世界を驚かせた天才監督アピチャッポンの到達点!

ユーモアと優しさで、崇高な深遠を包み込む大傑作。

『ブンミおじさんの森』(10)でカンヌ映画祭パルムドールに輝いたタイの天才アピチャッポン・ウィーラセタクン。現在公開中(2/5まで)の2006年の幻の傑作『世紀の光』、そして同時開催の特集上映<アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2016>が満席続出でますます注目浴びるアピチャッポン監督待望の最新作『光りの墓』のポスタービジュアルと予告編が公開された。

本作の舞台はタイ東北部。かつて学校だった病院。“眠り病”にかかった男たちがベッドで眠っている。病院を訪れた女性ジェンは、面会者のいない”眠り病”の青年の世話を見はじめ、眠る男たちの魂と交信する特殊な力を持つ若い女性ケンと知り合う。そして、病院のある場所が、はるか昔に王様の墓だったと知り、眠り病に関係があると気づく。青年はやがて目を覚ますが……、というストーリーだ。

映像、サウンド、色彩設計、あらゆる面において、アピチャッポンの映画作家としてのさらなる進化を感じさせ、さらにタイの社会状況を透徹しながらも、語り口はあくまでもユーモアと優しさに溢れており、その深遠さに世界の映画メディアがアピチャッポン史上の最高傑作と称賛している。

このたび公開するポスタービジュアルのメインモチーフは、海外版オリジナルと同じもの。登場人物の女性ジェンの姿に蔦や花や恐竜がコラージュされ、それ自体がアピチャッポンのアートのようだ。キャッチコピーは「わたしは もう目を覚ましたいの。僕は 眠っていたい。」。

また、予告編では、“眠り病”のため食事中に突然突っ伏す男のシーンから始まり、男たちが眠る静かな病室、そこで青年の世話をする女性と、眠る男たちと交信する若い女性の姿が映しだされ、やがて韓国のカリスマ的なクラブミュージック・クリエイターであるDJ Soulscapeの「Love is a Song」にのせて、すでに死んでいる(!)という美しい女性たちも登場。一刻も早く本編を見たい誘惑に駆られる。

予告編::https://youtu.be/UP2ihx9QRGc 

2016年は現在公開中の『世紀の光』に続き、本作『光りの墓』が公開。アートの分野でも、福岡、青森、横浜での展覧会やワークショップ、9月から開催される「さいたまトリエンナーレ2016」への参加、その後には東京都写真美術館での個展も控えており、日本における画期的な<アピチャッポン・イヤー>!その目玉となる本作『光りの墓』の公開は3月を予定している。

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執筆者

Yasuhiro Togawa