8月から9月にかけて、中東音楽を扱った映画が2作品続けて公開となります。

まず、9/24(土)より公開される『歌声にのった少年』は、『パラダイス・ナウ』、『オマールの壁』でアカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされたハニ・アブ・アサド監督の最新作。紛争の絶えないパレスチナ・ガザ地区で暮らすムハンマド少年の夢は、“スター歌手になって世界を変える”こと。やがて青年になった彼は、国境を超える危険を冒し、エジプトの人気オーディション番組に出場する決意をします。全米の人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」のエジプト版、「アラブ・アイドル」に出場し、見事2013年の“アラブ・アイドル”に輝いたムハンマド・アッサーフ。本作は、彼の実話に基づいた感動のサクセス・ストーリーです。ムハンマドの歌う中東伝統歌謡が、パレスチナだけでなくアラブ全域に響き渡り、人々を勇気づける様子に胸が熱くなること間違いなしです。

そして、8/13(土)より公開となった『ソング・オブ・ラホール』は、パキスタンの伝統音楽家たちが結成した、”サッチャル・ジャズ・アンサンブル”の活動を追ったドキュメンタリーです。過激なイスラーム原理主義の影響で音楽文化が衰退したパキスタンの都市ラホール。このままでは優れたパキスタン音楽が消えてしまう!危機感をつのらせた伝統音楽家たちは再起をかけて畑違いのジャズに挑戦し世界に打って出ます。昔気質で職人肌のおじさんたちが、異なるフィールドで大いに戸惑いながら、必死に職人魂で乗り越えていく、その真剣な姿に誰もがおかしみと愛しさを感じ、応援したくなる映画です。監督は、監督は、本年2度目のアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞したパキスタン人女性シャルミーン・ウベード=チナーイと、ニューヨーク在住のアンディ・ショーケンが務めています。
 日本ではまだ耳慣れない中東音楽。そのエキゾチックな魅力が伝わる、『ソング・オブ・ラホール』『歌声にのった少年』、2本併せて是非ご注目ください!

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執筆者

Yasuhiro Togawa