東京芸術大学大学院修了作品『イエローキッド』(2010)が話題を呼び、宮?将、ももいろクローバー出演の短編『NINIFUNI』(2011) が、スイス・ロカルノ国際映画祭、オランダ・ロッテルダム国際映画祭で特別上映されるなど国内外から圧倒的注目を浴びる新鋭 真利子哲也監督の満を持しての商業映画デビュー作にして驚異の衝撃作『ディストラクション・ベイビーズ』。脚本は真利子哲也と共に、『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞優秀賞を受賞し、若い世代の感情の揺らぎを掬いとる名手 喜安浩平が担当。そして、世界が注目する新鋭監督のもとに、日本映画界を担い/革命をもたらす若き才能達が集結した。
“物の怪に憑かれた”様に喧嘩をくり返す主人公・泰良(たいら)を演じるのは、唯一無二の存在感を放ち続ける柳楽優弥(26)。泰良に興味を持ち、近づく若者・北原裕也に、多数の話題作に出演し変幻自在の活躍を見せる菅田将暉(23)。泰良たちの遊びに巻き込まれる少女・那奈(なな)に、女優・モデルと垣根を越えた活躍をみせる小松菜奈(20)。姿を消した兄・泰良を探す弟・将太に、デビュー以降、進化し続ける村上虹郎(19)。さらには、池松壮亮、でんでんらが主役級の存在感とエッジが利きまくった演技で脇を固める。“恐るべきイキモノ”芦原泰良。その野獣の如き≪狂暴な生き様≫は、まるで≪ウィルス感染≫の様に、遭遇した若者達の欲望と狂気を覚醒させる—。彼らは生きたいのか死にたいのか。≪日本映画界を震撼させ覚醒させるレアなエネルギーの結晶≫で≪観る者に得も言われぬ新たな感情を呼び覚ます青春映画≫に、公開から約2か月近くたっても多くのファンが劇場に詰めかけている。

本作で商業デビューした真利子哲也監督は、2011年に中編作品「NINIFUNI」で同映画祭のすでに名の知られた監督で優れた映画技術で制作された短・長編映画が選ばれる「オウトオブコンペ部門」に特別招待を受け、注目を集めた。
同映画祭のプログラムディレクターであるマーク・ペランソンは、「真利子哲也の二本目の長編映画である「ディストラクション・ベイビーズ」という衝撃作を、そして再び真利子哲也監督をロカルノ国際映画祭へ迎えられることに、我々は非常に興奮している。主演の柳楽優弥さんの素晴らしい演技を筆頭に、本作は確固たる姿勢で日本社会の問題に真正面から向き合った唯一無二の映画だ。彼を直ちに日本でもっとも重要な映画作家のひとりとしての地位を確立させるその演出に、我々は大変感銘を受けた。」と熱いコメントを寄せている。

また、アーティスティック・ディレクターのカルロ・シャトリアンは「私は「ディストラクション・ベイビーズ」の二人の兄弟の衝撃的な物語に驚かされた。こんなにも違うはずの兄弟なのに、共に彷徨える魂であるように私には思えた。それ故この映画は暴力に関するものというより、心底愛情を必要としている世代を描く映画であると思わせる。」とコメント。真利子監督は今回の正式招待を受け、「ロカルノ国際映画祭に選出されたことは自分にとって大きな出来事で、改めてこの映画を作ってよかったと思いました。この映画が海外でどのように観られるのか、今からとても楽しみです。」とコメントしている。第69回ロカルノ国際映画祭は、8月3〜13日(現地時間)に開催。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=54169

執筆者

Yasuhiro Togawa