この度、アスミック・エースの製作・配給により、山上たつひこ原作 いがらしみきお作画「羊の木」(講談社イブニングKC刊)を映画化することが決定し、監督・主要キャストの発表をいたします。
■漫画界が驚嘆した問題作を映画化
原作「羊の木」(講談社イブニングKC刊)は、山上たつひこ(「がきデカ」)、いがらしみきお(「ぼのぼの」)というギャグマンガ界に君臨する2人の巨匠がタッグを組み、殺人などの凶悪犯罪に手を染めた元受刑者たちを受入れた港町で起こる数々の事件、住民と元受刑者の不協和音、そして人間が本来的に犯罪者に感じる生理感覚を見事に描ききり、2014年文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した問題作!

■吉田大八監督が再構築する全く新しい衝撃
『桐島、部活やめるってよ』で第36回日本アカデミー賞最優秀作品賞と最優秀監督賞を受賞、『紙の月』で第38回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞、日本を代表する監督の一人である吉田大八が本作の監督を務めます。高校生の歪な格差社会や、横領に手を染めてゆく美しき人妻など、人間の光と闇を独特な手腕で描き、圧倒的評価を得る名手。その吉田大八監督が今回描くのは、「普通の人の輪に入り込む異物」という極限の設定と、その異物が元殺人犯であるというセンセーショナルなテーマ。原作を大胆にアレンジし、全く異なる新しいエンディングを創り出します。自分と他人、善と悪、そして愛と憎しみ。観客の感情をかつてなく揺さぶるヒューマン・エンタテインメントが誕生します!

■監督の下に集結した強烈な個性!
そして、吉田大八監督の下に、強烈な個性を持つ実力派キャストが集結しました。主人公のお人よしな市役所職員・月末一を演じるのは、吉田大八監督作品への初参加となる錦戸亮。犯罪者の受入担当となったごく普通の人間が抱く、細かな、そして大きな心情の揺れを表現する難しい役柄に挑みます。町に帰郷した月末の同級生・文(あや)を演じるのは木村文乃。
そして、町に放たれ、新たな人生を始める6人の元殺人犯たちは豪華アンサンブルキャストとなりました。ごう慢ですぐ人に絡む釣り船屋・杉山勝志役に北村一輝。色っぽく隙のある介護士・太田理江子役に優香。人見知りで几帳面すぎる清掃員・栗本清美役に市川実日子。大人しく気弱な理髪師・福元宏喜役に水澤紳吾。強面で寡黙なクリーニング屋・大野克美役に田中泯。無邪気で好奇心旺盛な宅配業者・宮腰一郎を松田龍平が演じます。原作の極限の設定と強烈な個性を持つキャスト陣へ吉田大八監督が起こす化学反応に、ぜひご期待ください。

なお、本作は2016年10月より撮影を開始し、公開は2018年を予定しております。

★キャストコメント
■錦戸 亮(にしきど りょう)——犯罪者の受入担当となった、ごく普通の市役所職員 月末 一(つきすえ はじめ)役
【コメント】
僕自身、約2年半ぶりに撮影する映画で、さらに初めてのサスペンスになるのでとても楽しみ(?)というか、ソワソワしています。監督をはじめとして、キャストの方も初めてご一緒する方々ばかりなので、一癖も二癖もある共演者に「月末」として精一杯翻弄されたいと思います。どうぞご期待ください!

■木村 文乃(きむら ふみの)——町に帰郷した月末の同級生 石田 文(いしだ あや)役
【コメント】
最初にお話を頂いた瞬間から、吉田監督とお仕事出来ることを楽しみにしています。
黒でも白でもなくグレーな部分に切り込む今回の作品がどんな吉田色に染められていくのか、そしてその一員になれることをとても嬉しく思います。

■北村 一輝(きたむら かずき)——ごう慢ですぐ人に絡む釣り船屋 杉山 勝志(すぎやま かつし)役
【コメント】
吉田大八監督の作品に参加出来る事、大変嬉しく、楽しみでなりません。監督の繊細な世界観と羊の木のもつ独特な雰囲気に浸りながら撮影に挑みたいと思っております。

