監督は、2009 年に長編監督デビューをして以来、わずか 2 作目の『父の秘密』(12)が第 65 回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にてグランプリ受賞。続く、3 作目の本作が第 68 回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞と、映画監督としてはまだ短いキャリアにもかかわらず、世界最高峰の映画祭を魅了してやまないメキシコ出身の俊英ミシェル・フランコ。36 歳という若さでありながら“人間”を深く抉り出す、研ぎ澄まされたその観察眼に私たちは驚きを隠しえない。また、主人公デヴィッドに扮したのは、主演としてバイプレイヤーとしてさまざまな監督に愛され、幅広いキャラクターをこなしてきた名優ティム・ロス。『父の秘密』がカンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリを受賞した際に審査員長だった彼が、監督の才能に惚れ込み自ら「君の映画に出たい」と熱烈逆オファーが実現した。患者の残りわずかな最期のときを、家族をも超越した距離感で共に過ごす看護師を演じ、役者としての真骨頂を見せてくれる。

予告編は、美しい旋律を BGM に看護師デヴィッドと患者の親密な関係と彼の厚意が患者親族から拒絶される様子が映し出される。後半には安楽死のほう助を匂わせる描写もあり、看護師として一人の人間として、彼がどう命に向き合うのか・・・先の読めない、どこかサスペンスフルな要素を感じさせる内容になっている。

予告編::https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=xg2_ZTHGrq0

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執筆者

Yasuhiro Togawa