巨匠スコリモフスキが仕掛ける傑作サスペンス。前代未聞のラストを目撃せよ!

 17年ぶりの監督復帰作『アンナと過ごした4日間』が東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、続く『エッセンシャル・キリング』でベネチア国際映画祭審査員特別賞、主演男優賞(ヴィンセント・ギャロ)W受賞の栄誉に輝いたイエジー・スコリモフスキ。華麗なる復帰劇を果たし一躍映画界の最前線に躍りでた彼の最新作『イレブン・ミニッツ』が5年の歳月を経て、ついに日本上陸の運びとなりました。

 デビュー作から半世紀に渡り監督・俳優として活躍しているイエジーが監督・脚本・製作を手がけた本作はリアルタイム・サスペンスの傑作。午後5時に始まり5時11分に終わるこの物語は、大都会に暮らすいわくありげな人々の11分間のドラマをモザイク状に構成し作られた群像劇。今年78歳という高齢ながら、斬新な音響表現とCGも使用した魅惑的な映像表現で使い古されたサスペンスという定番ジャンルの様式をラディカルな精神で突破した『イレブン・ミニッツ』。

 コミュニケーションの不在や不条理な現代社会をストレートな映像で表現した観客誰もが想像しえない驚愕のラスト・シーンは本作最大の見所。巨匠らしからぬフレッシュな心意気がみなぎる傑作サスペンス作品です。

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執筆者

Yasuhiro Togawa