欧米各地を身軽に行き来し、独特の哲学に基づく珠玉作の数々を発表してきたウディ・アレン監督待望の最新作『教授のおかしな妄想殺人』が6/11(土)に日本公開となります!

悩める男を絶好調に一変させた“ある企て”とは?
人生の不条理を独特の哲学で描いたウディ・アレン監督最新作
“人はなぜ生きるのか?”という究極の命題をはらむダーク・コメディ『教授のおかしな妄想殺人』。奇抜なストーリー展開の中に人間の不条理さと滑稽さが入り混じり、ウディ・アレン流の皮肉なユーモアが炸裂する逸品が日本公開となる。
アレンは本作で監督・脚本を務め、主演は『her/世界でひとつの彼女』の個性派俳優ホアキン・フェニックス。初めてアレンとタッグを組み、一癖も二癖もある哲学教授エイブを魅力的に演じている。さらにヒロイン役に抜擢されたのは、前作『マジック・イン・ムーンライト』から続投となるエマ・ストーン。教授に惹かれていく女子大生ジルを、アレンの新たなミューズとして存在感たっぷりに演じた。

ウディ・アレン、ミューズの系譜
◆女優に賞を与える監督、ウディ・アレン
ウディ・アレンの監督作品に出演し、脚光を浴びた女優が多くいる。
70年代で忘れてはならないのは、ダイアン・キートン。彼女はアレンと5年ほどの交際期間を経て、破局後も、アレンの名を世界に轟かせた『アニー・ホール』(77)ほか多くの作品で共演した。80〜90年代は『カイロの紫のバラ』(85)、『ハンナとその姉妹』(86)などに出演し、キートンと同じく彼のパートナーとしても知られていたミア・ファロー、そして2000年代は『マッチポイント』(05)、『タロットカード殺人事件』(06)のスカーレット・ヨハンソン、『それでも恋するバルセロナ』(08)、『ローマでアモーレ』(12)のペネロペ・クルスと年代ごとにミューズとして作品を彩った。
上記に挙げただけでなく、他にも多くの女優が今もなおアレンの作品への出演を熱望している。その大きな理由のひとつに、彼が女優に賞を与える監督だからだ。

アカデミー賞では受賞だけでもダイアン・キートン(『アニー・ホール』主演女優賞)、ダイアン・ウィースト(『ハンナとその姉妹』(86)、『ブロードウェイと銃弾』(94)共に助演女優賞)、ミラ・ソルヴィーノ(『誘惑のアフロディーテ』(95)助演女優賞)、ペネロペ・クルス(『それでも恋するバルセロナ』助演女優賞)、ケイト・ブランシェット(『ブルー・ジャスミン』(13)主演女優賞)、そしてさらにノミネートされた女優も枚挙に暇がない。
2014年のゴールデン・グローブ賞では生涯功労賞を受賞したが、授賞式嫌いのアレンは出席せず、代わりにダイアン・キートンが登壇。そこで女優にとってアレンとの仕事がいかに魅力的であるかを語り、世界にアレンという存在の大きさを再認識させた。

◆新たなミューズ
そして、昨年日本公開された『マジック・イン・ムーンライト』(14)、6月11日に公開となる『教授のおかしな妄想殺人』(15)でヒロインを演じたエマ・ストーンが新たなミューズとして注目されている。
『教授のおかしな妄想殺人』では東海岸の港町に住む、哲学教授に恋する女子大生ジルを好演しており、前作では見られなかったキュートな現代ファッションを披露している。
アレンは、「エマからは知性がにじみ出ている。演技の幅の広さは驚異的だ。彼女は必要に応じて、とてもコミカルにも、極めてドラマティックにも演じることができるんだ。」、とストーンの演技を絶賛している。
本作でジルの恋敵となる科学教授リタを演じるのは、『ブロークン・イングリッシュ』(07)のパーカー・ポージー。彼女は本作への出演が決まったこと、そしてアレンの作品に関して、こう語っている。「ウディが描く女性たちはちょっと風変わりで複雑で躍動感にあふれてる。映画監督なんて大勢いるわよね。でも実際にそんな女性像を映画の中で描ける監督は少ないわ。だから本当にうれしかったの」
ポージーはアレンの次回作「Café Society」(16)にも出演しており、彼女もウディ・アレンファミリーとして今後が期待される。

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執筆者

Yasuhiro Togawa