自分が大人になるにつれて肩にのしかかってくるのが、両親の世話を誰がするのか—?病気もせず、元気とはいえ、40代〜50代の世代とは違い、もう身体の自由は利かない。誰かがお世話しなければ生活できない両親を放っては置けないが、世話をするほうも生活はある。介護に誰もが幸せになれる解決方法はないのか?そんな介護に悩むあなたにヒントをくれるのが、1月23日(土)Bunkamuraル・シネマほかにて全国順次ロードショーとなる映画『愛しき人生のつくりかた』。

映画は最愛の夫を亡くしたおばあちゃんのマドレーヌが突然失踪したことをきっかけに家族3世代の人生の輝きを描いた心温まる感動作。未亡人となったマドレーヌは高齢で体の自由も利かなくなり、怪我をきっかけに息子らに説得され、大切な想い出であふれる我が家で一生を終えたいと願いながらも、仕方がなく老人ホームに入所する。老人ホームで過ごすマドレーヌの気が滅入っていく姿は、実際に親をホームに入所させている者からすればかなりリアルなシーンだ。また息子ミシェルも父を亡くしたばかりで、さらに目に見えて衰える母親に面食らっていた。母の想いをくみ取りながらも、自分たちの夫婦仲が破綻しかけている厳しい現実にも悩む、まさに人生の岐路に立ってしまった息子・ミシェルの心情も痛々しく、観る方は身につまされる気分になる。

本作は親の介護というテーマで観ると、親と子供の視点、それぞれの心情をリアルに描写。マドレーヌを演じたアニー・コルディは「老いたからと言って、生きることを諦めなければいけないわけではない」と役に共感。「自分の親も同じ想いを抱いているかもしれないー」。本作を観るとそんな親の気持ちが少し分かったような気になる。それだけでも、1つの収穫ではないだろうか。

映画はフランスで半年以上のロングランヒットを記録し、100万人の動員を記録。重くなりがちなテーマを、ユーモラスを交えながら軽いタッチで描いている本作。国も文化も超えて描かれる万国共通のテーマを散りばめられている本作を観て、あなたも今一度、家族と向き合ってみるのもいいかもしれない。

映画『愛しき人生のつくりかた』は1月23日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー。

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執筆者

Yasuhiro Togawa