テロの時代と言われる21世紀の空気を反映し、弩級のアクションを展開させた2013年の映画『エンド・オブ・ホワイトハウス』。“鉄壁の要塞”ホワイトハウスがテロの標的となる衝撃の展開の下、合衆国大統領を守り抜こうとする元シークレットサービス、マイク・バニングの獅子奮迅の活躍を描いた同作は観客の熱烈な支持を受け、似た題材を扱った同年公開の大作『ホワイトハウス・ダウン』以上の全米興収を記録する爆発的大ヒットとなった。その待望の続編『エンド・オブ・キングダム』が満を持して登場する。
 今回の舞台はイギリスの首都ロンドン。急逝した英国首相の葬儀に参列するため、合衆国大統領アッシャーは渡英し、シークレットサービスに復帰したバニングも同行する。ところがその時、葬儀の参列者を狙った大規模な同時多発テロが勃発。未曽有の大惨事が広がる中、テロリストの最重要ターゲットである大統領を守るため、バニングは命がけの戦いに打って出る……。
 ホワイトハウスが破壊される前作のスペクタクルも圧倒的だったが、今回のそれは前作のスケールをはるかに上回る。バッキンガム宮殿は銃撃によって血に染まり、セントポール大聖堂の塔は爆撃で破壊され、ロンドン・ブリッジは爆発によって崩れ落ちる。葬儀に参列する各国首脳は次々とテロの餌食に──なんと日本の首相までも!
 大惨事と大混乱の中で、テロリストに立ち向かうバニングの奔走のスリルも、前作の高いハードルを軽く超えてくる。バイクの追手と攻防を繰り広げながらのカーチェイス、スティンガー・ミサイルを避けて飛ぶヘリでの逃亡、地下鉄構内でのサバイバル、驚異のワンカット撮影による夜のストリートでの銃撃戦……。ノンストップ・アクションとはこのことだと言わんばかりのハイテンションムービーに仕上がった。
 プロデューサーを兼任する主演のジェラルド・バトラーとアッシャー役のアーロン・エッカートが再び顔を合わせ、前作以上に息の合った共演で見る者の目を奪う。アカデミー賞俳優であるモーガン・フリーマンとメリッサ・レオ、そしてアンジェラ・バセット、ラダ・ミッチェルといった実力派アクトレスの再結集も前作のファンには嬉しいところ。そしてトム・ハーディの妻であり注目作への出演が相次ぐシャーロット・ライリーなど新たな才能が脇を固め、俊英ババク・ナジャフィによるシャープなアクション演出は圧巻の一言だ。
 イスラム圏や東アジアでの不穏な動きが報じられる現在、テロはまさに今そこにある危機。そんな現実の究極ともいうべき、世界を標的にしたテロを描く『エンド・オブ・キングダム』。センセーショナルなエンタテインメント大作を見逃すな!

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執筆者

Yasuhiro Togawa