1960年代後半に日本のアングラ文化を創造し、今もなおサブカルチャーの先駆者として注目され続けている故寺山修司(てらやま しゅうじ)。彼が1966年に遺した唯一の長編小説『あゝ、荒野』(あぁ、こうや)。この度、寺山修司の傑作小説を『ピンクとグレー』『ディストラクション・ベイビーズ』など話題作に多数出演、2017年公開予定の『キセキ ーあの日のソビトー』『帝一の國』では主演を務めるなど大活躍の若手演技派・菅田将暉(すだ まさき)と韓国映画『息もできない』で世界各国の映画賞を総なめした名優ヤン・イクチュンをダブル主演に迎え、満を持しての映画化。この度、主演のふたりに続き、追加キャストが解禁されることがわかった。

今回発表される追加キャストは、新次とバリカンに影響を与えるヒロイン・芳子(よしこ)にオーディションで抜擢された演劇界で注目を集める、木下あかり。新次の宿命のライバルを山田裕貴(やまだゆうき)、新次の母親・京子(きょうこ)に木村多江(きむらたえ)、闇の研究会メンバー恵子を今野杏南(こんのあんな)がそれぞれ演じる。脇を固めるのは、でんでん、モロ師岡、高橋和也などの個性豊かな実力派俳優陣。そして、新次とバリカンにとって人生を一転させる程の影響を与えるキーマン・ボクシングジムのトレーナー通称”片目(かため)”こと堀口(ほりぐち)をユースケ・サンタマリア。
『二重生活』で高い評価を得た岸監督が、現代人の「生っぽさ」「リアリティ」をどう表現し、仕上げてくれるのか、映画ファンのみならず期待したい。映画の舞台は現代の新宿。少年院あがりの新次(菅田将暉)と、吃音と赤面対人恐怖症に悩む“バリカン”(ヤン・イクチュン)は、ボクシングジムで運命の出会いを果たす。社会に見捨てられ、もがきながらもボクサーとしての道を進んでいく二人の奇妙な友情と愛、そして絶望的なまでの切なさを描いた人間ドラマとして、現在撮影が順調に進んでおり、撮影は年内いっぱいを予定している。

■木下あかり
岸監督にはじめてお会いした日、いつか必ずご一緒すると直感で思いました。いま、それが現実になり、岸組の一員になれることへの喜びと恐怖の入り混じった日々を過ごしています。監督の1シーン1カットへの愛情を感じながら、カメラマンの夏海さんのカメラワークの中にいられることがとても幸せです。
プロフェッショナルな皆さんと時間を共にできることに感謝しながら、最後まで駆け抜けたいと思います。

■山田裕貴
本当にいつかボクサーの役をやってみたいと思っていて、ようやくオーディションのチャンスを頂き、裕二役を生きれることになり、死ぬ気でトレーニングをして気合を入れています。菅田くんとは初共演なんですが、いつかご一緒したいと思っていたので撮影はすごく楽しいです。菅田くん演じる新次はハートのボクシングで、僕は(裕二)は冷静に闘うボクシング。アクションをアクションとしてやってしまうと型に見えてしまうので、時にはハートでぶつかり合ってリアルに演じていけたらと思っています。生きざま、言葉はなくとも、拳で…心で語り合う。ボクシングシーンではそんなシーンを作りたいです。

■木村多江
現場では、監督との話し合いで、演じる道すじが決められ、ドキュメンタリーの様に、感情が映し出されていく。でも、いつも行き先は決まっていない。私の演じる京子は、深い 闇を抱えていて、自分の中の母と女に激しく揺さぶられている。でも演じながらも答えが なく自分の感情がどこに行くのか、私自身にもわからない。それでも愛おしい、京子という女に食らいつき生き抜こうと思います。

■ユースケ・サンタマリア
岸組は、近年稀にみる心地良い現場です。今回はトレーナーの役なので、一生懸命練習はしてなかったんだけど、ボディを打たせるっていうことが発覚して、慌てて鍛え始めました。腹筋は割れかけてきてる。共演するふたりは、すごい芝居をする奴らだってっていうのは知ってるんだけど、最初から堀口(片目)という役どころでふたりを見ているので何だかとても可愛く見えて、可愛くてしょうがないという感じです。(笑)濃密な三人芝居が多いということですごく楽しみです。リアリティをしっかり出して行きたいと思います。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=55370

執筆者

Yasuhiro Togawa