吉本興業は、世界で活躍できるエンターテイメント人材の育成を目的とする学校法人を沖縄県内に設立することを決定いたしました。見よう見まねでスタートした沖縄国際映画祭も今年で第8回を数え、昨年には「島ぜんぶでおーきな祭−沖縄国際映画祭−」と名称を変え、年間を通じて沖縄県民の皆さまと一緒に作りあげるお祭りへと進化を続けて参りました。そうした取り組みのなかで私たちは「人材育成」の大切さを知り「沖縄エンターテイメント・ビレッジ構想」を掲げるに至りましたが、今回の学校法人の設立はまさにその中核となる取り組みです。ダンスや歌唱、漫才や演技などに取り組むパフォーマーだけでなく、エンターテイメントを支える最先端のバックヤードの仕事にも光を当て、各ジャンルの一線級の講師を世界中から招聘する国内には類を見ない本格的なエンターテイメント・スクールとして開校いたします。今後、沖縄県内の複数の候補地を念頭に、2018年の開校を目指して国や沖縄県市町村など関係各所と具体的な検討を進めて参ります。

 吉本興業が推し進める「沖縄エンターテイメント・ビレッジ」構想は、これからの成長領域であるエンターテイメントおよびコンテンツ&クリエイティブ産業を沖縄県の未来の街づくりの基盤とし、優れた人材の育成によってジャパン・コンテンツの国内外への発信を目指すものです。一方でエンターテイメントを「仕事」と捉えると、学歴や能力、ハンディキャップに関係なく各人の適性に応じて自らの「居場所」を見つけることができる多様で裾野の広い「職業」です。エンターテイメント・スクールは、日本中の、そしてアジア全域の若者や子どもたちが「好きなことを仕事にする」という夢を見つけ育む場になるに違いありません。「沖縄21世紀ビジョン基本計画」でも示されているとおり、沖縄は個性豊かで多様性に富む歴史と文化という貴重な産業資源を有しています。加えて、アジア各国と至近の距離という地理的アドバンテージを持つ沖縄は、アジア全域のエンターテイメント人材の育成・交流のハブとして優れてふさわしい場所です。今回の取り組みによって沖縄県全体の文化振興と経済的効果の循環に多少なりとも貢献できればと願っております。

 現在、吉本興業は創業から100年を超える歴史の流れの中で培った国内外の優れたエンターテイナーやエンターテイメント事業者とのネットワークを活かして、創造性に富むエンターテイメント人材育成のメソッドやカリキュラムに関する検討を重ねております。その中にはトニー賞を過去三度受賞したブロードウェイの伝説的なミュージカル・スターであるヒントン・バトル氏、米国を代表するタレント・エージェントであるCAA
(Creative Artists Agency)、即興喜劇の分野で世界をリードするアメリカ・シカゴを拠点とするセカンドシティ(The
Second City) 等が含まれており、世界的なダンサー/振付師/女優で、テレビドラマシリーズ「フェーム」等で知られるエミー賞受賞者・デビー・アレン氏、テレビドラマシリーズ「HEROES/ヒーローズ」の人気俳優かつプロデューサー・実業家としても活躍のマシ・オカ氏等、輝かしい実績を誇る講師陣のリストアップを進めております。

また、これまで国内では学ぶ機会に恵まれなかったエンターテイメントの「裏方」の様々なクリエイティブな仕事、視覚効果やプロダクション・デザイン、衣装デザインや特殊メイクといった分野や三次元CGや照明技術といった最先端分野の講義もそろえる予定です。加えて、エンターテイメント・ビジネスには欠かせない法務やマーケティング等の知識を学ぶ講義など、裾野の広いエンターテイメント産業のニーズに応える多彩な人材を育成して参ります。

 就業年限は2年を想定していますが、サマースクールや市民講座といった短期のプログラムや留学制度等さまざまな就業形態を揃えるほか、沖縄の地で学ぶことができない生徒たちに対しては講義の内容を無料のアプリで配信するなど、より多くの人たちに開かれた学ぶ機会を提供したいと考えております。

 弊社といたしましては、引き続き全力で当プロジェクトの実現に向けて努力する所存ですので、今後ともご理解ご支援を賜りたくよろしくお願い申し上げます。

執筆者

Yasuhiro Togawa