「第29回 東京国際映画祭」は本日、オープニング&クロージング作品や、今年注目のイベント・取り組みなどを発表。

オープニング作品
『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』
<<メリル・ストリープ&ヒュー・グラントの来日決定!!>>
NY伝説の歌姫、感動の実話!
ソプラノ歌手を夢見るマダム・フローレンス。
しかし、彼女は絶世のオンチだった。夫のシンクレアはその夢を守ろうとあらゆる手段で奔走する。ふたりが巻き起こす幸せな奇跡とは?メリル×ヒュー豪華共演で贈る感動の実話!
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:メリル・ストリープ、ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーグ
配給:ギャガ株式会社
(2016年 / 111分 / イギリス)会社
【メリル・ストリープからのコメント】
オープニング作品に選んで頂き光栄です。さらに、美しい街並みや芸術、美味しい食文化と、これまでも素晴らしい経験をさせてくれた日本を再び訪れて日本の皆さんにお会いできることをとても楽しみにしています。

【ヒュー・グラントからのコメント】
オープニング作品に選ばれたことを誇りに思います。そして、また日本を訪れることができることがとても楽しみです。日本では常に楽しい時間を過ごしてきましたから。

クロージング作品
『聖の青春』
伝説の棋士・村山聖、奇跡の実話
天才・羽生善治と「東の羽生、西の村山」と並び称されながら29歳にして亡くなった実在の棋士・村山聖。病と闘いながら全力で駆け抜けた“怪童”の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルとの友情を通して描く奇跡の実話。
監督:森 義隆
出演:松山ケンイチ、東出昌大、染谷将太
配給:KADOKAWA
(2016年 / 124分 / 日本)

『歌舞伎座スペシャルナイト』
尾上菊之助さんによる女方舞踊&弁士・生演奏付き上映が決定

クラシック部門の目玉企画として今年で3年目を迎える「歌舞伎座スペシャルナイト」。日本の伝統芸能である歌舞伎を上映し続けてきた歌舞伎座という場において、国内外のお客様を迎え映画の魅力を世界に発信していくことは、新しい映画体験と感動をご提供できるものと確信しております。
本年は、尾上菊之助さんによる女方の舞踊「鷺娘」を上演します。「鷺娘」は、歌舞伎の女方が演じる舞踊代表曲のひとつで、変化に富んだ構成、引抜きなど、歌舞伎ならではの技巧をふんだんに用いた人気曲です。海外からのゲストにも分かりやすく「歌舞伎」をイメージさせる隈取の化粧、所作一つ一つが絵となる日本舞踊の美しさは、歌舞伎を初めてご覧になる方も、どなたにも楽しんで頂けるプログラムです。
また、今年初めての試みとして、昭和初期に製作された貴重な作品を弁士と生演奏付きで上映致します!弁士付上映とは、サイレント映画に独自の語りと演奏を付けて上映する形です。上映作品は、『忠臣蔵』デジタル最長版、『血煙高田の馬場』。古典文化に接する機会の少ない若い世代にも積極的にお越し頂けるような取り組みを東京国際映画祭がお届け致します。

尾上菊之助(おのえ・きくのすけ)
<コメント>
今回は、権威ある東京国際映画祭のイベント「歌舞伎座スペシャルナイト」に出演させていただけることになり、大変嬉しく思っております。私は舞踊「鷺娘」を披露いたします。今回で3回目となる「歌舞伎座スペシャルナイト」では初めて女方の舞踊をご覧いただくことになります。女方は歌舞伎の大きな特徴のひとつだと思いますので、国内外からいらっしゃるお客様がどのような反応をしてくださるのか、いまからとても楽しみにしております。「鷺娘」は海外でも有名な作品ですが、その理由はいくつかあると思います。まず、恋に思い悩む娘というテーマは普遍的ですので物語を理解していただきやすいのではないでしょうか。次に、白無垢姿から町娘、鷺の精へと変わっていく衣裳の変化や、幻想的な世界を創り出す舞台美術など、視覚的な面白さがあります。そして曲調の変化に富んだ音楽。歌舞伎を初めてご覧になる方でも楽しんでいただける作品だと思います。

舞踊「鷺娘」見どころ

歌舞伎の女方が演じる舞踊の代表曲のひとつです。幕があくと、雪が降りしきる池のほとりに白無垢姿の娘が傘を手にして佇んでいます。実はこの娘は鷺の精が人間に姿を変えたもの。鷺の精は、人間の男と道ならぬ恋をして思い悩む様子を踊りで見せていきます。衣裳を引き抜いて、艶やかな町娘の姿となると、その男と結ばれた頃のことを思い起こし、最初の見どころであるクドキとなります。続いて、流行唄に合わせての手踊りとなり、男心のつれなさを訴えたのち、再び衣裳を引き抜くと、傘を持っての傘尽くしの賑やかな踊り地となります。次第に道ならぬ恋をした責め苦が襲い始め、ついに鷺の精の本性を顕します。降りしきる雪の中、鷺の精が苦しそうに翼を羽ばたかせるように舞うこの件は最大の眼目であり、幕切れまで見せ場が続きます。変化に富んだ構成、引抜きなど、歌舞伎ならではの技巧をふんだんに用いた人気曲です。(製作・松竹)

