実在した女性逃亡犯の内面を圧倒的リアリティーで再現し、その年の映画賞を多数受賞した傑作『顔』から16年。日本演劇界が誇る舞台女優、藤山直美と阪本順治監督が再びタッグを組んだ!まさに映画ファン待望の最新作『団地』が有楽町スバル座・新宿シネマカリテ他にて大ヒット公開中です。

映画ファンが待ち望んだ新作でありながら、多くの観客の予想を遥かに上回る物語は、阪本監督書下ろし完全オリジナル脚本の会話劇。さまざまな人生が交差する団地という“小宇宙”を舞台に、ごく平凡な夫婦の全然普通じゃない日常を、独特のオフビートな感覚で描きだす。抑制の効いたセリフから漂う何とも言えないオカシミ。そして物語全体を支配する、ちょっぴりブラックなスパイス—。まさに稀代のコメディエンヌ・藤山直美の未知なる魅力を引き出した新境地の“妄想としゃべくりのハーモニー”が誕生し、観客を釘付けにしている!
『団地』本編映像が到着!
https://www.youtube.com/watch?v=Jn3dMrG9OVI

藤山直美と岸部一徳の息の合った絶妙な掛け合いが繰り広げられる。床下収納の中身を取り出している清治(岸部一徳)に、「何するつもり⁉」と声を荒げるヒナ子(藤山直美)。「死んだことにしてくれ!」と吐き捨て、清治はそのまま床下に潜ってしまう。
そして斎藤工扮する謎の青年、真城が山下家にやって来るシーンでは、ヒナ子と清治が団地へ越してきた経緯、悲しい過去が明かされ耳を傾ける真城がやってきた本当の目的、「大事なお願い」とは一体何なのか—。
40年来の知り合いである、藤山と岸部が映画で夫婦役を演じるのは今回が初めて。岸部は「なぜ僕が今結婚をしていないのか不思議になるほど、藤山さんとの夫婦役は自然でした。このまま結婚してもいいんじゃないかなぁと思ってしまったほどです。」と役を振り返るほど。
阪本監督が「すべてアテ書きで書いた」という、団地に住む市井の人々である初老夫婦のやりとりには日常から滲み出るオカシミと哀しさが漂い、さらには阪本組常連の大楠道代、石橋蓮司を交えての最強とも言えるカルテットが織りなす大人の会話劇は必見だ。

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執筆者

Yasuhiro Togawa