今年も大賑わいのオールナイト企画、新文芸坐×アニメスタイルセレクション「押井守映画祭2016」ですが、ディープアニメ編と題した第二夜の開催が決定しました。数あるフィルモグラフィーの中から、特に押井監督の個性が発揮されたアニメをまとめたプログラムです。

 『御先祖様万々歳!』は演劇的な演出を取り入れたコメディで、実験性と娯楽性を両立する押井監督ならではの作品。うつのみや理の斬新なキャラクターデザイン、若手アニメーターの密度の高い仕事も見どころです。昨年の「押井守映画祭2015」では同作総集編の『MAROKO 麿子』を上映したのですが、その際に押井監督自身の強い希望があり、オリジナル版であるOVA全6話を改めて一挙上映することになりました。

 『天使のたまご』は天野喜孝キャラクターがそのままの雰囲気で動くなど、発表当時、多くのファンを驚かせました。押井監督が敬愛する映画監督アンドレイ・タルコフスキーの影響も色濃く、物語ではなく映像詩とでも呼ぶべき、表現で魅せる前衛的なアニメに仕上がっています。

 『立喰師列伝』は架空の職業「立喰師」を主役に昭和史を総括するという異色の劇場アニメ。内容だけでなく、実写の人物写真(それも業界人多数!)を3DCGモデルに貼り込んで動かすという手法も独特の味わい。一時はライフワークのように入れ込んだ作品で、それだけに押井ワールド全開の特濃ぶりが魅力です。

 第二夜のゲストは押井守監督と声優の千葉繁さん。お二人には『御先祖様万々歳!』のナレーターとしても名調子を聞かせてくれた故・永井一郎さんのお仕事についても振り返っていただく予定です。(ちなみに、『御先祖様万々歳!』は千葉繁さんの初録音演出作品です)。
 「押井守映画祭」は押井守監督のアニメ、実写の代表作を上映する連続企画。昔からの熱心なファンだけではなく、初心者にも楽しんでもらえるようにプログラムを組んでいます。第二夜の前売券は、5月19日(木)からチケットぴあと新文芸坐窓口で発売です。ご期待ください! 

■イベント概要
 新文芸坐×アニメスタイルセレクションVol.83
 押井守映画祭2016 第二夜「ディープアニメ編」
 【日 時】 2016年6月4日(土)
開場22:00/開演22:15(終演予定6:05)
 【会 場】 新文芸坐(東京都豊島区東池袋1-43-5
マルハン池袋ビル3F) TEL.03-3971-9422
池袋駅東口徒歩3分  http://www.shin-bungeiza.com/
 【特別料金】当日一般3000円/前売・友の会2800円
前売券はチケットぴあ・新文芸坐窓口にて、
5月19日(木)より発売開始!
 【ゲスト】 押井守(映画監督)
千葉繁(声優)
 【司 会】 小黒祐一郎(アニメスタイル)
桑島龍一(プランナー)
 【作 品】『御先祖様万々歳!』(1989-1990/180分/DVD)
『天使のたまご』(1985/71分/35mm)
『立喰師列伝』(2006/104分/35mm)
 【備 考】 オールナイト上映につき18歳未満は入場不可。
トークショーの撮影・録音は禁止。

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執筆者

Yasuhiro Togawa