この度、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督による青春シリーズ不朽の名作『冬冬の夏休み』(1984年)、『恋恋風塵』(1987年)がデジタル・リマスター版として、5月21日(土)より渋谷ユーロスペースほかにて全国順次公開となります。

昨年春エドワード・ヤンの『恐怖分子』(1986年)が19年ぶりにデジタル・リマスターで蘇った。続く5月、カンヌ国際映画祭ではホウ・シャオシェンの新作『黒衣の刺客』が最優秀監督賞を獲得。さらに東京フィルメックスで特集上映が開推され来日も果たした。このふたりの世界的映画作家が一時代を築いた台湾ニューシネマの世界が、絶賛開催中の「台湾巨匠傑作選2016」で存分に堪能できるほか、5月からはシャオシェン監督の『冬冬の夏休み』『恋恋風塵』がデジタル・リマスターで蘇る!

台湾の田舎を舞台に、ノスタルジックで抒情的なドラマを静謐なロングショットで紡ぐホウ・シャオシェンと、台北の孤独、人間関係の脆さ、不条理さを冷徹に見つめ、ヒリついた都会の群像劇を描くエドワード・ヤン。作風が対称的だと評される台湾ニューシネマの双璧は、同じ1947年大陸生まれ。新人たちによるオムニバス映画企画で、二人は親交を深め、次第にそれぞれの映画作りでも連携していった——。

2014年夏に開催され、大好評を博した「台湾巨匠傑作選2016」は前回以上の充実したラインナップで台湾映画界の変遷と発展を大回顧。ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャンなど台湾ニューシネマを代表する監督作品に加え、最新ドキュメンタリー含む全23本が一挙上映!さらに、5月21日からはシャオシェンによる青春シリーズの傑作『冬冬の夏休み』『恋恋風塵』が30年の時を越え、デジタル・リマスター版として上映される。共に世界初のDCP上映となり、特に『冬冬の夏休み』は台湾の倉庫で発見された状態の悪いネガプリントを、日本の技術力の高い日本で数々の実績を誇るエキスパートで修復、世界に先駆けてデジタル・リマスター版の上映が実現した。『風櫃の少年』(84)で音楽を担当したエドワード・ヤンは、『冬冬の夏休み』では音楽だけでなく、幼き兄妹の父親役で優しい笑顔を振りまいている。また、エドワード・ヤン監督作『ヤンヤン 夏の思い出』(00)で主演を務めたウー・ニエンチェンが、『恋恋風塵』では脚本を手がけており、まさに一蓮托生の巨匠たちによる青春時代のきらめきがそのまま作品に投影されているといっても過言ではないだろう。いずれも世界各地の映画祭などで高く評価された傑作、秀作揃いなので、これまで台湾映画を見逃してきてしまった人は、是非この機会に台湾映画の魅力に触れてみてほしい。

映画『冬冬の夏休み』『恋恋風塵』は5/21、ユーロスペースにて2週間限定公開後、全国順次ロードショー。
「台湾巨匠傑作選2016」は4/30〜6/10まで新宿K’s cinemaで開催中。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa