是枝監督が新たに送りだすのは、“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語です。主演は今や国民的名優となった阿部寛。叶わぬ夢ばかり追い続ける情けない主人公・良多を、ときに可笑しく、ときに切なく、チャーミングに演じています。そんな良多に愛想を尽かした元妻に真木よう子。そして、良多の人生を穏やかな眼差しで見つめる母に樹木希林。さらに、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、橋爪功ら豪華キャストが揃いました。台風の夜に集まった元家族。嵐が去れば、またそれぞれの日常に戻ると分かっている彼らの想いが交錯し——。“海よりもまだ深い”人生の愛し方を教えてくれる、心に沁みる感動作がここに誕生しました!

この度、阿部寛が演じる主人公・良多の、一見ホラー映画?!と見間違えしてしまうような、恐怖画像が到着いたしました!!

 良多の顔が不気味に発光する姿が映し出される本画像。しかし実は、台風の夜、トイレに起きてきた息子の真悟を夜中の公園へ誘おうと、懐中電灯の光で自らの顔を照らして待ち伏せするというコミカルなシーンでの一コマなのです。

ドラマ「下町ロケット」(15)では、ロケットエンジン開発に熱意と情熱を持つ町工場の社長を演じ、映画『エヴェレスト 神々の山峰』(16)では、人生全てをエヴェレスト登頂に賭ける勇敢な男を演じた阿部さん。しかし、本作では15年前に文学賞を一度獲ったきりの売れない作家で、妻には愛想を尽かされ離婚。息子の養育費も満足に払えないくせに彼女に未練たっぷりという、笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男演じています。

本作で3度目のタッグとなる阿部さんと是枝監督ですが、今回のキャンティングにおいて「他の人にお願いする発想がまったくなかった。」と明かす是枝監督。「脚本を書き始めた時から、阿部さんの声を思い浮かべて書いています。ダメ男と言える良多をあそこまでダメな感じでやってくださって〈笑〉、本当に素晴らしかったです。」
一方、これほどまでのダメ男を演じたのは初めてだったという阿部さんは、今回の役は“新鮮で楽しい経験”だったと語ります。「虚勢を張ったり、強がったりするけど、本当は弱いんです。いつまでも夢を追いかけている良多の甘えを、今までにない、面白い人間味として出せたのではないかと思います。」

二枚目も、三枚目を演じられる国民的俳優・阿部寛の、新境地であるダメ男っぶりにも是非ご注目下さい! 

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執筆者

Yasuhiro Togawa