日活株式会社が1971年に製作を開始した「日活ロマンポルノ」が、今年2016年11月20日に生誕45周年を迎えます。
今回、新作製作と旧作の活性化をあわせた横断的なロマンポルノリブートプロジェクトを開始し、国内外さまざまな取り組みをスタートしています。そのなかのひとつとして今回、韓国史上初となる日活ロマンポルノ映画祭が開催されております。

猥褻表現の規制が厳しい韓国で、日活ロマンポルノ映画祭を初開催!新作は、すでに6社からオファーも!

5月19日から日活ロマンポルノを中心とした作品を上映するロポクラシック・フィルム・フェスティバルが開催されています。本映画祭は6月22日までの約1か月間に渡り、日活ロマンポルノ17作品と日活旧作2作品の計19作品が上映され、韓国国内5か所を巡回いたします。ロポクラシックという映画祭のタイトルは、韓国では“ポルノ”という表現が使用できないため頭文字をとって“ロポ”と銘打っています。猥褻な表現への規制が厳しい韓国で、日活ロマンポルノの特集上映が実施されるのは今回初となり、記念すべき映画祭となりました。

今回の上映作品として選ばれたのは『㊙ 色情めす市場』や『ラブホテル』、『赫い髪の女』といった、日活ロマンポルノのなかでも傑作と名高い作品ばかり。ポン・ジュノやキム・ギドクといった世界的な映画監督を輩出する映画大国・韓国だけあって、”日活ロマンポルノ”というワードを知る映画偏差値の高い方もおり、本映画祭のニュースを掲載したstoo.comは「ロマンポルノ作品は、新たな価値を1つの作品の中に表現することにより、爆発的な力と新鮮で独特なストーリーを実現した。単なる低予算のピンク映画とは一線を画した想像力とチャレンジ精神が含まれた秀作を生み出し、日本映画の歴史に名を刻んだ」と説明しています。劇場にはシニアの客層が多く見られ、大学生の姿もありました。相米慎二監督『ラブホテル』を鑑賞した大学生は、「ロマンポルノの名前は知っているが、詳しくはよく知らなかった。『セーラー服と機関銃』のファンなので、本作を観に来たが、ラブストーリーを寂しく、静かな雰囲気で展開し、とても美しく仕上げており、非常に感情を揺さぶられた。日本人の監督が持つ“感情を映画に閉じ込める”手法と感性は韓国人の監督は持っていないのものだと思う。」と絶賛していました。

映画祭主催者は「非常に難しい挑戦だが、これからも継続的に日活ロマンポルノを韓国へ紹介していきたい。この数年で日活ロマンポルノを韓国のサブカルチャーとして定着させてみせます!」と熱い思いを語っています。

すでに発表されている日活ロマンポルノ新作に関して、韓国でも知名度のある監督陣が手掛けるということから非常に注目度の高い作品群として、すでに韓国の映画会社6社から配給オファーがきています。

【映画祭概要】
★名称 ロポクラシック・フィルム・フェスティバル (ropo claxxic)
★会期 2016年5月19日(木)〜6月22日(水)
★開催地 5月19日〜ソウル、チョンジュ / 6月2日〜プサン、テグ、クァンジュ
★概要  韓国初となる日活ロマンポルノを中心とした映画祭。韓国国内5都市を巡回し、合計19作品が上映される。
★上映作品(全19作品)
『㊙色情めす市場』『赫い髪の女』『四畳半襖の裏張り』『ラブレター』『一条さゆり 濡れた欲情』
『ラブホテル』『実録阿部定』『暴行切り裂きジャック』『㊙女郎責め地獄』『色情海女 ふんどし祭り』
『女新入社員 5時から9時まで』『看護女子寮 いじわるな指』『美姉妹 犯す』
『ピンクカット 太く愛して深く愛して』『セックスドキュメント ぶち込みたい!』
『バックが大好き!』『女猫』ロマポ17作品、『神々の深き欲望』『にっぽん昆虫記』他2作品

 ロマンポルノとは? 
「日活ロマンポルノ」は、日活が1971年に打ち出した当時の映倫規定における成人映画のレーベル。
「10分に1回絡みのシーンを作る、上映時間は70分程度」などの一定のルールと、製作条件を守れば比較的自由に映画を作ることができたため、チャンスを与えられた若手監督たちは限られた条件の中で新しい映画作りを模索し、作品への情熱と、助監督として培ってきた技術と経験で、さまざまな「性」の表現に立ち向い、男性向けに作られながらも、女性とその生き様を深く美しく描くことを極めていきました。製作終了した1988年までの17年間に、約1,100本もの作品を継続して公開し続けた結果、映画史において、最もセンセーショナルな作品レーベルとして、現在も国内外で高く評価されています。

 ROMAN PORNO REBOOT PROJECTとは?
2012年、日活創立100周年記念と銘うったロマンポルノ特集上映を実施。これをきっかけに、若い世代や女性層など、これまでロマンポルノに触れる機会がなかった新しい観客を開拓しました。今回、新作製作プロジェクトにおいて、第一線の映画監督たちへ、現代の性と男と女のドラマを描く表現の場を提供し、さらに、旧作ロマンポルノのマスターピース作品群の上映を行うことで、ロマンポルノの活性化を計ります。

新作製作 powered by BSスカパー! 
2016年、ロマンポルノが生誕45周年を迎えるにあたり、これまでロマンポルノ作品を監督していない、第一線の監督たちによる完全オリジナルの新作ロマンポルノを、BSスカパー!をパートナーとして製作開始いたしました。さらに、新作の劇場公開に併せて、BSスカパー!(BS241/プレミアムサービスCS585)にてR15+版の放映を行います。 

今、なぜ新作を製作するのか?  
日活は、1971年に、男性に向けて”裸の物語”の製作を開始。センセーショナルな表現で性という人間の根源を描き、社会現象となりました。それは計らずも映画の新しい表現への挑戦の場となり、男女の新しい価値観も生み出しました。 2015年の現在、人間の根源である性ついて、男性・女性ともに考え、語られる時代になっています。しかし、それを堂々と表現することは、未だタブー視されています。日本のマスメディアが放送内容に関して自主規制を厳しくする一方で、猥褻な画像や映像はインターネット上に溢れています。公の場での表現が規制された時、それを補ってきたのが映画でした。パソコンやスマホから容易に入手できる猥褻な情報に”ロマン”は皆無です。このように性の表現が二極化する中で、日活は再び<裸を題材にした人間の本質的なドラマ=”裸の物語”>をつくることに挑戦します。男性も女性も等しく楽しむことができるエンターテイメントとして、新しいロマンを生み出します。

日活ロマンポルノ公式サイト http://www.nikkatsu-romanporno.com

執筆者

Yasuhiro Togawa