『忠臣蔵』デジタル最長版
生涯に1000本以上の作品に主演した日本で最初の国民的な大スター尾上松之助。最晩年の超大作が、この『忠臣蔵』です。山鹿流鶴翼の陣形や組織的な戦術などは、史実に基づいた考証を重ねて、以降の『忠臣蔵』映画の規範を示した作品といわれています。

監督:池田富保
出演者:尾上松之助、山本嘉一、桂武男、酒井米子
製作年:1926年
作品提供:おもちゃ映画ミュージアム

『血煙高田の馬場』
 昭和3年に11巻で公開された本作は現在、約1巻分しか残されていません。
 その限られた現存場面からでも、日本映画に新風を吹き込んだ伊藤大輔や大河内傳次郎の放つ若さや迫力を充分に感じられる、無声映画期の名作です。

監督:伊藤大輔
出演者:大河内傳次郎
製作年:1928年

松竹・製作サイドのコメント
⇒舞踊「鷺娘」の上演について
「前回、前々回の歌舞伎座スペシャルナイトでは立役(男性の役)が主人公の演目でしたので、3回目となる今回は歌舞伎の特徴の一つである女方の魅力をお伝えできる演目を考えておりました。そんな中、女方を得意とする尾上菊之助さんの出演が決まり、海外でも大変評価されている『鷺娘』の上演を決めました。」
⇒尾上菊之助さんの出演について
「尾上菊之助さんは、英国・ロンドンでの蜷川幸雄さん演出『NINAGAWA 十二夜』や「日中友好 京劇・歌舞伎 北京公演」での『春興鏡獅子』など、海外公演にも積極的に挑戦されておりますので国際的な映画祭イベントに相応しいと考え、今回の出演をお願いいたしました。」

国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭 co-produce
「アジア・オムニバス映画製作シリーズ 『アジア三面鏡』」
シリーズ第一弾作品のタイトルが『リフレクションズ』に決定

日本を含むアジアの監督3名が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作する東京国際映画祭初の映画製作プロジェクト「アジア三面鏡」。アジア・オムニバス映画製作シリーズ第1弾『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』は行定勲監督(日本)、ブリランテ・メンドーサ監督(フィリピン)、ソト・クォーリーカー監督(カンボジア)による作品で「アジアで共に生きる」を共通のテーマに、日本とカンボジア、フィリピン、マレーシアを舞台に両国間を行きかう人々の生きる姿を映し出します。「アジア三面鏡」の中で時代と文化を反響させ、新しい光を生み出すという意味を込め、シリーズ第一弾のタイトルを『リフレクションズ』に決定いたしました。

青少年を対象・テーマとした新部門
ユース部門(TIFFチルドレン/TIFFティーンズ)を設立

 少年少女が主人公の映画で、世代を問わずに見てもらいたい作品を集めた部門を新しく設立致しました。「TIFFチルドレン」は3歳〜小学生を対象に、世界から集めた短編、長編を上映します(11/2-6, 109シネマズ二子玉川にて)。「TIFFティーンズ」は中高生世代を主人公や主題に持ち、国際映画祭で評価された秀作を上映していきます。日本のTEENSたちが人生の指針となる映画にひとつでも多く出会ってもらう事を願い青少年ユースの域を超えた世界レベルの作品を上映します。上映後には本音で語るディスカッションも大切なプログラムのひとつ。大スクリーンで見る映画の迫力や美しさ、そして世界の広さを楽しみながら経験することで、未来の映画ファンがここから育っていくはずです。

EXシアター六本木をメインシアターに!
従来の六本木ヒルズに加え、新たにEXシアター六本木を最大キャパのメインスクリーンとして10日間使用いたします。10/25のオープニングセレモニー、11/3のクロージングセレモニーの開催をはじめとし、コンペティション部門の上映などが行われます。

東京国際映画祭アニメイベント「TIFFアニ!!」 in 東京国際フォーラム

日本のアニメーションの「今」を取り上げ続ける東京国際映画祭は、ジャパニメーションの現在進行形の中でも最も勢いのあるジャンル「アニソン」に注目し「TIFFアニ!!」と題して、ハロウィンの10/31一日限りのスペシャルアニメイベントを開催。劇場公開の一般的なアニメから秋葉原などで絶大な支持を得ているアニメまで、幅広く日本のアニメーション文化を国内外に「アニメイベント」という形で発信します。

野外上映の実施
「東京国際映画祭 Cinema Arena」 「Tower Light Cinema」

映画祭期間中の10月26日〜30日にメイン会場である六本木ヒルズ内「ヒルズアリーナ」にて、「東京国際映画祭 Cinema Arena」と題した野外上映を行います。
また、開幕直前にも「Tower Light Cinema」と銘打った野外上映を実施することになりました。「映画の話をしに来ませんか」と題し、映画を愛する参加者同士が思わず映画の話を始めてしまうような、そんなイベントにしていきたいと思います。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=55125

http://data.cinematopics.com/?p=54746

執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa