俳優・田中要次
初主演にして挑む役とは!?

どこからやってきたのか分からない謎の生命体(ユニット)。それは人間の頭に寄生し、人間の体を“ネクロボーグ”というとんでもない物体に作り替え、“マスターユーザー”という生命体の本体がまるで人間の頭をコックピットさながらに乗っ取って操る。人格まで奪われた人間たちは、獲物を求め、死闘を繰り広げる——。
独特な世界観かつ究極の過激描写で描かれた『MEATBALL MACHINE ミートボールマシン』(05/山本淳一監督、山口雄大監督)は、数々の海外映画祭で絶賛され、同時に観客たちの脳天を打ち抜いた伝説のバイオレンス・スプラッター映画となった。その『MEATBALL MACHINE』が、10 年の時を経て帰ってくる。

今回、『蠱毒(こ ど く)ミートボールマシン』として新たに製作された本作は、仕事もプライベートでもまったくリア充を味わうこともなく、癌に侵され、余命いくばくとない中年男が、密かに想いを寄せる女性を守るために“ネクロボーグ”化した生命体に戦いを挑むダークヒーロー・ホラー・アクションムービー。
主人公の野田勇次は、借金の取り立て屋をしている冴えない 50 歳の中年男。日々のノルマの額を回収することが出来ず、上司にいつもなじられている。また実母からもお金の無心をされ、生活にも余裕がない。しまいには、癌の宣告を受け、生きていくための意欲は衰えるばかり。だが人生を儚む間もなくユニットに寄生されるも、なぜか最終形態のネクロボーグにならず、唯一、心の拠り所だった想い人のカヲルを守るため、次々と現れるネクロボーグたちと戦っていく。果たして、勇次はカヲルを守ることが出来るのか・・・。
メガホンを撮ったのは、血の魔術師ともいわれ、血しぶきによるグロテスクなシーンの中に描かれる独特の映像美に定評がある西村喜廣。特殊造型として、園子温監督や井口昇監督作品等に参加、最近では『進撃の巨人』『シン・ゴジラ』にも携わっている。また、自身の監督作品としては、『東京残酷警察』(08)、『虎影』(15)などがある。

【蠱毒(こどく)とは】
犬を使用した呪術である犬神、猫を使用した呪術である猫鬼などと並ぶ、動物を使った呪術の一種である。「器の中に多数の虫を入れて互いに食い合わせ、最後に生き残った最も生命力の強い一匹を用いて呪いをする」という術式が知られる。

世の中年男性に捧ぐ——アラフィフ・俳優 田中要次の新たな挑戦。
<この映画で本当に“HERO”になる・・・もとい珍ヒーローになる!>
主人公の勇次には、数々の映画、TVドラマにて幅広い役をこなす俳優、田中要次。次期NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」への出演も決定している彼は、映画化された大ヒットドラマ『HERO』に「あるよ」とつぶやくバーのマスターで出演し、お茶の間で広く知られる存在となった。満を持して初主演作品に彼が選んだのは、まさに“HERO”。しかも「ここまでの特殊メイクでの撮影は初めて」というほど、禍々しい風貌に身をやつし、また西村組ならではの多くの血しぶきを浴び、全身体当たりでの熱演ぶりには目を奪われる。そして、孤独だった一人の中年男が逆境のなかで立ち上がり、人を守ろうとする姿が何といってもかっこいい。「ここにダークヒーロー現る」だ。
主人公の想い人、ヒロインのカヲルを演じるのは、オーディションで選ばれた、スペイン系ペルーのクォーター、百合沙。
昨年、「週刊現代」誌上でヌードグラビアが掲載されたことをきっかけに一躍話題となり、今年の 4 月に自身初となるヘアヌード写真集を発売。現在は、映画や舞台に活躍の場を拡げつつある。本作では、慈愛に満ちたヒロインを好演。
その他、しいなえいひ、鳥居みゆき、川瀬陽太、村杉蝉之介、三元雅芸、仁科貴、矢部太郎ほか個性的な俳優陣が出演。また、斎藤工が謎の宇宙人役で出演する。撮影は、今年の 4 月末〜5 月上旬にかけて浅草界隈で行われた。
今後、海外映画祭を目指し、来年公開予定。

