ジャングルの動物たちに育てられた人間の少年モーグリを主人公に、自然の掟と共に雄々しく生きる者たちの愛や憎しみ、喜びや悲しみを謳いあげる感動の生命の讃歌『ジャングル・ブック』。この夏、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のディズニーが贈る、“生きる力”があふれ出す奇跡のエンターテイメント巨編が、8月11日(木)日本公開となります。

実写もアニメーションも超えた最先端の映像テクノロジーによって、モーグリ以外は動物も大自然もすべてがCGで表現され、現実以上にリアルでありながら、現実世界には決して存在しえない“人間味”あふれる動物たちや、息をのむほど美しいジャングルが広がり、驚きと感動をもって観客をその世界に誘います。

4月15日(金)に全米で公開され、3週連続週末興行成績第1位を獲得。公開から1か月以上経過した今でもロングランヒットを続けており、全世界興収が8億7,984万6906ドルに達しており、(BOX OFFICE MOJO調べ、5/31現在)2016年全世界興行収入ランキング3位を達成!!
このたび本作の日本語吹替え版で、監督業など幅広く活躍する俳優・伊勢谷友介さん(40歳)が圧倒的な力でジャングルの頂点に君臨し、「人間」であるモーグリに強い憎しみを抱くトラのシア・カーンでディズニー映画に初挑戦することが決定しました!!

動物のヒエラルキーの頂点に君臨し、過去に人間から受けた苦しみから、人間であるモーグリに対し強い憎しみを抱くシア・カーン。その圧倒的な存在感を表現するに当たり、「ぶれないこと」を意識したという伊勢谷さん。「彼の中に絶対的な芯がある。その意味では悪ではない。誰かにとって悪でも本人にとっては当然であるという、絶対的な自信を持つようにしました」と演じる上での意気込みを明かしました。ただ、そんなシア・カーンというキャラクターに関しては、「独裁政治をやっている人」は「嫌いです」と感じながらも、「人間が過去にやってきた間違いによって生まれた遺恨であり、そういったことに向き合って相手の存在を助けるところまでにならないと本質的な改善にならないと思うので、シア・カーンは存在していてほしい」と単なる悪ではないシア・カーンというキャラクターの存在意義を語りました。

 「ジャングル・ブックは今僕らが置かれている世界の比喩だと思います。若い子にはこれから社会を作っていくにあたって、理想ってなんだろうというときに色々なアイディアをくれる作品ではないかと。シア・カーンはなってはいけない存在ですが、なりたい自分、なりたい動物を見つけてくれれば」と日ごろから環境や社会活動に積極的に取り組んでいるグローバルな伊勢谷さんの視点で作品の持つ力を熱く語ってくれました。
伊勢谷友介さんが、シア・カーンの、圧倒的な強さや存在感をどう表現するのか、是非ご注目下さい。

●伊勢谷 友介さん インタビュー 

僕が演じたシア・カーンは、人間にとっての脅威であり、自然の体現ともいえる絶対的なプライドを持った存在です。その圧倒的な力で抑え込んでいく感じを表現していくのは、難しかったです。演じるにあたって意識したことは「ぶれないこと」です。彼の中に絶対的な芯がある。その意味では悪ではないんですよね。誰かにとって悪でも本人にとっては当然であるという、絶対的な自信を持つようにしました。

今までのディズニーさんの作品と同じように、この作品で描かれているのは今僕らが置かれている世界、そして対人間、対自然、対社会といったあり方の比喩だと思います。たくさんのキャラクターが出てきますが、それぞれに、シア・カーンでさえも本人の中に正当性がある。そうやって考えると、この物語はそれぞれのキャラクターの視点からいろいろな事を自分たちに提案してくれている気がします。昔の力でおさえる圧政のあり方ともとらえられるシア・カーンに対し、モーグリが火を持つことは武力ともなるかもしれません。あまりにも消費しすぎる現代社会に対する比喩とも捉えることが出来るかもしれません。火を捨てるという事から、モーグリがシア・カーンとの最後の対決どう終らせていくか。これは見る者の世代や、それぞれの立場にとって自分がどう立ち向かっていくかいうことに対して、アイディアをくれる作品ではないかと思います。

CGの創世記みたいなところから見ている僕らからすると、今作のCGはいよいよすごい所まで来たなと思います。実際にはないものがあることになっている。今回は役者さんが先に演じている表情をそれぞれのキャラクターに使っている感じがあって、シンクロ感が半端ないんですよね。そういう点でCGが話してアニメーションに声を乗せているところと、全然違う雰囲気があるのがこの映画の新しいところだなと思います。

今作でシア・カーンは、動物のヒエラルキーの頂点で独裁政治をやっている人です。そんな彼が背負った人間から与えられた苦しみに対してのリベンジを、人間の子であるモーグリに対して実行しようとします。僕自身はシア・カーンみたいにあんなに強気でいけないです。小心者だからみんなに好かれたいという気持ちで仕事も良いことを仕事にしようと頑張っているんです。比較的ああいうシア・カーンのような存在は嫌いですね。誰の意見とか関係なくなっていて、そうなると人としては害ですからね。結構世の中にもいますよね。僕とシア・カーンの共通点としては、恐怖の存在が人間そのものである、という点です。「お前ら全員かみ殺してやる(シア・カーンのセリフ)」と言っていいんですかね(笑)。今僕らがいる世界では人間を殺そうとする存在は自然ではなく僕ら人間そのものです。人間だけが理性を持てるとするならば、それこそ理性でそういう行動をしないようにし、人助けにちゃんと使う。それが出来れば世の中は変わるだろうなと思うんですけど。
子供が大人になる過程で、大人のふがいなさをたくさん見ていくと思うんです。子供にやるなっていうこと、例えば物事は争って解決するのではなく、会話して解決しようといってもやった試しがない。そういう意味でシア・カーンは人間が過去にやってきた間違いによって生まれた遺恨であり、そういうことに向き合って、むしろ相手の存在を助けるとこまでにならないと本質的な改善にならないと思うので、シア・カーンは存在していて欲しいです。

『ジャングル・ブック』のように、動物と自然が共通している状態はフィクションです。ただ、キャラクター達はそれぞれ人間に当てはまっていますね。それぞれ国も違うかもしれないし、種族も違うけど、それぞれが共存するから環境というのは成立している。お互いにリスペクトがあるから調和がある。そういう意味で我々もこの映画でのジャングルのような調和を見習わなくてはいけないですよね。

どういう存在としてリーダーシップを取っていくか、社会に対して寄与していくかという部分でいろんなサンプルがこの映画にあると思います。シア・カーンのやり方はしんどいでしょうし、、。バルーは最高ですね。クロヒョウのバギーラとの掛け合いは釣りバカ日誌のスーさんと浜ちゃんみたいでしたね。もちろん若い子にはこれから社会を作っていくにあたって、理想ってなんだろうっていう時に主人公が勇気をもって起こした行動は参考になりますし、シア・カーンはなってはいけない存在ですが、各々なりたい自分、なりたい動物を見つけてくれればいいと思います。

まさかの主人公だけが実写という、木も、ジャングルも動物も、それこそ私、シア・カーンも全部コンピューターグラフィックスという皆さんが今まで見てきたCGの幅をはるかに超えた形でジャングルが再現されて、その中を歩く感覚もありますし、現れてくる様々な動物たちも、もしかしたら皆さんの周りの大人たちかもしれません。なので、彼らと仲良くするためにも、この映画を見ると色々ヒントが見つかるかもしれません。是非、楽しんでもらえればと思います。

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執筆者

Yasuhiro Togawa