『パラダイス・ナウ』でアカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞、ベルリン国際映画祭ヨーロピアンフィルム賞を受賞し、続く『オマールの壁』でも再びアカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされたハニ・アブ・アサド監督の最新作、『歌声にのった少年』が9月24日より、新宿ピカデリーほかにて公開されます。
紛争の絶えないパレスチナ・ガザ地区で暮らすムハンマド少年の夢は、“スター歌手になって世界を変える”こと。やがて青年になった彼は、国境を超える危険を冒し、人気オーディション番組に出場する決意をします。全米の人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」のエジプト版、「アラブ・アイドル」に出場し、見事2013年の“アラブ・アイドル”に輝いたムハンマド・アッサーフ。本作は、彼の実話に基づいた感動のサクセス・ストーリーです。
本作の監督を務めたのは、イスラエル出身で『パラダイス・ナウ』『オマールの壁』でアカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされたハニ・アブ・アサド監督。これまでは、シリアスな政治や国際問題に真正面から迫る社会派ドラマを手掛けてきた彼が、ムハンマドの生き方に感銘を受け、「美しく感動的な物語が作りたい」と新境地に挑みました。

そんなハニ・アブ・アサド監督がパレスチナでの映画制作の舞台裏を語る貴重なインタビューが到着しました!

インタビュー映像
https://www.youtube.com/watch?v=Bi3KIzL2IYE

(以下抜粋)
『オマールの壁』に続き、今回もほとんどのスタッフにパレスチナ人を起用、撮影もパレスチナで行ったハニ監督。
「パレスチナで映画を撮るのは大変だ。(中略)人々のプロ意識は低く、映画製作への理解も低い。映画は娯楽だから 私たちも遊びでやってると思っている。この仕事が軍隊よりも真剣なことを理解していない。」とその大変さ正直に語っています。

ガザ地区での撮影が難しいという状況でも、子役だけはガザ地区の子どもたちを起用したかったというハニ監督。
「ガザの子供たちをジェニンに連れてくることは大変 難しかった。撮影を開始するわずか2日前にイスラエル当局から(ガザの外に出る)許可が下りたんだ。」と、そこでもパレスチナならではの苦労があったようです。

しかし、ガザ全域の小学校で行ったオーディションで選ばれた子役たちの印象については、
「彼らと会った瞬間に感じた。私が知ってる世界中のどんな子供とも違うと。それは彼らが ずっと大きな壁に囲まれて、死が身近な暮らしをしているからだろう。恐れを知らない。(中略)彼らは他の子供よりずっと大人だ。他の子供たちと違い大人と対等に話ができるし、その賢さにも驚いたよ。」と大絶賛。

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執筆者

Yasuhiro Togawa