10月25日(火)より開幕致します第29回東京国際映画祭は、従来の六本木ヒルズに加え今年はEXシアターでの上映も決まり、国際フォーラムでのアニメイベントや野外上映など、新しいイベントや取り組みを予定しております。また9つある主要部門の中で映画祭の顔となる“コンペティション部門”にて日本映画2作品が決定致しました!

 1作目は、蒼井優8年ぶりの単独主演映画『アズミ・ハルコは行方不明』。「ここは退屈迎えにきて」で一世を風靡した作家・山内マリコの書き下ろし同名小説を『アフロ田中』『ワンダフルワールドエンド』『私たちのハァハァ』などの松居大悟監督が映画化。蒼井優演じる行方不明の女の顔をグラフィティアートとして街中に拡散する、若者集団キルロイのメンバーを、NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」や『植物図鑑』で話題の高畑充希が演じています。“アラサー×ハタチ×女子高生”3世代の女の子たちの生き様を描いた最強の青春映画。

 2作目は、本映画祭の日本映画・ある視点部門で作品賞の受賞歴のある杉野希妃監督が、監督と主演を努める『雪女』。杉野希妃が自らの監督作で主演を務める本作は、『マンガ肉と僕』『欲動』に続く第3作です。今年生誕100年を迎えた小林正樹監督が小泉八雲の「怪談」を映画化して50余年、その中の一編である「雪女」を新たな解釈のもと映画化。出演は主人公の巳之吉役に今、大注目の青木崇高、娘のウメ役に山口まゆ。他、佐野史郎、水野久美、宮崎美子、山本剛史、松岡広大、梅野渚など演技派俳優陣が脇を固めています。
《それぞれの作品の監督・主演から東京国際映画祭に歓喜のコメントが到着致しました!》
『アズミ・ハルコは行方不明』
主演・蒼井優 コメント
「東京国際映画祭、コンペティション部門に選んでいただき、ありがとうございます。一足早く作品をご覧になった関係者の方々が「良かった」と思ってくださったこと、素直に嬉しいです。作る側にいると、作品に対する想いが強すぎ、時に不安になることもあります。しかし、選考委員の方々の客観的な感想をいただけると「ああ、間違っていなかったんだ。」と、劇場公開に向けてぽんと背中を押された気持ちです。心から感謝申し上げます。
映画祭当日は、アズミ・ハルコチームみんなでとにかく楽しみたいと思います!」

監督・松居大悟 コメント
「コンペティション部門、とても光栄です。お金や打算なんかなく気持ちのみで作ったので、その映画で心動いた方が熱意で選んでくれたかと思うと…よかった。ほんとよかった。連絡が来た時、ほっとして泣きました。東京国際映画祭は3年前に日本映画スプラッシュ部門「自分の事ばかりで情けなくなるよ」で参加したのですが、映画に関わる人たちが国境を越えて繋がっていく幸せがありました。まだまだ難しい立ち位置ですが、日本という舞台で海外の方と戦えることを誇りに思います。」

『雪女』
監督、主演・杉野希妃のコメント
「監督としてコンペティション部門に参加させていただくことになり、とても嬉しく光栄に思います。日本で親しまれてきた、小泉八雲の面妖なお伽話「雪女」の新釈を東京で初上映できることは、意義深いことだと捉えています。支えてくださった関係者の皆さんに改めて感謝します。
雪女という得体の知れない存在と何年か向き合い、目に見えない大きな力に導かれてきたような気がします。人と妖女の幻想奇譚を、どうぞご期待ください。」

以上、日本代表として良質かつ豪華な2作品が出揃いました。アジア最大級の映画祭・東京国際映画祭という国際的舞台で、日本の才能達が豪華絢爛に火花を散らします!なおコンペティション部門の他選出作品は、9月26日(月)に行います「ラインナップ発表会」にて発表する予定です。今後の展開にご期待下さい。

<選定理由について> プログラミング・ディレクター 矢田部吉彦 によるコメント
新人時期を過ぎ、次なる飛躍を期する2名の若手監督の作品を選出しました。異なる形で日本の象徴的な姿が描かれ、若手作家ならではの野心が伺える作品です。松居大悟監督は、普遍的な地方の鬱屈をトリッキーな形で表現し、同世代の蒼井優に自分を重ねるように、今しかできない等身大の作品を作った覚悟が伺えます。ドツボからの脱却を奇想天外なガールパワーに託すセンスが松居映画の真骨頂であり、瞠目すべき才能です。杉野希妃監督のクラシカルな新作にも度肝を抜かれました。淡い映像の魅力が日本映画の古典を想起させ、自らが演じる雪女の透徹した美しさが、そこはかとない恐怖とともに映画を支配します。古典的な伝承民話の世界を耽美的に表現し、本年の邦画で最も独創的な作品です。世界に受け入れられるためには、普遍性とともに「その国らしさ」も求められ、今年の2本は全く違う方向でそれを実現していることが、国際舞台に立たせたいと考えた所以です。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro TogawaYasuhiro Togawa