■優香(ゆうか)——色っぽく隙のある介護士 太田理江子(おおたりえこ)役
【コメント】
吉田監督の作品を見ていたので今回ご一緒出来る事に幸せを感じています。「愛しすぎて人を殺してしまい、服役した女性」という、初めての役に難しさを感じますが、吉田監督と話し合いながら演じていきたいと思います。

■市川 実日子(いちかわ みかこ)——人見知りで几帳面すぎる清掃員 栗本 清美(くりもと きよみ)役
【コメント】
羊の木という、木に羊が生っている絵を見せて頂きました。不思議で少し恐いその絵は、脚本から感じた、現実と夢想の狭間を行ったり来たりするような感覚と近い印象を受けました。脚本の中のリアルはどこにあるのか…これから吉田監督の作られる世界が、少し恐くて、たのしみです。

■水澤 紳吾(みずさわ しんご)——大人しく気弱な理髪師 福元 宏喜(ふくい ひろき)役
【コメント】
小学生の時、実家近くにいがらしみきおさんが引っ越してこられて、隠れながら友人と家を見に行ったこともありまして、不思議な感じであります。何かそんな「力」を想いながら(一方的にですが…)撮影まで準備できること、大変心強く、嬉しく思います。

■田中 泯(たなか みん)——強面で寡黙なクリーニング屋 大野 克美(おおの かつみ)役
【コメント】
また人になる。
素人同然の僕に演技の依頼だ、役者になってくれと頼まれたのだ。僕は役の人のことを夢中になって思う。僕自身のことも。出会って来た偶然が、もしどこかで入れ代っていたら、この役の人のようになっていたかも知れないと思い、グルグルと考えることがある。「羊の木」の大野も、そんな人の1人かも知れない。僕は1人じゃないと、いつも思っている。1人分生きるのではもったいない。今の僕はたまたまさ、と思う。ひょっとしたら、偶然のめぐり合わせで、僕は大野のようになっていたかも知れないのだ。面白い!成ってみようじゃないか、僕はうれしい!

■松田 龍平(まつだ りゅうへい)——無邪気で好奇心旺盛な宅配業者 宮腰 一郎(みやこし いちろう)役
【コメント】
吉田大八さんとやれることを、嬉しく思っています。自分の思いを色々とぶつけさせていただく、素晴らしい機会を頂いたことを幸せに思う次第です。

■監督:吉田 大八(よしだ だいはち)
【コメント】
善と悪、普通と異常、自分と他人、地方と中央、生と死。原作「羊の木」に出会ってしまった結果、そういう境目たちとまとめて向き合うことになりました。もちろん怖いのですが、間もなく撮影が始まるので覚悟を決めなければいけません。とんでもなく魅力的なこの俳優たちと共に、ダークだけどカラフル、怖すぎて笑えるような映画を目指します。そしてできれば、人間と人間じゃない何かの境目まで見届けて、無事に帰ってきたいです。

■プロデューサー:井手 陽子(いで ようこ/アスミック・エース)
【コメント】
過去を知らない人ばかりのこの世界で、過去に秘密を持つ移住者たちを受け入れる物語は、あながち、ただのフィクションとは言いけれません。誰かと一緒に生きることは、様々な問題を生みますが、その出会が何かをもたらすこともあります。この原作に引き寄せられ、吉田監督と魅力的なキャストたちの出会いがもたらす、新たな「羊の木」が、どんな結末を迎えるか、今から楽しみでなりません。

■原作:山上 たつひこ
【コメント】
不安は朦朧とした人の姿に似ている。恐怖は陽光の中の微笑に似ている。
ぼくは、それを呪文のようにつぶやき、いがらしみきおはそれを震える描線で刻印した。
映像はリレー競技の最終ランナーだ。それがゴールしたとき、ぼくたちは触れるはずである。
窓から差し込まれた見知らぬものの手に。

■作画:いがらしみきお
【コメント】
映画化の話をいただいた時は驚愕しました。ほんとは狙っていましたが(笑)。そういう意味でとてもうれしいです。
原作とはまた違った「羊の木」を見られるのを山上先生とともに楽しみにしています。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=55546

執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa