2015年5月28日、多くの人たちに惜しまれながら53歳の若さで生涯の幕を閉じた俳優・演出家・脚本家、今井雅之が生前作家として書き下ろした脚本「手をつないでかえろうよ」。2009年に舞台演劇化された本作の映像化が決定し、映画『手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜』として今井氏の命日5月28日に劇場公開初日を迎えます。本作が劇場公開作品として製作されることが決定した時点で、今井氏が書き残したメッセージも公開となります。

本作でメガホンをとったのは、今井氏が演劇デビューを果たした「MONKEY」の演出家でもある奈良橋陽子。そして、今井氏を偲び、生前に親交の深かった豪華キャストが集結。

 軽度の知的障害者のある主人公・真人を演じるのは、川平慈英(発表済)。真人が自分探しの旅先で出会う麗子を演じるのは、モデル・女優としてTV・映画・舞台と幅広い活躍で注目を集める、すみれ。真人と同じ障害を持ち真人の妻となる咲楽には2015年の『アウターマン』(河崎実監督作)でスクリーンデビューを果たした七海。真人の父を板尾創路、母をLiLico。そして真人の人生に関わっていく周辺人物たちに、吉田敦、藤田朋子、勝矢、別所哲也といった奇跡の豪華キャストが集結しました。

【今井雅之からのメッセージ】
「この夏は今までで一番の熱い夏になることでしょう!押忍」
この企画は2009年の舞台作品に端を発しております。このような題材を選んだ理由は「The Winds of God 」という神風特別攻撃隊を題材とした舞台を二十数年やってきて痛感した「ある事実」によるものです。日本は今年で戦後70年になりますがこの間、世界では戦争及び紛争が起きなかった年は一度もありませんでした。戦争の悲惨さを伝えるのも私たちクリエイター/役者の大事な仕事の一つだと思います。
「なぜ戦争が起きるのか?」「なぜ宗教、人種、国が違うだけで同じ人聞が殺し合うのか?」
これがThe Winds of God の活動を通じて感じた事でした。そして、その思いを表現したのが『手をつないで かえろうよ』です。お芝居としては本来なら“普通の恋愛”を描くべきなのでしようが、私は使命のような物を感じこの舞台の脚本を書き下ろし、そして映画化まで、なんとか漕ぎつけました。監督はこの舞台のファンであり、またハリウッド及び世界で活躍中の奈良橋陽子さんに引き受けてもらったことは本当に嬉ばしい事です。何か新しい、今までの日本映画に無い「化学反応が起こるのでは… いや、もう起きている気がします。まだまだ、映画制作には色々な困難が待ち受けているとは思いますが、絶対に成功させる、成功すると信じております。

<川平慈英コメント>
実の兄のような存在だった雅之の遺志を継いで、この作品に参加できたことを誇りに思います。素晴らしいスタッフ、キャストに囲まれ、そして雅之の眼差しを感じながらの撮影でした。是非多くの皆さんに観て戴けたらと思います。

<別所哲也コメント>
いつも全速力で演じ切る今井雅之の人間臭いモノガタリです。善悪・正義・大義名分・差別・偏見、、。純なままでは生き残れない、でも不純な生き方はしたくない。癌と戦いながら表現者たる雅之が文字通り命を懸けて仕上げたこのモノガタリに参加できて、同じ青春時代を英語劇で過ごした仲間として僕は幸せ者です。光栄です。

<藤田朋子コメント>
声をかけて貰えて本当に嬉しかったです。雅さんのお陰で、撮影中は懐かしい仲間と懐かしい空気の中にいました。雅さんも一緒に居た気がします。居たよね…?

<監督・奈良橋陽子コメント>
3月の終わりに雅之と桜のシーンだけ撮影しました。主演の子役の場面だった。雅之は大きくなったときの演技をして、子役に見せていました。涙ぐんで喜んでいたのを覚えています。雅之が主演の予定でしたが、病状の悪化によって止む無く慈英を呼びました。4月頃でした。慈英は以心伝心で汲み取って、うなづいてくれました。雅之にとって慈英は兄弟みたいだったし、雅之が喜ぶんじゃないかと思ったし、喜んでくれていると思います。

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執筆者

Yasuhiro Togawa