以下、キャスト、監督からのコメントです。

【田中要次さんコメント】 YOHJI TANAKA

今回、この年で主役が回ってくるなんて思っていなかったので、驚きと、本当に僕でいいのかという気持ちでしたが、僕を主役で撮りたいと思っている方がいるなんてやっぱり嬉しいですし、チャンスは逃したくないなとやらせて頂きました。
西村喜廣監督とは、『東京残酷警察』を拝見していたので、いつかご一緒出来ればと思っていました。
脚本も佐藤佐吉さんですし、マニアックでしょうが、面白いものになるだろうと作品への期待がありました。
癌を告知された男が、絶望に陥るや否や、戦わざるを得なくなるという役どころなのですが、癌患者が戦う、もしかしたら地球を救うかもしれないという、ま、救えているかは別として…(笑)、癌という言葉に負けたくないという気持ちを授かりましたね。実は、ドラマ「HERO」のマスターも実際はヒーローだった的なスピンオフの話しをドラマスタッフの方に提案してみたことがあるんですよ。
それを叶えてもらったように感じました。かなりスタイルが違いますけどね(笑)。こんな醜いヒーローは他にいないです。新しいヒーローというか、珍しいヒーロー誕生ですね!
こういう映画が好きな方に、ぜひ喜んで頂けたらと思っています。

【百合沙さんコメント】 YURISA

「現場は厳しい」と監督に散々脅されて、イン前は不安 9 割楽しみ 1 割。実際ロケが始まると、血と怒号と叫びが飛び交う現場はいろんな意味でとても凄惨で、凄く楽しかったです。でも今回西村組に出演させていただけた事は本当に幸せな事だと感じていますので、西村監督、これからも宜しくお願いします(笑)。ただ、今回私はあまり血を浴びてないので、また西村組に出演させていただき、今度はガッツリ血を浴びたいです(笑)。
主演の田中さんは本当にいろいろと気さくに話しかけていただき、待ち時間にたくさんお話させていただくなど助けられっぱなしでした。だからこそ田中さんのお芝居にちゃんと応えなきゃ、と食らいついていくような気持ちでお芝居しました。田中要次さんという偉大な俳優さんの長編映画初主演という記念すべき作品にご一緒できたことは本当に光栄でした。
これからももっとたくさんの映画に出演して、いつか死ぬ時にテレビ等で『女優の百合沙さんがお亡くなりになりました』という報道をしてもらえるように、女優業を続けていきたいです(笑)。

【西村喜廣監督コメント】 YOSHIHIRO NISHIMURA

そもそも、最初の『ミートボールマシン』は山口雄大監督、山本淳一監督の共作で、僕が特撮監督として関わった映画でした。
当時、駆け出しの僕は、血の噴き出しも極めたくて、色々やったんです。なので、すごく思い出のある映画なんです。
「あるよ!」の人(田中要次さん)は、僕が 20 代の頃に CM の制作部をやっていた頃からの知り合いで、4 年前、山口幸彦プロデューサーに企画を出した時にはすでにオファーしてたんです。それからずっと待ち続けてくれていたので、どうしても田中さんに主演をやって欲しかった。歳も僕と 1 つ違いだし、主人公の気持ちがお客さんに伝わると思ったので、中年ダークヒーローには彼しか思い浮かばなかった。「HERO」のバーテン・田中さんがホントのヒーローになる映画ですから!是非見て欲しいですね!
ヒロインは基本的に脱げる人募集だったこともあり、オーディションをして百合沙に決まりました。撮影前に、演技レッスンと称して何度も何時間も話し合ったりして僕のやりたい事を伝えました。もの凄く度胸のある女優さんだし、現場でオッパイ出す所も躊躇せずに演じてくれました。百合沙を選んで本当に良かったと思っています。
この映画は、僕と同じ世代、40 代から 50 代世代のヒーロー物を観てきた人たちには、ド!ストライク!でしょうね!
「俺らずっと仕事してきてよ〜、もうそんなに楽しいこと無くってよ〜」って思う“お前ら”には最高の映画だと思います!

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執筆者

Yasuhiro Togawa