歴史上〈絶対悪〉であるヒトラーが現代に甦り、モノマネ芸人と誤解されて引っ張り出されたテレビの世界で大スターになるという大胆不敵な小説が、2012年にドイツで発売。絶賛と非難の爆風をくぐり抜け、国内で200万部を売り上げ、世界41カ国で翻訳、権威あるタイムズのベストセラーリストでも堂々NO.1に輝いた問題小説が、まさかの映画化となりました!ドイツではディズニーの大ヒットアニメ『インサイド・ヘッド』を抑えて第1位を獲得。
主役を演じるのは、リアリティを追求するために選ばれた無名の実力派舞台俳優オリヴァー・マスッチ。ヒトラーに扮した彼が街に飛び込み、実在の政治家や有名人、果てはネオナチと顔を合わせるというアドリブシーンを盛り込んだセンセーショナルな展開と、原作とは違う予測不能な結末は、一大ブームを巻き起こしたのです。

<ドイツの未来>といえる、若者たちと一緒にケータイの自撮りに写りこむヒトラー。
20世紀の極悪独裁者といわれ、今もなお悪の象徴と例えられるこの人物に、現代の人々が次第に惹きつけられていくというこの作品。
現代人の生活の一部となったネット社会を巧みに利用し、大ブレイクしていくその様は、カリスマの一言。
実際にこの映画の撮影中、街中で多くの人々が彼を取り囲み、一緒に自撮りをしたがったそうだ。ヴェンド監督いわく、「民主主義に毒づき、誰かがもう一度ドイツで思い切った手段を取ってくれることを望んでいる人たち」もいたとのこと。もちろん、ヒトラーを見て激しく非難する人や「恐ろしい」と言う人もいた。
ヒトラーをめぐる現代人の認識は大きく二分化しているのかもしれない。それは「ヒトラーの人間的魅力」の存在を認めるか否か、である。若者の持つケータイのレンズに写るものは、まさに今、現代社会が惹きつけられている存在なのかも?!
その現実にはトリハダが立つこと間違いなし、、、ひぃ!

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=54691

執筆者

Yasuhiro Togawa