1954年から1962年にかけてフランスの支配下にあるアルジェリアにおいて、フランス軍と抵抗組織の攻防を描いた『アルジェの戦い』。監督のジッロ・ポンテコルヴォは、映画を作るにあたって記録映像を一切使わず、目撃者や当事者の証言、残された記録文書をもとにリアルな劇映画として戦争の実体をドキュメンタリー・タッチで詳細に再現している。
この度、解禁された予告編では、カスバ市街地を歩くフランス警察に、銃を突きつけるアラブ風の男。カフェにいる女性が、爆弾を仕込んであるらしいバッグを店舗に隠し、爆発する様子。加えて、それを壊滅させんと軍服をまとったフランス兵が、街に潜む抵抗組織を炙り出して壊滅しようとする様子など正に血を血で洗う戦闘が、リアリズム溢れる過激な描写で映し出されている。そして、「解放戦線は敗北した」とフランス軍が勝利宣言をしたかにみえた後、大勢の群衆が「アルジェリア万歳」と悲痛の叫びをあげる。そのシーンは、実際のアルジェリア市民、8万人を動員して撮影したとのこと。一体、どうやってアルジェリアが解放されたのか? その圧巻のラストシーンも期待が高まるところだ。
本作は、1966年の製作から今年で丁度50周年に当たる。この度、公開されるデジタル・リマスター、オリジナル言語バージョンは、本年のベネチア国際映画祭、トロント国際映画祭、NWFFなどにて上映されることが決定しており、難民の流出、頻発するテロの恐怖等、激動の世紀に生きる我々にとって、改めて今観るべき映画として世界中で再評価が高まっている。

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=jBMEKdUSDZQ&feature=youtu.be

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執筆者

Yasuhiro Togawa