2016年6月1日、アクション映画の「掟」をすべて撃ち破る、規格外のニュー・ヒーロー『デッドプール』がファン待望の日本降臨を果たした!全米で3週連続No.1、全世界120カ国で予想外のオープニング成績No.1、《R指定》作品史上最大のヒット(6/7現在、$772,376,021※boxoffice mojo調べ)となっていることでも話題の映画だ。
第四の壁を破って、映画の主人公がスクリーンの方を向いて観客に語りかけてくる。トークの中身は、思いっきり下品で、その饒舌はマシンガンのように繰り出される。ガンを克服するためにミュータントとなった元傭兵は、“ヒーリングファクター”(再生能力)という特別な能力を身につけ、撃たれても回復する不死身の肉体を手に入れる。だが、その代償として顔はおろか、全身がボロボロに…。こんな規格外なヒーローが、今、日本でアツい支持を集めている。

全世界120カ国でオープニング成績No.1を記録し、日本でもロケットスタートを切り、週末興収1位となった『デッドプール』だが、全世界で大ヒットしたにはワケがある!
アメコミの映画化作品は、やはり男性のアクション映画ファンがメインのターゲットとなる。強靱なヒーローが宿敵と戦う構図のもと、高額の製作費を投入したド派手なアクションが主流。つまり、男性に向けて作られるケースが殆どなのだ。だが『デッドプール』はひと味違う。本編でデッドプール自らが観客に語りかける通り「これはラブストーリー」なのだ。『デッドプール』のキュートで愛くるしいキャラクターに加えて、ラブラブの要素が世界の女性観客のハートを鷲づかみした。また、《R指定》にすることで言葉や表現の制約を取り払われ、エロい表現も躊躇なく連発、しかも思いっきり笑える小ネタも満載なのだ。
ラブストーリーといえば、『ロミオとジュリエット』『オセロ』など、狂おしい悲恋を描いたシェイクスピアの作品や、何度も映画化された『美女と野獣』や『オペラ座の怪人』などの古典的な名作同様、素顔を見せられない怪物のような存在が、か弱くも美しい女性に一途な愛を捧げる古典的な恋愛映画と同じ文脈が確立されているのだ。
お互いのパズルが完璧にハマったような最愛の女性ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と結婚を誓った矢先、末期ガンの宣告を受けたウェイド(ライアン・レイノルズ)は、危険なミュータント実験を受ける。試練の末に実験は成功するが、彼は全身がボロボロになり、彼女に素顔を見せられない状態になってしまう。自分の顔を治せるのは、実験を指揮したエイジャックス(エド・スクライン)だけ。素顔を隠すために赤いスーツを自作し、デッドプールとなったウェイドは、彼女と再会するために宿敵を追う。
正義のためでも、世の中のためでもなく、ただ大好きな彼女のためだけに戦う身勝手なヒーロー。早口で饒舌しかも毒舌なデッドプールだけど、実はシャイで愛には一途。そんな姿こそ、世界の女性たちが求める新しいヒーロー像なのかも知れない。

映画『デッドプール』は、これまでのアメコミを映画化したヒーロー映画とはひと味もふた味も違う。“どうしようかなぁ”と迷っている女性たちにこそ、デップーの愛の行方を見届けていただきたいラブストーリーなのだ。映画館に出掛けるときは、ハンカチをお忘れなく。

TVスポット
https://www.youtube.com/watch?v=7NmnZKWKjq8

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執筆者

Yasuhiro Togawa