に現れ、やがて研吾と宿命の対決をするラップ好きの⾼校⽣・⽻⽥融(はだ・とおる)を、新鋭・村上虹郎が演じる。
本作に賭ける綾野の意気込みは、⼆か⽉かけて鍛えあげた綾野の⾝体美からもひしひしと伝わってくる。⾁体改造に加え、⽇々剣道の稽古に取り組み、その佇まいはまさに“現代の侍”で、⽬が離せない。

【⽮⽥部研吾役:綾野剛】
熊切組に参加させて頂くこと、⼤変光栄です。念願でしたから。
「また必ず熊切組の現場に⽴ちたい」と『夏の終り』を経て今⽇まで、その気持ちは揺らがず、秘めた確信として⼼に宿していました。
撮影の近藤⿓⼈さん、照明・藤井勇さん、録⾳・⼩川武さん、美術・井上⼼平さん、そして『そこのみにて光輝く』でご⼀緒させて頂いた⾼⽥亮さんの脚本を熟読できる喜びを噛み締め、⾎の味がする『武曲』を体感しました。
師の教えを守り、教えを破り、教えから離れる。研吾にとって『守破離』とはどういう事なのか。
師であると同時に『⽗』という輪郭に苛まれながら、彼はどう⾃⾝の⽣を取り戻し、⽣き直すのか。
九死を想い、⼀⽣を諦めた『武曲』が織り成す、愛と再⽣の物語。
熊切組のために、何者にでもなり、何者にでも無くなる。その覚悟を胸に、私は今⽇まで培った全ての感情を注ぎ尽くします。

【⽻⽥融役:村上虹郎】
デビュー当時から熱望していた熊切組への参加、本当に嬉しいオファーでした。
融という役は、もし他の⽅が演じていたら絶対に嫉妬する役、それくらい掻き⽴てられるものがありました。
(綾野さん演じる)⽮⽥部研吾にライバル⼼を持つ融は、主⼈公に想いを寄せるという意味では、この作品の中で“ヒロイン”だと思っています。
原作を読んだ時、(『武曲』というタイトルにあるように)“武⼠”と“⾳楽”が混ざるとき、“侍の⽂化”と“現代⼈の感覚”がどう折り重なるか、を描いているところが好きだったのですが、そんな原作を超えていけるような映画にしたいです。

【熊切和嘉監督】
狂気的なまでに⾁体と精神を追い込んだ綾野剛と、天賦の才でのびやかに躍動する村上虹郎。⼆⼈をはじめ、最⾼のキャスト、スタッフと共に、⽇々、圧倒的な映画を⽬指して格闘しております。

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執筆者

Yasuhiro Togawa