この度、カンヌ国際映画祭クラシック部門(カンヌクラシックス)に日本初の長編アニメーション「桃太郎海の神兵」(瀬尾光世監督、1945 年公開、英題:MOMOTARO, SACRED SAILORS)が選ばれました。
昨年の 2015 年、松竹は、松竹 120 周年と終戦 70 周年を機に、戦争末期に海軍省の依頼で製作し、1945 年 4月に公開された日本初の長編アニメーション「桃太郎 海の神兵」(瀬尾光世監督)のデジタル修復に着手し、2016 年 4 月に完了。この度のワールド・プレミア上映となりました。

今回の修復は、現在松竹が保有する 35mm のマスターポジとインターネガを素材に、4K でスキャンし 2Kで修復。映像監修に、「母と暮らせば」「家族はつらいよ」など山田洋次監督作品のキャメラマン、近森眞史さん、映像監修協力に、スタジオジブリ作品の「紅の豚」や「もののけ姫」などの撮影監督、奥井敦さん、音響修復は世界的に実績がある米国の Audio Mechanics が担当。アニメーション映画特有の撮影環境を考慮、想像し、今回の修復にあたりました。
制作/株式会社松竹映像センター、映像修復/株式会社 IMAGICA、株式会社 IMAGICA ウェスト

カンヌクラシックスとは

カンヌ国際映画祭の一部門で、映画についてのドキュメンタリ−映画や、世界的なクラシック映画の修復版を上映。日本映画では、2005 年「父ありき」(小津安二郎監督)、2006 年「風の谷のナウシカ」(宮崎駿監督)、2008年「ツィゴイネルワイゼン」(鈴木清順監督)、2012 年「楢山節考」(木下惠介監督)、2013 年「秋刀魚の味」(小津安二郎監督)、2014 年「青春残酷物語」(大島渚監督)、「東京オリンピック」(市川崑監督)、2015 年「残菊物語」(溝口健二監督)、「仁義なき戦い」(深作欣二監督)、「乱」(黒澤明監督)に続く選出です。
○本年度カンヌクラシックス
「桃太郎 海の神兵」は、「雨月物語」(1953、溝口健二監督)、「片目のジャック」(1961、マーロン・ブランド監督)、「男性・女性」(1967、ジャン・リュック・ゴダール監督)、「愛欲」(1937、ジャン・グレミヨン監督)など、錚々たる歴史的傑作と並んで上映されます。

『桃太郎 海の神兵』(1945 年公開)英題:MOMOTARO, SACRED SAILORS

富士山麓の村で休息を終えた、サル、イヌ、キジ、クマが南方へ行く。隊長・桃太郎の指揮下、鬼ヶ島へ飛行隊が向かう。大空に咲く、数々のパラシュート。作戦が成功し、桃太郎たちが瞬く間に島を制圧した頃、村の子供たちは落下傘ごっこをして、歓声を上げ、富士山に向かって走り去る。
後援/海軍省、製作/松竹株式会社、構成/熊木喜一郎、脚本・演出/瀬尾光世、影絵/政岡憲三、音楽監督/古関裕而、作詞/サトウハチロー

○瀬尾光世監督(1911−2010)
1911 年兵庫県生まれ。プロキノ(プロレタリア映画同盟)を経て、京都のアニメ制作者・政岡憲三(※)に師事。1933 年「お猿の三吉」シリーズを制作。1943 年の「桃太郎の海鷲」が大ヒットし、1945 年に「桃太郎 海の神兵」公開。戦後は、絵本作家としても知られる。
※“日本アニメーションの父”、2012 年にデジタル修復版が完成した「くもとちゅうりっぷ」(1943)の監督で、「桃太郎 海の神兵」では影絵のパート他で協力。

日本では、2016年8月3日発売予定
申込は、下記から
http://www.shochiku-home-enta.com/shop/item_detail?category_id=30738&item_id=2011975

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa